「万葉」という言葉にはいいしれぬロマンが潜んでいる。万葉時代とか万葉人というとき私たちは遥けくも遠い千三百年ほど前の、あのおおらかな時代を思う。のびのびとした闊達な気風を想像しその心情にひたる。
万葉ゆかりの地とか万葉の散歩道とか聞くと、そこを訪ねて心の解放感にひたりたいと思う。
古代人の瑞々しい率直な表現、無垢の心、心のまことを、愛や悲しみや歓びの歌の中に読みとって、歌を口ずさみたくなる——。
万葉の時代って「うらやましい」と感じてしまう。私の個人的に好きな 歌「朝寝髪われは梳らじ愛しき君が手枕触れてしものを」。
もう一つ「家にあれば笥に盛る飯も草枕旅にしあれば椎の葉に盛る」。
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さて、九州の地でも万葉の歌は決して少なくはない。学者の研究では万葉集4500余首の中で、それなりの数に上がっている。
うち福岡県が一番多い。遠の都・大宰府政庁があったことと、大宰府に大友旅人、山上憶良の歌人が滞在していた要因も大きい。
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ところで、万葉の故地と自負し名乗りをあげている地が多くなった。地域おこしとからめて「文化」に視点が置かれてきた証として嬉しい。
福岡県稲築町は、山上憶良の歌碑が15基、町を光らせている。時間のやりくりが出来ればぜひコースに組み入れてほしい。
鹿児島県の薩摩川内市は、熊本の水島の歌とセットになっているし、薩摩川内市にも、新しく歌碑が15基、川筋を彩っている。
移動する道中は、車内で万葉講座を開くと旅の意義が一層深まる。心地よい歌のリズムの夢心地の中で、私たちの魂は万葉の時代に遡っていく。
福岡空港~(15分・地下鉄)天神~(約70分・バス)志賀島~(約70分・バス)天神(30分・西鉄電車)太宰府~(2分・西鉄電車)二日市温泉
二日市温泉~(約160分・JR)八代市~(約65分・肥薩おれんじ鉄道)水俣~(10分・タクシー)湯の児温泉
湯の児温泉~(10分・タクシー)新水俣~(約20分・新幹線)薩摩川内市~(12分・新幹線)鹿児島中央~鹿児島中央~(75分・JR)都城市~(約20分・バス+約60分・特急)鹿児島空港