ビードロ(vidro)といえば、喜多川歌麿の描く「ビードロを吹く女」が手にしているものを思い浮かべる人も多いことだろう。ビードロとは、本来ガラスのことであるが、なかなかどうして九州のガラスは奥深い。
17世紀末に長崎にもたらされたガラス製造の技術は、江戸後期から幕末にかけ、長崎や薩摩藩、佐賀藩、黒田藩などの先見性のある藩主たちが、積極的にガラス製造に取り組んだ。
歌麿のビードロは吹けば「ポッペン!」と音がすることから、そのままポッペンと呼ばれることもある。福岡の秋祭り、筥崎宮の放生會では、さわやかな秋空に「ペコッ」「ポコン」という音が響き渡る。江戸時代末期から放生會で売り出された(一時期廃れていたが、その後復活)。歴史と伝統を感じさせるものだが、小さくかわいらしいものだ。
一方、肥前ビードロや薩摩のガラスである薩摩切子は藩の強力なバックアップがあった。
九州の先進性はここにある。実はビードロは先進重工業の副産物だから。たとえば、薩摩の事情は次の通りだ。
産業革命以後活発な西欧列強の植民地活動に対し、、薩摩の島津斉彬は、西欧諸国のように強く(大砲をつくる一方で)豊かな国にしなければならないと考えた。国を豊かにするためには交易によって外貨を得る必要がある。そこで着目したのがガラスの特産品。外国へ輸出することを目的に集成館で薩摩切子を開発させた。
薩摩島津の国際性と近代工業化の先駆けをこの旅で見てみよう。
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