2023年12月28日

見よ、我こそは天草大王なり! 王者復活20年の奇跡の鶏なり!

「天草大王イケメンコンテスト」でグランプリを獲得したヤキトリマンファームの「ゴジラ」 写真提供:ヤキトリマンファーム

 まずは見てほしい、この堂々たる姿。眼光鋭く、他を圧倒するオーラを放つ。そう、これが国内最大級の肉用鶏、天草大王だ。天草が誇るこの地鶏、明治時代には盛んに飼育され、美味い出汁が出ることから博多の水炊きにも使用されていた。しかし、産卵率が低く生産性が劣るという弱点と短期生育で生産性の高いブロイラーの台頭、そして戦前の不況による水炊き需要の低下もあり、昭和初期には絶滅してしまった。深いうま味があり、弾力のある歯応えと共に肉にコクがあり、適度な脂はとてもジューシー。この天草大王を何とか復活させよう!そんなプロジェクトが熊本県農業研究センターで動き出したのは1992年だった。

ルーツは中国系ランシャン種  復元種は米国系ランシャン種

原種天草大王の雄(右)と雌(左)。 写真提供:熊本県農業研究センター

 そもそも天草大王は明治中期に中国北部から持ち込まれたランシャン種が始まりという。天草に渡ったこのランシャン種にシャモやコーチンと交配させ、肉用に大型化し改良していった。その結果、大きい個体の雄では背丈が約90センチ、体重が約7キロに達した。この幻の鶏を復元させるために、熊本県農業研究センターはアメリカからランシャン種の雛100羽を輸入。文献などを基に熊本コーチンや大シャモに交配させ、個体選抜を繰り返して8年の歳月を経て復元に成功した。それが「原種天草大王」である。さらに生産性を高めるために、この「原種天草大王」の雄に、産卵率が高い「九州ロード」の雌を交配。これで生まれるのが肉用鶏・「天草大王」だ。「天草大王」の名称の混乱を避けるため、復元種を「原種天草大王」、肉用鶏を「天草大王」と呼ぶのだとか。

九州ロードの雌(左)と原種天草大王の雄(右)このつがいの産んだ子どもが「肉用鶏・天草大王」。写真提供:熊本県農業研究センター

体がでかいだけじゃない!  機能性もうま味もでかい!

 天草大王が市場に出るようになったのは2003年。つまり今年で20周年を迎えたわけだ。ブロイラーと比べるとその大きさは歴然としている。肥育期間がブロイラーの3倍を要し、大きくたくましく成長する。体重はブロイラーの2倍。背丈は20センチ高い。そして栄養面や機能性でも勝る。抗酸化能や抗疲労作用、運動能力向上作用等の機能性があるアンセリンやカルノシンはムネ肉に多く含まれ、アンセリンは天草大王がブロイラーの約1.8倍、カルノシンは約1.3倍多く含まれる。疲労回復のタウリンはもも肉に多く、天草大王はブロイラーの約1.2倍だ。※そして鶏肉の美味さの要因とされる脂肪酸のアラキドン酸は、モモ肉で見ると天草大王はブロイラーのなんと4倍だ!だから美味しいのだ。因みに天草大王の生産者によると「メスはほどよくやわらかく脂が乗っていて、オスは弾力があり歯ごたえしっかり」だとか。
※分析値は農事法人組合天草大王生産販売組合ホームページより引用。

資料提供:一般社団法人天草宝島観光協会

この冬は天草で食べつくせ!  グルメキャンペーン開催中!

さて、天草大王の本拠地天草市では現在、グルメキャンペーンの「#天草大王と車エビ」を2024年2月29日まで実施中だ。今年で4回目であり、地鶏の天草大王と車エビの2大グルメが堪能できるとあって、観光客の間で話題に。今年は市内の飲食店・宿泊施設20店が参加しているが、その中から天草大王が食べられる参加店6店を紹介しよう。尚、期間中は参加施設で対象メニューを食べてアンケートに答えると、抽選で10名に5000円相当の天草大王または冷凍車えびがもらえる!

天草大王タタキ(中央)、天草大王鉄板焼(右上)、天草大王から揚げ(左上)

「海の幸ひらはた」は「天草大王タタキ(1,100円)」、「天草大王鉄板焼(1,650円)」、そして「天草大王から揚げ(1,100円)」を提供。天草大王の弾力のある歯ごたえとうま味、素材を活かした料理が楽しめる。
住所:天草市古川町12-21
電話:0969-23-1811
定休日:水曜日
営業時間:11:30~14:00(OS13:20)、17:00~21:30(OS20:50)、日・祝17:00~21:00(OS20:20)

天草大王のうま味たっぷりの天草大王水炊き

2名以上で行くなら「天草大王居酒屋 ヤキトリマン」の「天草大王水炊き(2~3人前5,500円)」がお勧め。自社農場直営だから新鮮!自家製ポン酢とも相性抜群だ。2名以上で受け付け、要予約。
住所:天草市南町1-1
電話:0969-22-6640
定休日:不定休
営業時間:18:00~23:00

ビーフヤヒロの天草大王すき焼き御膳

肉専門のレストラン「ビーフヤヒロ」は「天草大王すき焼き御膳(2,750円)」で勝負!皮目をあぶっているので香ばしさがプラスされ、特製の甘辛い割下ですき焼にすると旨みが広がる。ごはん、みそ汁付
住所:天草市東町25-2
電話:0969-23-5840
定休日:火曜日
営業時間:平日11:30~14:00、17:30~21:00(OS 20:00)
土・日・祝日 11:30~16:00、17:00~21:00(OS 20:00)

もも、むね身、砂ずり、せせり、ぼんじり、ハツ、レバー、ささみからおまかせ5種

「居酒屋あまくさ村」は焼き鳥の「天草大王5種盛合せ(1,100円)」をはじめ、直火の香りと自家製柑橘ソースのさわやかさが相まった「天草大王直火焼チキンPIZZA(1,100円)」、そして「天草大王松葉塩焼(700円)」を用意。「松葉」は一羽から取れる量が少ない希少部位の鎖骨の付け根で、V字の骨が松の葉に似ていることから松葉と呼ばれているとか。

住所:天草市栄町10-36
電話:0969-24-1600
定休日:不定休
営業時間:12:00~14:00(OS13:30)、17:30~24:00(OS 23:30)

自慢のオリジナル鍋・天草大王醤油鍋

「鳥料理 鳥蔵」は2名以上を対象に「天草大王醤油鍋(1人前1,750円)」を出してくれる。じっくり煮込んだ天草大王のガラスープをベースに、天草産の新鮮な野菜と天草大王がマッチした店オリジナルの鍋だ。
住所:天草市港町5-15
電話:0969-22-7088
定休日:不定休
営業時間:17:00~23:30

阿蘇の溶岩プレートで焼く溶岩焼肉石焼大王セット

そしてラストは「くまもとの地鶏 天草大王 地鶏のたぐち」。阿蘇の溶岩プレートで焼く「溶岩焼肉石焼大王セット(2,200円)」はモモ肉・ムネ肉に季節の野菜を添え、天草の塩もしくは3種類のタレで味わせてくれる。トッピングでオリジナルの味わいも楽しめる。人気の黄金色の「大王スープ」は鶏ガラを長時間煮込み掬い上げたもの。このスープと共に石焼大王を堪能しよう!

住所:天草市南新町10-9 レンガの家1階
電話:0969-24-1110
定休日:月曜日
営業時間:11:30~14:30(OS 13:50)、17:30~21:30(OS 20:50)

満腹の後は天草大王の土産で  道の駅セットがお勧め

天草大王のつけそば(中央)と天草大王のタタキ(左)
天草大王ひらひら牛蒡丼セット

 さて、天草市のそばの名店「天草蕎麦処 苓州屋(れいしゅうや)本店」と「道の駅宮地岳かかしの里」内の「かかしの里店」でこのキャンペーンに参加。それぞれに天草大王と車エビを使ったキャンペーン料理を出している。本店は昼に「天草大王のつけそば」(1,680円)、夜に「天草大王のタタキ」(950円)を出す。かかしの里店は「天草大王ヒラヒラごぼう丼セット」(1,300円)と、郷土料理の大根鶏めしに天草大王を使用した「大根鶏めしと車エビ天ぷら定食」(1,600円)がキャンペーン料理。

そして実はオリジナルのインスタント麺「天草ちゃんぽん」「天草大王ラーメン」を販売しており、どちらも出汁は天草大王の鶏ガラスープを使っているのだ。濃厚で奥深い味のスープの「天草ちゃんぽん」、天草大王の奥深い旨味と、濃厚ながらさっぱりとしたスープの「天草大王ラーメン」。通販での取り寄せにはこのそれぞれ4セットに「かかしの里店」オリジナルの「ハイヤ節唐揚げの素」2セットがついた「かかしの里セット」がお勧め。天草で天草大王を食べつくし、土産にも天草大王の味を持ち帰ってはいかが?


天草蕎麦処苓州屋
住所:熊本県天草市東町48
電話:0969-22-9966
定休日:火曜日 ※夜は土・日のみ営業
営業時間:11:00~15:00(OS 14:30)、17:00~21:00(OS 20:30)


苓州屋かかしの里店
住所:熊本県天草市宮地岳町5516-1
電話:080-8451-6200
定休日:第1・第3水曜日
営業時間:11:00~15:00(OS 14:30)

天草ちゃんぽん盛り付け例
天草大王ラーメン盛り付け例