歴史・文化

歴史・文化


九州北部


ホーランエンヤ

 豊後高田市(大分)のホーランエンヤは、江戸時代から続く新年の伝統行事で、豊漁と航海の安全を祈願する祭りです。大分県の選択無形民俗文化財に指定されています。大漁旗や万国旗、色紙を付けた笹竹などで華やかに飾られた宝来船が、金比羅宮から川上の若宮八幡宮をめざして桂川を上って行きます。船を漕ぐ時にかける「ホーランエンヤ、エンヤノサッサ」という掛け声が祭りの名の由来です。途中川岸の観客から祝儀が差し出され、締め込み姿の若者が宝来船から厳寒の川に飛び込み取りに行く勇壮な姿が見どころです。宝来船からは紅白の祝い餅がたくさん撒かれ、観客に振舞われます。かつては元旦の行事でしたが、現在では潮の干満の時刻などを考慮して日程(毎年1月上旬頃)が決められています。

ホーランエンヤ
  • 柳川さげもん柳川さげもん

     柳川(福岡)では昔から女の子が生まれると、初節句に色とりどりの「さげもん」を雛壇の前に飾る風習があります。さげもんは親戚や友人から贈られた着物の端切れで、一生幸せでありますようにと祈りを込めて作った布細工です。元々は雛人形の代わりに古着の端切れで小物を作って飾ったのが始まりとされています。縁起のいい「鶴」「兎」「宝袋」などを題材に縫い上げられたさげもんは、柳川地方伝統の大まりにぶら下げられます。2月から4月にかけて行われる「柳川雛祭りさげもんめぐり」では、観光客にも柳川さげもんが公開されます。

  • 天領日田おひなまつり天領日田おひなまつり

     日田天領おひなまつりの開催期間中は、日田市(大分)の旧家に伝わる貴重な雛人形を、町おこしの一環として一般に公開しています。江戸時代には徳川幕府の直轄地として代官所が置かれ、九州の政治・文化の中心地として栄えた天領日田。この町には当時の裕福な商人たちが京都や大阪から買い求めた絢爛豪華な雛人形が、現在でも大切に受け継がれています。また商家の華やかな雛とは別に、庶民の雛である「おきあげ雛」も見ることができます。おひなまつり期間中の2月から3月にかけて、豆田町や隈町(くままち)の旧家や資料館で、雛人形や雛道具が一斉に展示されています。

  • 佐賀城下ひなまつり佐賀城下ひなまつり

     佐賀城下ひなまつりが開催される佐賀市(佐賀)は、佐賀藩36万石の城下町として栄えてきました。佐賀藩12代当主の鍋島直映が創建した「徴古館(ちょうこかん)」では、江戸末期から明治にかけて、鍋島家の婦人たちが愛用した雛人形や雛道具を観賞することができます。また佐賀市歴史民俗館では、「お留型(おとめがた)」と呼ばれる鍋島小紋や、伝統工芸の「佐賀錦」を纏った愛らしい雛人形が展示されています。佐賀城下ひなまつりの開催期間は2月から3月にかけて。展示場となる建物はレトロな雰囲気が漂う長崎街道沿いにあります。

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九州西部


  • 牛深ハイヤ祭り牛深ハイヤ祭り

     牛深ハイヤ節(長崎)は、江戸時代に始まった由緒ある民謡です。元々は女性たちが時化(しけ)待ちの船乗りたちをもてなす、酒盛りの歌として歌い出されたとされ、徳島の阿波踊りや新潟の佐渡おけさなども牛深ハイヤがそのルーツとも言われています。ハイヤは、南風を意味する「ハエ」という言葉が変化したものです。
     例年4月の第3週の金曜、土曜、日曜に開催される牛深ハイヤ祭りのメイン会場はハイヤ大橋のたもとの広場。最終日の総踊りでは総勢約5,000人の老若男女が軽快な踊りを披露しながら練り歩きます。

  • 倉岳えびす祭り倉岳えびす祭り

     倉岳えびす祭り(熊本)は、日本一の大きなえびす様に見守られながら行われます。
     えびす様は七福神のひとりとして、昔から人々に愛されてきました。特に鯛や釣竿を手に持つことから漁業の神として崇められ、豊漁や航海の安全などを祈願します。
     船団の海上パレードや郷土芸能の披露、太鼓演奏、ハイヤ踊り、棒踊りなどがえびす様の目の前で次々に披露されます。毎年1月に開催されます。

  • 長崎帆船まつり長崎帆船まつり

     長崎市(長崎)の長崎帆船まつりは、日本各地の帆船が集まり、夜になるとライトアップや花火などが打ち上げられ賑わいます。毎年4月下旬に開催され、遠く海外からの参加もあります。
     帆船は、文字通り帆で風を受けて航行する船です。一つ一つの帆にはロープが何本もつながっていて、風向きによって方向を変えたり帆の張り具合を変えたりします。想像以上に複雑で、その操作には高い練度が必要とされます。初日には入港パレードが行われ、帆船の優雅な姿を楽しむことができます。船内の一般公開も行われます。

  • 島原城下ひなめぐり島原城下ひなめぐり

     町のいたるところにひな人形が展示される、1月27日から3月11日にかけて島原市(長崎)の島原城下で行われる祭りです。3月3日には、人間ひな飾り行列なども行われます。
     島原名物の桃カステラの大集合や甘酒、和菓子、お茶菓子、ひなあられの振舞い、そば打ち体験など盛りだくさんなメニューが「島原城下ひなめぐり」の期間中には用意されています。また、期間中の島原の飲食店では、"ひな御膳"や"ひなろくべえ"といった特別料理がメニューにアップされています。町に飾られているひな人形を見ながら、味わうことが出来ます。

  • 唐津神社春季例大祭唐津神社春季例大祭

     唐津市(佐賀)にある唐津神社は、航海の安全を住吉三神に祈願した神功皇后が、松浦の海浜に宝鏡を縣けて三神を祀ったのに起源を持つと伝えられている歴史の古い神社です。
     秋季例大祭の唐津くんちは、毎年50万人以上の人出を集める大きな祭りですが、4月29日に行われる唐津神社春季例大祭では唐津くんちに登場する、赤獅子や青獅子、武田信玄の兜、上杉謙信の兜などの14台の曳山が神社前参道に勢ぞろいし、唐津くんち本番を期待する大勢の見物客で賑わいます。神社本殿では神事が斎行され、五穀豊穣や産業の発展などを祈願し、巫女が神楽を奉納します。

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九州中部


阿蘇火祭り

 火をテーマとした勇壮な祭りで、阿蘇市(熊本)や周辺の市町村一帯で五穀豊穣を願い、阿蘇の春の訪れを祝います。
 阿蘇神社での火入れ式が火祭りのスタート。大火文字焼きは、2つの山の斜面に灯された「火」の文字が組み合わさり「炎」の文字として浮かび上がる、祭りの名物です。そして、阿蘇神社の縄でくくった茅束に火をつけて勢いよく振り回す、有名な火振り神事が行われます。毎年3月上旬から4月上旬にかけて、他にも様々な催しが行われます。

阿蘇火祭り

  • 臼杵ひなめぐり臼杵ひなめぐり

     臼杵市(大分)の中心部の城下町中に、和紙のおひな様が飾られ、雛めぐりや俳句大会、お茶会、紙雛つくりなどが楽しめる祭りです。
     第14代臼杵藩主稲葉観通の頃に天保の改革があり、臼杵では質素倹約のため、町民は和紙のお雛様しか飾ることが許されませんでした。
     その故事に習い、現在でも立ち雛を参考にした、気品のある臼杵のお雛様が町の色々なところに飾られます。
     毎年2月上旬から3月上旬にかけて行われます。

  • 岡城桜まつり岡城桜まつり

     竹田市(大分)にある岡城は別名「豊後竹田城」とも呼ばれ、天神山に築かれた山城で、現在は石垣だけが残っています。作曲家瀧廉太郎の「荒城の月」のモチーフになったことで有名です。岡城阯から武家屋敷通りなどの竹田の城下町を練り歩く大名行列がメインの祭りで、高張ちょうちんを先頭に、先導侍、鉄砲を持つ警護侍など約100人の行列が「下に下に」の掛け声で町を歩きます。史実に基づき再現されたもので、30年以上の歴史を持ち、「日本のさくら名所百選」に選ばれた岡城阯での大名行列は、さながら時代絵巻のようです。また、甲冑武者行列も同時に行われ、あたり一帯に聞こえる法螺貝や響き渡る陣太鼓の音は、まるで戦国時代にタイムスリップしたかのようです。毎年4月の第1日曜日に開催されます。

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九州南部


鹿児島神宮初午祭

 創始が神武天皇のころまで遡るという鹿児島神宮(鹿児島)で行われる初午(はつうま)祭は、牛馬をはじめとする家畜の安全や多産、五穀豊穣を祈願し、家庭の病気や厄を払うお祭りです。たくさんの鈴が連なった胸飾りや、花、錦などで飾られたシャンシャン馬が音楽に合わせて足踏みをして踊ります。
 馬踊りの風習は、山の神が馬に乗ってやってきて、田の神になるという古い言い伝えに基づいています。旧暦の正月18日の次の日曜日に行われます。

鹿児島神宮初午祭
  • かごしま春大祭大ハンヤかごしま春大祭大ハンヤ

     かごしま春大祭大ハンヤ(鹿児島)では、ハンヤ節とよさこいが繁華街の天文館を中心に2日間に渡って披露されます。
     ハンヤ節が奄美六調をルーツとする歴史のある踊りに対し、よさこいは伝統的な楽曲にサンバ調やロック調などの新しさを積極的に取り入れた踊りとして、好対照を見せてくれます。メイン会場である天文館公園では、2日目に踊りの審査を実施。大ハンヤ大賞などが決定されます。かごしま春大祭大ハンヤは毎年4月に開催されます。

  • 青島神社裸まいり青島神社裸まいり

     宮崎市(宮崎)にある青島神社は、周囲約1.5kmの青島全島を境内としている神社で、新春の禊として青島神社裸まいりが行われています。日本神話の山幸彦が海神宮(わたつみのみや)から突然帰国して、それを聞きつけた人々が迎えの着替えをする間もなく着のみ着のまままで海に飛び込んで迎えたという言い伝えから始まった祭りで、現在は、白足袋、白装束の老若男女が青島神社前の海に入って禊を行い、濡れたままの身体で神社に参拝します。その後、青島ビーチで2回目の禊を行い、最後に青島商店街でバケツに入った冷水を浴び3回目の禊を行います。青島神社裸まいりは、毎年成人の日に行われ、500名近くの男女が禊に挑戦します。

  • 宮崎たまゆら温泉かぐらまつり宮崎たまゆら温泉かぐらまつり

     宮崎市(宮崎)の中心部を流れる大淀川は、ノーベル文学賞を受賞した川端康成が小説「たまゆら」を書き下ろしたことで知られています。大淀川畔に湧出した温泉はその小説にちなんで「たまゆら温泉」と名付けられました。
     毎年2月下旬から3月下旬にかけて、そのたまゆら温泉で開催されているのが、宮崎たまゆら温泉かぐらまつりです。
     神話の宝庫の宮崎ですが、神代の物語の終焉を飾る日向神話のハイライトを優雅なオブジェとして、灯りの祭典として展開します。また、周辺ホテルでは古くから伝わる数々の神楽奉納が披露されます。

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