日本人は粋な人種である。粋とは、めだたない美であろう。強調しないさりげない隠された美であろう。 奥ゆかしい人種である。着物の裏地に粋な贅をこらす、何かの拍子にその「美」が顔を出す。 鏝絵も、その一つ。日本人の美意識と、精緻な職人技とが一体となった伝統工芸だ。 最初は、我が家の隠れた「たしなみ」であった鏝絵、軒下の壁につくられた「彩」が、いつしか道を歩く人を楽しませるための鏝絵と変わっていく。戦記物やドラマを描き、往来の人の目を楽しませるサービスに変わっていったのであろう。 鏝絵が多い町は、サービス、おもてなしの良い町に違いない。 そう思いながら鏝絵を探して町歩きしてみよう。 ところで、鏝絵は、蔵の壁面や土蔵造りの町家の白壁に、描かれた立体的な絵を一般にそう呼んでいる。左官職人が左官鏝一つで、巧に形づくることから鏝絵。ゆとりある商家や町家のプライドを示すものであり、左官職の技術をも示すもので、どこそこにあるものではない。 大分県下には約700件あるという。特に安心院には約70件も。周辺の日出、山香、院内にも多く見られる。風景あり、戦記物、ドラマ、屋号、縁起物、彩色、無彩‥と様々で、町をそぞろ歩きする楽しみがある。安心院をふり出しに、鏝絵のある町を歩いてみよう。
大分~(31分・JR)日出
大分空港~(30分・バス)日出~(33分・JR)宇佐~(110分・JR)由布院
由布院~(220分・JR)飯塚~(20分・JR+40分・バス)福丸~(15分・バス)脇田温泉
脇田温泉~(15分・バス)福丸~(45分・バス+20分・JR)福津~(40分・JR)博多~(7分・地下鉄)福岡空港