九州は各地の神楽で使われる面や神社に奉納された面など、数多くの「民俗仮面」が伝承されてきた。
英彦山や求菩提山などの修験道の影響を強く受けた北部九州では、神事や神楽を先導する鼻の高い面や鬼神系の面などが伝わり、九州を南北に走る脊梁山地では、村所、小川、銀鏡、中之又など各地の神楽を通じて、狩猟や焼き畑を営んできた山の民が受け継いできた仮面に出会える。その仮面文化は、霧島山系の仮面と交差しながら南下し、黒潮が媒介した南島や中国大陸との接点ももつ南九州の仮面に連なっていく。
なかでもこの南九州は、仮面の数の多さと同時に、仮面そのものが神格化された「信仰仮面」と呼ばれる面や、室町中期以前の古い様式を伝える面が多いことが大きな特徴とされる。
なぜこのように数多くの仮面が密度濃く残ったのだろう。この問いに、20年間かけて九州各地の仮面を収集し、仮面が語りかける声に耳を澄ましてきた高見乾司さん(九州民俗仮面美術館館長)は、「権力の座から最も遠い地だったから」と答える。古代の南九州は現在の熊本県南部から鹿児島、宮崎を含む広大な地域で、「日向神話」を伝える地域と重なる。稲と鉄という革命的な文化を携えて渡来した人々(天孫族)と争った先住の民(隼人族)の面影は、猿田彦面や弥五郎面となって縄文の古層を窺わせ、権力を風刺する精神はヒョットコなどの道化面を生んでいく。記紀神話や南洋と混交しながら独自の発展を遂げた南九州の仮面文化。知るほどに興味は尽きない。
鹿児島中央~(40分・JR+20分・バス)鹿児島空港~(70分・バス)伊佐~(50分・バス)新水俣~ (25分・新幹線)薩摩川内~(20分・新幹線)鹿児島中央~(20分・新幹線)開聞~(30分・JR)指宿
指宿~(80分・JR)鹿児島中央~(90分・JR+80分・バス)霧島神宮~(150分・JR)宮崎
宮崎~(70分・バス)西都~(70分・バス)宮崎~(70分・JR特急)日向~(20分・JR)延岡~ (90分・バス)高千穂~(130分・バス)阿蘇くまもと空港又は(180分・JR)熊本駅