日本人は「ものの哀れ」を感じ、慈しみ、賞で、尊ぶ。この秀れた感性は日本人の特徴といってよい。
日本列島の豊かな四季のうつろい、その光と影。俳句に和歌に歌い込まれた季節との一体感の暮らし・・・独特の秀れた感性を大切にしたい。
さて、「平家物語」はそのものの哀れを奏でる。琵琶法師が日本人のものの哀れを感じる心に火を点けた。以来、今に消えることなく「平家物語」は語りつがれている。栄枯盛衰、勝者必滅、はかなさ、無情の世の波乱の物語は山ほどあるのに「平家物語」(特に壇ノ浦以後の物語)の人気は絶えることがない。しっかりと物語がついているからだ。
さて、それからの平家物語を辿っての九州の旅、出発点は、関門海峡を望む北九州市、門司から始めよう。
目の前、当時のままの海峡の流れ、この海の底に平家の永遠の都が鎮まっていると思うと心が動く。
関門にゆかりの史跡が多いのは当然として、落人の一派は九州の奥地(山都町・五家荘)へ。さらにもっと奥の椎葉に隠れ住む。そこでは、「ひえつき節」の哀切の調べが今も歌われている。
幾つかの事柄を除いて、伝承の域を出ない。
だが、地元の人たちが、そう信じて、語り継がれていることは歴史的事実である。理詰めで、その証は、と論議するものとは次元が違う。
「ものの哀れ」を賞でる優しい気持ちで旅しよう。
北九州空港~ (40分・バス) 小倉駅~ (10分・JR) 門司駅~ (40分・タクシー)隠蓑 ~ (40分・タクシー)門司港
門司港~小倉駅~(20分・山陽新幹線+40分・九州新幹線)熊本駅~ (20分・九州新幹線+20分・バス)矢部(浜町)
矢部~ (130分・タクシー) 五家荘~ (80分・タクシー)人吉~ (80分・バス)鹿児島空港