俗に日本三大車窓風景は根室本線狩勝峠、篠ノ井線姨捨と‥‥などいわれるが、この路線、即ち豊肥線、肥薩線は日本一の景観。
豊肥線で阿蘇へ登る、喘ぎ喘ぎ33度の勾配を上がると、いや登りきれないので立野でスイッチバック、して阿蘇のカルデラ平原へ。
緑に囲まれた阿蘇カルデラの中、右へ阿蘇山、米塚も阿蘇五岳の連なりも車窓についてくる。おだやかに車窓風景が流れていく。 翌日は、九州横断特急で人吉へ。球磨川に添って、列車は山峡を縫うように走る、塵一つない川、鮎の釣り人、川下りの船。川面は両岸の山の翠を移してどこまでも翡翠のように澄んでいる。カワセミ、甲羅干しの大きいスッポンも見える。ホントです。
人吉相良藩七〇〇年の歴史を持つ城下町。蔵めぐりなどを楽しんで夜は球磨焼酎を堪能。
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3日目あなたが走っている線は、明治42年に開業した九州最初の幹線。時の大臣「いさぶろう」の名前をとった列車。九州山地のど真ん中近くを走る、大畑ではループ、スイッチバックを体験。二つを一度に味わえるのは、日本でここだけ。
矢岳駅の停車時間では駅構内のSLD51を見てみよう。矢岳駅〜真幸駅間ではえびの盆地の背景に霧島連山が広がる絶景真幸駅。ここではホームの「幸せの鐘」を鳴らそう。そうして終点吉松駅でスローな列車から一転、真っ黒な車体の特急「はやとの風」へ。
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沿線には築百年を超える木造駅舎「嘉例川駅」が素朴な佇まいで建っている。緑の中を抜けると左側に錦江湾と桜島が列車の旅をしめくくるように見えてきます。