環境省の屋久島国立公園モニターツアーに4日間参加し、ガイド付きツアーを体験してきました。知れば知るほど奥深い、縄文杉だけではない、世界自然遺産「屋久島」の魅力を紹介します。
屋久島と言えば、屋久杉をはじめ、森林のイメージが強いと思いますが、実は日本の地質100選に選ばれるほど、
地質学的な観点から見ても、興味深い特徴のある島という事はご存じでしょうか?
1日目はYNACガイドであり、屋久島観光協会の理事も務められている松本さんの解説のもと、屋久島を地質学観点から学ぶという、なんともマニアックな「屋久島ダイナミック地質ツアー」に参加してきました!
屋久島は約1,550万年前に屋久島ができる地域の地下深くにマグマが貫入し、それがゆっくり と冷えて固まり、
巨大な花崗岩を形成。これが上昇し、現在の屋久島の原形ができたとの事。
屋久島特有の地形について、ガイドの松本さんの丁寧な説明を聞きながら、実際に海岸沿いに降りて、自分の目で確かめます。
今回初日に参加した地質学ツアーは、一見するとなんだか専門的で難しそう・・と敬遠しがちな気もしますが、まったくなんの知識もない私たち素人にも、屋久島の山岳を形成する花崗岩や、隆起珊瑚礁の海岸など実際に目にしながら、屋久島を地質学を通して分かりやすく解説して頂き、さすがベテランガイドさんだなと思わせる内容でした。
普通の旅行ではなにげなく通り過ぎてしまうようなところでも、ガイドさんの地質や歴史など様々な角度からの解説で、改めて屋久島の成り立ちから知ることができて、なんだか学生気分に戻る事ができたツアーでした。
2日目は、屋久島で一番大きな川、安房川でカヤック体験をしてきました。運動神経・体力ともにまったく自信がない私は、カヤックが1人乗りと聞いて、内心ビビりながら事前講習を受けます。
水を漕ぐパドルの使い方を簡単にレクチャーされた後は、習うより慣れろとばかりに、すぐにカヤックに乗り込んで、体験スタート!
事前の話では、安房川は流れも穏やかで、カヤック初心者にもお勧めと聞いていたけど。。。みんながどんどんスイスイと漕いでいく中、一人同じところをグルグル旋回している私。
見かねたツアー同行者達が、ある人はパドルの漕ぎ方をレクチャー、ある人は励ましの応援と一人一人声をかけに来てくれます。
腕もパンパンだし、同行者にはどんどん離され、もう後ろ姿しか見えない。。ダメだ。疲れた。。。と思ったときに現れた救世主!
この日のガイド岩川夫妻の奥様が見かねて、自分のボートにロープで繋ぐという最終手段で休憩地点まで連れて行ってくれました。(最初からこれが良かった・・)
途中の休憩地点では、砂浜に上陸して、ガイドさんが屋久島の水で美味しいコーヒーを煎れてくれました。
屋久島の水は軟らかくほんのり甘く、その水で煎れたコーヒーはホッとする美味しさでした。
初めてのカヤック体験は、運動神経がゼロの私には、体力的には厳しかったものの、安房川の両脇に茂る見事な照葉樹林の景観や、穏やかな川の流れに癒され、心身ともにリフレッシュできる体験となりました。
3日目はかつては屋久杉伐採の拠点として栄えていたという「小杉谷」の散策ツアーに参加してきました。
小杉谷を散策する前に、まずは屋久杉の事、そして小杉谷の歴史を事前学習すべく、屋久杉自然館を訪問します。
屋久杉自然館では、現在確認されている最大の縄文杉の枝「いのちの枝」の保存展示や、年輪を実際に数える事ができる輪切りの屋久杉など体験型の展示物が数多くあり、屋久杉の成り立ちを学ぶことができます。
また、シアタールームで、かつて屋久杉の伐採の拠点として栄えていた「小杉谷集落」の山での暮らしや、伐採シーンなどの映像を見ながら、これから向かう小杉谷のイメージを膨らます事ができました。
事前学習を終えた後は、小杉谷集落跡地に向けて、散策をスタートです!
先ほどの自然館でも学習した屋久杉を実際に目にしながら、「山岳太郎」のガイドさんから、小杉谷集落や屋久杉伐採の歴史を学びつつ、かつて、屋久杉の伐採木を運び出していたという、小杉谷までのトロッコ軌道を歩き、小杉谷集落跡地を目指します。
実際に歩いたトロッコ軌道は、本当にこんな場所をトロッコで降りていたの?と思うような急な軌道もあり、常に危険と隣合わせだったかつての作業員の人たちの光景が目に浮かぶようでした。
約50分ほど歩くと、かつて小杉谷小・中学校があったという跡地に到着!
かつて林業の中心として栄えたこの小杉谷集落には、最盛期には500人ほどが暮らしていたという事ですが、1970年に廃村となってからは、建物は取り壊され、今は建物の土台が少し分かるかなという程度。
この50年の間に屋久島の原生林が再生し、静かに息を吹き返している様子が見てとれました。
小杉谷散策を終えた後は、自分の手で屋久杉を磨く木工体験を行います。
今回お邪魔したのは、安房集落にある屋久杉加工・販売を行う「武田館」に隣接するYAKUSHIMA BLESS。
屋久杉を使ったお香を焚いているという爽やかな香りに包まれた店内で、かつては一流ホテルマンだったというご主人と笑顔が素敵な奥様やスタッフの方がお出迎えしてくれました。
お香立てやキーホルダー、一輪挿しから作りたいものを選択したら、たくさんある屋久杉の木片の中から、自分のお気に入りを1つを選び、屋久杉磨きのスタートです。
始めは粗目のやすりからスタートして、形ができあがってきたら、今度は細かい目のやすりに変えて、集中して磨いていくと、それなりに形になってきたような。。
「すごい!形になってきましたね~!」「上手に磨けてますよ~」とスタッフさんがまた褒め上手で、的確なアドバイスをくれる事も相まって、だんだんと磨くことに集中し、途中から真剣な顔つきに。
最後はみんな満足そうな顔で、作品作りを終えていました。
今回初めての屋久杉磨きでしたが、1つ1つ形の違う屋久杉の木片は磨くほどに光を放ち、家に帰った後も持ち帰った屋久杉を眺めながら、屋久島のことを思い返す思い出深い体験となりました。
あっという間に4日目の最終日を迎え、最後は世界遺産地域の西部林道で照葉樹林浴の体験です。
聞くところによると、野生のヤクシカやヤクザルも目にする事ができるとか!
わくわくしながら、西部林道を目指します。
西部林道に到着したら、まずは準備運動をして、散策スタートです
県道でありながら、原生林の中を走る西部林一帯では、日本有数の規模を誇る照葉樹林の森が続き、多様な植生が見られることも大きな魅力との事。
ガイドさんの説明を聞きながら歩いていると、早速野生のヤクザルを発見!
可愛い!早速ヤクザルが見れた嬉しさでテンションも上がります。
途中森の中に入ってくと、緑の木々の枝が覆い茂り、まるで照葉樹林のトンネルのようです。
ガイドさんの案内で、ガジュマルやアコウの木などたくさんの木が絡み合う中を、決まったルートはなく、ちょっとした冒険気分を味わいながら、歩きます。
しばらく歩くと、野生のヤクシカにも遭遇できました!
今回体験した西部林道の照葉樹林浴は、縄文杉、白谷雲水峡、ヤクスギランドとなど、屋久島を代表する観光とは全く異なった森の世界が広がっているため、リピーターさんにもおすすめです。
また屋久島固有亜種であるヤクザル、ヤクシカが島の中でも一番集まっている地域との事で、森のいたるところで、その可愛い姿を目にすることもできました。
歩く距離もわりと短く1時間程度なので、私のような体力に自信のない方で、屋久島の自然を満喫したいという方には、かなりお勧めのツアーです!
今回体験してきた屋久島のガイド付きのツアーは、どれも屋久島と言われてすぐに思い浮かぶ観光とは一味違った内容でしたが、屋久島という場所の新たな魅力発見や、歴史・文化に触れることができ、屋久島を訪れた事がある方も、初めての方にもぜひ体験して欲しい内容でした。
屋久島を訪れた知人が、「またすぐ行きたくなるところだよ」と言っていたのが、納得できる屋久島の魅力に触れることのできた旅となりました。
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