ポルトガル、オランダの数多い輸入品の中から砂糖のことを嗅ぎ分けてみよう。長崎の繁華街、思案橋近くの 砂屋は旧遊廓丸山のすぐ下、街の中。創業寛永元年(1624)。以来すべて手づくりの伝統を守る。コウモリの商標は、中国の幸運の印とされていることから。店内にはビードロやギヤマンが展示されて、買物をしなくても楽しめる。余裕があれば近くの崇福寺、眼鏡橋も。共に中国と長崎とのかかわりが学べる。新地と呼ばれる中華街での昼食もおすすめ。
諫早の菓秀苑森長の「おこし」も立ち寄りたいところ。
街道宿場町の塩田街、港町として栄えた古い町に「逸口香」「金花糖」の製造本舗がある。現地で味わう焼きたて、造りたての味は忘れられないだろう。
湯のまち武雄には、一に楼門、二に温泉、三に「十円饅頭」。限定品。庶民の味が嬉しい。
小京都・小城は羊羹のふるさと。水がよい。家内生産が多く、どの店も愛情こめた昔ながらの手づくりだ。
村岡総本舗隣の村岡総本舗羊羹資料館はかつての砂糖貯蔵庫。(国の登録文化財)
佐賀、北島の丸ボーロは元禄9年(1696)創業、鍋島藩の御用商人だった。本店内ではくつろぎのスペースもある。
飯塚では、炭坑景気がもたらしたまちの隆盛ぶりを偲ぶとよい。筑豊の人は太っ腹、宵越しの金は持たない気風がお菓子産業を大きく支えた。‥‥これほどお菓子にこだわる旅も珍しい。どのお菓子にも物語がついてまわる。それも古い由緒が。古い由緒を掘り起こすと、街道物語やまちづくりが出来ることも学んだ旅になる。