おいしい島 九州

〝うきはテロワール〟が育てた フルーツ王国でフルーツを狩る

フルーツ王国〈福岡県うきは市〉

うきは市は、農業産出額に占める果実の割合が、全国平均(9%前後)を大きく上回る34%を誇る〝フルーツ王国〟。
年間を通してフルーツを収穫できる地域であることに加え、観光農園で季節ごとのフルーツ狩りを楽しめるエリアです。
うきは市ならではの、フルーツの味を体験してみませんか。

ワインの産地に似た、うきはのテロワール

日本の中に、フランスのワインの産地であるボルドー、アルザスに似た気候風土を有する地域があります。全国有数のフルーツの産地であり、イチゴ、ブルーベリー、桃、ぶどう、梨、柿などを、年間を通して収穫できる〝フルーツ王国〟と呼ばれる福岡県うきは市です。
うきは市は、現在〝うきはテロワール〟の名で、恵まれた7大自然要素を紹介しています。テロワールとは、フランスで生まれた言葉。生育地の地理や地勢、気候の特徴を指し、ワインの特徴として使われています。うきはの7つの自然要素とは、「地形」「気温」「土壌」「風」「水」「雨」「地理」。それぞれの要素がもたらす恵みが、近隣市町村や果樹名産地とも異なるうきは独特の風土を作り出し、おいしいフルーツの一大産地を形成しています。

たくさんの種類のフルーツが楽しめます

耳納連山のふもとに広がる田園地帯

自然環境と人々が作り上げたフルーツ王国

うきは市は、筑紫平野に筑後川が流れ込む玄関口であり、阿蘇山の噴火や筑後川の氾濫で、農業に適した肥沃な土壌が形成された地域です。南に23kmに渡って一直線に続く耳納連山は屛風山の別名を持ち、台風などからうきは市を守っています。麓に広がる複合扇状地は400万年前から形成され、日当たりがよく、水はけと保水性を備えているのが特徴です。また、筑後川と巨瀬川も、フルーツの生育に適した風土を生み出しています。
植物の成長や品質を向上させる要因の一つである絶妙な温度バランスは、フルーツの生育に好適な気温帯。フルーツが引き締まり味に深みが出る日較差も大きく、また、大気中の冷たい空気の間に地表より温度が高い層が発生する逆転層が生じることで、霜の被害からフルーツが守られています。
30万年〜9万年前、4回にわたって阿蘇カルデラが噴火しました。一帯の地層からは、約80万年前の軽石火山灰の上に、阿蘇の火山灰を挟んだ帯水層がみられ、水はけの良い地層となっています。排水が良好な扇状地は果樹の生育に適しており、周囲の河川の氾濫が土地に豊富な栄養分をもたらしました。
また、耳納連山の北側は日本有数の微風地帯。微風は果樹の蒸散を抑え、光合成を最適に促進し、外観も美しいフルーツへと成長させる要素です。
湧水は、土壌中の帯水層で50年以上にわたって不純物がろ過され、岩石のミネラル分を含んだアルカリ土類炭酸塩の水。一方、果樹の水分補給と暑さの調整を可能にするのが雨水は、8月の午後には5mm/h以上の夕立があり、適度な水分補給が行われています。
うきは市がフルーツ王国となった背景には、これらの恵まれた自然環境に加え、人々の農業に対する熱意がありました。1952年、流川柿研究会が発足し果樹の栽培技術が研究されるようになり、1973年には冷蔵保本が本格化して柿の栽培は大規模化していきました。また、九州大学が開発したぶどうの新品種、種なしぶどう「BKシードレス」の栽培、加工に関する協定を締結し、普及栽培地に選ばれました。

多彩な品種を楽しめる梨

子どもも喜ぶ栗拾い

季節の旬のフルーツを自分の手で収穫

年間を通してフルーツが栽培されるうきは市の観光農園では、自分の手で収穫して持ち帰りができる〝フルーツ狩り〟を体験できます。もぎたての新鮮なフルーツは甘みがあってみずみずしく、産地ならではの格別の味わいです。各年の気候にもよりますが、1月上旬〜5月中旬にかけてはイチゴ、7月上旬〜8月下旬はブルーベリー、7月中旬〜8月上旬は桃と続きます。フランスのワイン産地と地理条件が似ているため、7月中旬に始まるぶどうの品種は巨峰やピオーネをはじめ47種類が揃います。8月初旬〜10月下旬には梨、10月中旬からは柿狩りのシーズンです。
フルーツ狩りのシステムはシンプルです。イチゴとブルーベリーの場合は、農園に入場料を支払い、園内で収穫したフルーツは食べ放題。持ち帰る場合は、重量による清算を行います。その他のフルーツは最初に試食をした後は収穫のみ。園内では食べることはできません。収穫分した重量を計って清算した分を持ち帰る仕組みです。
観光農園の予約受け付け、コーディネートの窓口は、うきは市観光協会。農園ごとに栽培しているフルーツや、収穫できる時期は異なるので相談してみましょう。

うきはを代表するくだものの1つ、柿

不動の人気を誇るイチゴ

取材協力/うきは市観光協会 TEL.0943-77-5611
http://welcome-ukiha.jp

INFORMATION

うきは市観光農園

フルーツ狩りをスマートに楽しむ方法
1. 園地内では食べない
最初に農園主から提供される試食用のフルーツ以外は食べないこと。

2. 収穫した分は清算して持ち帰る
入園料を支払った後、食べ放題になるのはイチゴとブルーベリーのみ(持ち帰る場合はkg清算)です。その他のフルーツは、収穫した分をkg清算します。

3. 皮を散らかさない
フルーツの皮が園地に落ちるとカビの発生の原因になります。皮は園地内に捨てないのがルールです。


梶原フルーツ/ぶどう、梨、イチゴ
瀧内巨峰園/ぶどう、梨
かわはら夢農園/ブルーベリー
春光園/ぶどう、梨、柿
弘農園/ぶどう、梨
やまんどん/ぶどう、梨、柿、ブルーベリー、イチゴ
明果園/梨、柿、桃
石井農園/ぶどう、柿
よかもんイチゴ/イチゴ
中島農園/ぶどう、梨、柿
佐一園/ぶどう、柿
堀江農園/柿
成樹園/柿
内山農園/柿
船越農園/柿