集成館を中心とする遺構を世界遺産として認可されるべくいま運動が進められている。
「建造物の保存状態からでなく、歴史的な重要性から入る必要性がある」の前提のもと「一つの県がイニシャティブを取り発火点となることが必要」「鹿児島、佐賀、福岡、長崎との連携が必要」として、行動、活動計画が進められている。
世界遺産の価値がある——と世界の専門家が注目した点は
●日本で最初の工業地帯である。
—最盛期1200人が働いていた 日本初の大型工業地帯である。
●近代国家日本の始まりが、ここ にある。
—製鉄、造船、紡績、窯業、通信、 出版、など近代産業のはじま りがこの工業地帯から展開さ れている。
●日本の近代化につながる西洋 の先端技術を日本で始めて導入
—溶鉱炉、造船、紡績等
●自力での研究開発
—製錬所(開物館)という実験 研究施設で、洋書が翻訳され、 近代の礎となる、最新の実験、 研究開発行われていた。
—集成館の工場で自力で近代 技術を開発し実用化した。
●幕末、薩摩が英国に出した留 学生は、明治に入り、近代日 本の中枢で活躍する。
●近代化は、アジアの近代化に 影響した。
●アジアにはまだ近代化産業遺 産の世界遺産がない
●製鉄事業
集成館内熔鉱炉、鋼山製鉄所
(薩摩型製鉄炉・山陰型たたら)
●鋳砲事業
集成館内反射炉、集成館内鑚開台、鋳製方(いせいほう)
●造船事業
磯造船所、桜島瀬戸村造船所、桜島有村造船所、牛根造船所
●紡績事業
郡元水車館、田上水車館、永吉水車館、石谷水車館、織屋(2ヶ所)
●ガラス事業
騎射場製薬館内ガラス工房、集成館内硝子工場
●研究施設
騎射場製薬館、鶴丸城開物館
●蒸気機関研究施設
集成館内鍋釜製造所、江戸藩邸内
●火薬製造
滝之上火薬製造所
●食品加工・製油 郡元水車館
●製薬事業 騎射場製薬館
●電信事業 鶴丸城開物館
●その他
砲術館、祇園洲砲台・新波止砲台・天井波止砲台など
——これらのことを頭に入れ、現地の見学をするとよく理解できる。