「平家物語」が日本人が好む読みもの、ドラマになっているのは、ものの哀れがその根底にあるからだ。このツアーでは最後の地・壇の浦をふり出しに、それからの平家を辿っていく。
幼い安徳帝の生存説はじめ「貴種」であった平家一門を偲ぶよすがの平家物語が九州には色濃く語り伝えられている。
帝と一門の足跡は、途中は定かでないが、由布院を経て竹田の緒方氏を頼り、姓を緒方姓に改め、九州山地の奥深くへ。その最後の地は、熊本県山都町(旧清和村)と、椎葉町(宮崎県)にしっかりと温存されている。
山の奥へ、奥地へ。人目のない所への足どりを再現しながらの旅。
大河ドラマ「義経」の続編が、この旅を通して、あなたの心の中に生まれる。
ところであの屋島合戦の語り草になっている那須与一の扇の的の横に立つ美女・玉虫が熊本御船町の出身、というのも驚きだが、行く先々で土地の人が大切にしている平家ゆかりの“史蹟”を目のあたりにすることは、うんちく派の旅の喜びだ。そして、歴史は創られるということ、人の心の中で創られ、育てられていくことを体験するだろう。
ところで伝説の約束ごととして「ありしかなかりしか知らねども、あったとして聞かねばならぬ」と。