自然

九州の自然の神秘

屋久杉

~屋久島で生きる様々な植物のパワーに触れる~

 屋久島にある屋久杉の原生林は、「屋久島スギ原始林」の名称で国の特別天然記念物に指定されています。屋久杉は、幹の凹凸が激しく製材には不向きのため、幸運にもあまり伐採されることなく今日まで残りました。
 中でも、ゴツゴツとした多くのこぶを持つ「縄文杉」は樹高25.3m、幹周り16.4mと、現在確認されている中で最大の屋久杉で、樹齢2000年とも7000年とも言われています。なお、縄文杉を見るためには、往復で10時間程度の登山をしなければならないので、十分な準備をしてお出かけ下さい。(写真:縄文杉)

  •  3000年もの樹齢を誇る「紀元杉」は、樹高19.5m、幹周り8.1mの巨大な屋久杉です。車や観光バスで行ける道路のすぐ脇にあり、木の周りには木製の階段が整備され周囲のどこからでも木を見ることができるため、多くの方が見学に訪れます。
     紀元杉には、ヒノキやサクラツツジなど10種類以上の植物が着生しており、それらの植物が花を咲かせたり紅葉したりと、1本の屋久杉の上で季節のうつろいを見ることができます。(写真:紀元杉)

  •  切口周り13.8m、根周り32.5mもある巨大な切株「ウィルソン株」は、豊臣秀吉が大坂城築上(京都・方広寺建立とも)のために伐採させたと言われている屋久杉の切株です。1914(大正3)年にこの切株を発見したアメリカの植物学者アーネスト・ウィルソン博士の名前にちなみ、後年この名前が付けられました。
     空洞となっていて人が入ることができる切株の内部には祠が祀られ、水が湧き出ています。(写真:ウィルソン株)

  •  「ヤクスギランド」では、根元をくぐり抜けられる「くぐり杉」や、親木の上に落ちた種子が親木と同じ程の大きさにまで成長した「双子杉」、コブが仏陀の顔に見えると言われる「仏陀杉」など、ユニークな形の屋久杉と出会えるだけでなく、「土埋木」や「切株更新」、「屋久杉のためし切り」など、屋久杉に関する情報が書かれたボードを見ることもできます。
     道中には案内板も設置されており、30分コースと50分コースは木や石で遊歩道が整備されています。

  •  リバーカヤックも楽しめる栗生川の河口には、屋久島町の文化財(天然記念物)に指定されている「メヒルギ」が自生する群落があります。メヒルギは、マングローブ林を構成する一樹で、塩分濃度が高く通気性の悪い砂泥地でも発達します。マングローブ林を構成する種の中では、メヒルギのみが屋久島で生育しています。
     また、メヒルギは夏に白色の花を咲かせ、細長く成長した果実は樹上で発芽します。その後、落下した種が土壌に刺さって成長します。

  •  亜熱帯から熱帯地方に生息する「ガジュマル」は、気根と呼ばれる根っこを幹から垂らします。地面に着いた気根は元の幹と区別ができない程に成長し、それらが複雑に絡み合いながらガジュマルは大きく育ちます。
     「志戸子ガジュマル公園」では、樹齢200~300年のガジュマルや、タブ・アコウ・ガジュマル合体木などを見ることができ、まるでジャングルを探索しているかのような気分が味わえます。
    志戸子ガジュマル公園:鹿児島県屋久島町志戸子133-1

  •  秋に収穫される「グァバ」は、屋久島ではポピュラーなフルーツです。地元の方に伺ったところ、皮も種も丸ごと食べられるそうです。品種によって食感や味が異なり、果肉の色も赤や白、ピンクと様々です。
     その他にも、化学肥料や農薬を減らして栽培されているポンカンや、ポンカンとオレンジの自然交配でできたタンカン、独特の形をしているドラゴンフルーツなど、屋久島では多くの南国生まれのフルーツが育てられています。

【問い合わせ先】
名称:屋久島町役場
TEL:0997-43-5900

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屋久島の山と海

ヤクザルやヤクシカ、アカウミガメなど、
屋久島に生きる動物を知る

 ヤクザルやヤクシカが棲む「白谷雲水峡」は、整備された遊歩道を歩く「弥生杉コース」、個性的な幾本もの杉を見比べることができる「奉行杉コース」、白谷雲水峡の最奥まで行く「太鼓岩往復コース」など、時間や体力に合わせてトレッキングが楽しめる場所です。
 「太鼓岩往復コース」では、辺り一面が苔に覆われた「苔むす森」を越え、叩くと太鼓のような音がする「太鼓岩」に登ると、標高1936mと九州最高峰を誇る宮之浦岳や、山頂に高さ約40mもの巨石がそびえる太忠岳など、屋久島を代表する山々を見ることができます。

  •  「いなか浜」や「前浜」などの総称である「永田浜」は、絶滅が危惧されているアカウミガメやアオウミガメが産卵のために上陸することで知られています。2005(平成17)年には、国際的に重要な湿地であることが認められ、「ラムサール条約湿地」に登録されました。
    ※5~8月の産卵期やふ化期は浜への立ち入りが制限され、観察については事前予約が必要となります。詳細は「永田浜ウミガメ保全協議会事務局(0994-46-2992)」へお問い合わせ下さい。

  •  海岸に面している「平内海中温泉」は、1日2回、干潮の前後2時間にしか入浴できない温泉です。約400年前、海中から湧き出す温泉を見付けた人々が、岩を削り、石を積んだものが、今の湯船の原型となっており、現在では国土交通省が選定する「島の宝100景」にも選ばれています。
     温泉は混浴で、リューマチや神経痛、皮膚病などに効果があるとされています。
    平内海中温泉:鹿児島県熊毛郡屋久島町平内5 付近

  •  屋久島産の新鮮なゴマサバを、屋久島に湧き出ている地下水で煮て、屋久島で採れる広葉樹の薪で燻した後、カビ付けと天日干しを1年以上繰り返して「サバ節」は作られます。屋久島の旨味が詰まったサバ節は全国の蕎麦屋などへ出荷され、蕎麦つゆなどに利用されています。
     また、頭や骨は粉砕して「魚粉」と呼ばれる肥料にしたり、ゴマサバの煮汁をさらに煮詰めて「鯖煎汁」と呼ばれる調味料にしたりと、ゴマサバの全てを有効利用しています。

【問い合わせ先】
(白谷雲水峡のお問い合わせ先)
名称:屋久島町役場
TEL:0997-43-5900
料金:高校生以上300円(森林環境整備推進協力金)
休日:年中無休 ※冬季、雪のため通行止めの場合有り

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三大滝

屋久島の個性豊かな滝を巡って、

 林芙美子氏の小説「浮雲」で「月のうち、三十五日は雨」と記されているように、屋久島は非常に雨が多いことで知られています。2010(平成22)年には、5300mmを超す雨が島に降りました。
 雨が多く山も多い屋久島では、数多くの滝を見ることができます。中でも、屋久島の三大滝と呼ばれる「千尋(せんぴろ)の滝」、「トローキの滝」、「大川(おおこ)の滝」は、それぞれの展望所近くまで車で行けるため、滝巡りのスポットとしてオススメです。
 沢登りやダイビング、リバーカヤックなど、水を楽しめる様々なアクティビティも充実しています。

  •  標高940mのモッチョム岳の麓を流れる鯛之川(たいのこ)が、V字型になった花崗岩の間を流れ落ちる「千尋の滝」は、60mもある滝の落差もさることながら、名前の由来にもなった一枚岩の大きさも見所のひとつです。
     滝の左側にある花崗岩でできた巨大な一枚岩が、千人もの人が両手を広げたくらいの大きさがあるということから、人が両手を広げた長さの単位・"尋"にちなんで、この滝を「千尋の滝」と名付けたと言われています。(写真:千尋の滝)

  •  鯛之川の河口にある「トローキの滝」は、落差は約6mと短いながらも、海へ直接流れ落ちる、全国的に見ても大変珍しい形態の滝です。展望所から見える滝の背景には、鯛之川に架かる橋の赤色とモッチョム岳の緑が映え、色彩のコントラストも楽しめる滝となっています。
     雨が降った際に大量の水が海に流れ落ち轟音を響かせることから、地元では「轟の滝」とも呼ばれており、この"轟"が"トローキ"になったと言われています。(写真:トローキの滝)

  •  「日本の滝百選」に選ばれている「大川の滝」は、落差88mと屋久島で最大級の大きさを誇る滝です。とくに、雨が降って水流が増している姿は迫力満点です。滝壺の近くまで歩いて行けるので、滝の水しぶきを浴びながら、滝の流れ落ちる音を聞いて、その迫力を味わってみてはいかがでしょうか。
     また、滝の入口には「名水百選」に選ばれた「屋久島宮之浦岳流水」が湧き出ており、「大川湧水」として紹介されています。(写真:大川の滝)

【問い合わせ先】
名称:屋久島町役場
TEL:0997-43-5900
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