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器好き女子に贈る、九州で訪ねるべき窯元5選

九州は日本の磁器発祥の地・有田焼をはじめ、古くから「一楽、二萩、三唐津」といわれてきた唐津焼、民芸の里として知られる小石原焼など、魅力的な陶磁器の産地がたくさんあります。今回は、そのなかでも器女子も大満足間違いなしの、オススメの窯元を5つ厳選してご紹介。素敵な器を見つけて毎日の食卓もっと楽しくしましょう。

「翁明窯元」:小石原焼/福岡県

1682年、筑前福岡藩・3代目藩主に招かれた陶工の手によってはじまった小石原焼。小石原地区は陶器に適した土に恵まれ、日本の原風景のようなのどかな景色のなか、現在も50軒以上の窯元が作陶に励んでいます。
そのなかで今回ご紹介するのは、鬼丸親子が営む「翁明窯元(おうめいかまもと)」。
小石原焼きといえば刃先で規則的に化粧土を削いでいく技法「飛び鉋」や、刷毛で模様を入れていく「刷毛目」が有名ですが、翁明窯元では伝統や技法を大切にしながらも、新しい器づくりにチャレンジをしています。
そのひとつが、水玉模様やドットを配した器。
土味を生かした小石原らしい器のなかに浮かぶ水玉がかわいらしく、民芸初心者でも自然にテーブルコーディネートに取り入れられます。
また、上下に入ったしのぎのラインが印象的な深碗やそばちょこは、ご飯はもちろん、スープはデザートなどあらゆる料理を受け止める懐の深さがあります。
小石原焼や民芸に興味があるという方に、まず最初におすすめしたい窯元です。
翁明窯元

福岡県朝倉郡東峰村小石原1126-1

http://www.020oumei.info/index.html

「隆太窯」:唐津焼/佐賀県

器好きが旅の目的地にあげるほどの、唐津きっての人気の窯が「隆太窯」です。
隆太窯は人間国宝にもなった12代中里太郎右衛門の5男、中里隆氏が開いた窯で、現在は2代目の太亀氏が窯を守ります。
窯は棚田や畑に囲まれており、清らかな小川が流れるさまは桃源郷のよう。
太亀氏は絵唐津や粉引唐津、黒唐津といった伝統的な唐津焼の技法にも通じていますが、そこにひと工夫を加え現代的な器にするセンスが、多くの器愛好家を虜にするところ。
粉引平皿
写真の粉引唐津は、皿を上下に反転させて化粧土を2回かけることで器の真ん中に白い線がうまれます。これがアクセントとなり、モダンな印象となっています。
鉄釉平皿
ムラのある飴色がかった釉薬が印象的な鉄釉平皿。
唐津南蛮
通常の窯焚きより日数をかけて焼き締める、唐津南蛮。水に濡らすと景色がより鮮やかにでてきます。
また、隆太窯では毎月テーマを決めて企画展を開催しています。普段、ギャラリーだけでは並びきれない器がそろうので、そちらものぞいてみてください。
隆太窯

佐賀県唐津市見借4333-1

http://www.ryutagama.com

「2016/」:有田焼/佐賀県

2016年に400周年を迎えた、日本の磁器発祥の地・有田。
町内には数多くの窯元が点在していますが、いろいろな窯元の器を見たいなら、「有田陶磁の里プラザ(有田焼卸団地)」を訪れるのがおすすめです。ここは有田焼商社22社が集まる有田焼専門の大規模ショッピングモール。
なかでもいま注目される窯元が、「2016/」です。
「2016/」は世界各国、16組の気鋭デザイナーとタッグを組み、現代的かつ日常に寄り添う、新しいスタンダードとなりうる器づくりを目指しているブランドです。
店内に入ると、いきなりスタイリッシュなコーヒースタンドが設けられています。コーヒーは一杯ずつ丁寧にドリップしています。
「2016/」のマグカップでいただくドリップコーヒー(500円)。マグカップは前衛的なデザインですが、口当たりがとても良く、びっくりします。もちろん、生チョコレートとの相性も抜群です。コーヒーは有田町内の自家焙煎喫茶「木漏れ陽」のものを使っています。
店内奥の展示・販売スペースはモダンな倉庫のような雰囲気。
柳原照弘氏とショルテン&バーイングス氏が手がける「エディション」と、15組のデザイナーが手がける「スタンダード」、2つのシリーズがあります。
カフェで使用されているマグカップは、藤城成貴氏が手掛けたもの。有田では上絵付けのことを赤絵と呼んでいて、昔から特別な色だったその赤に着目してデザイン。赤は3600円、グレーは3100円。
2016/

佐賀県西松浦郡有田町赤坂 有田焼卸団地

http://www.2016arita.com/jp/arita/about-the-project

「マルヒロ」:波佐見焼/長崎県

全国的にもいま勢いのある陶磁器産地といえる波佐見焼。今回オススメする「マルヒロ」のギャラリーは波佐見有田ICのすぐ近くという好立地で、立ち寄りやすいのも嬉しいところ。
「マルヒロ」は波佐見焼の陶磁器ブランドである「HASAMI」や「馬場商店」、「ものはら」「the place」を運営する陶磁器メーカーです。
近年は人気カフェやファッションブランドともコラボしており、波佐見焼でももっとも注目されているメーカーのひとつといえます。
入ってまず度肝を抜かれるのが、什器などが置かれた床。
ご覧のようにカップや皿、茶碗などを積み上げ土間のように仕上げているのです。その数なんと約3万個!
これはつい足元を写真に撮らずにはいられないでしょう。
イギリスのパブで使われるようなお酒周りのアイテムがそろうシリーズ「HASAMI season 5s」。自然そのものが持つ繊細な色合いを、マットな質感で表現。
壁にずらりと並んだ「SOBA CHOCO」。伝統的な絵柄をモチーフにしたものから、アーティストとコラボしたものまでさまざま。値段も手頃で、お土産としても気軽に買えます。
ほかにも「ものはら」のなかの1シリーズ「くらわんかコレクション」は、独自に開発した釉薬を使い素朴な風合いを再現しており、シンプルな形状と豊富なサイズ展開で日常食器としてもぴったりです。
マルヒロ直営店

佐賀県西松浦郡有田町戸矢乙775-7

http://www.hasamiyaki.jp

「ふもと窯」:小代焼/熊本県

小代焼(しょうだいやき)は熊本県荒尾市や南関町、宇城市、熊本市など主に県北部で焼かれている陶器です。今回ご紹介するのは、熊本県荒尾市に窯を構える「ふもと窯」。窯には数名の陶工がいますが、なかでも井上尚弘氏は民藝の旗手として全国から注目される作り手です。
尚之氏の作風として特徴的なのは、器の表面にスポイトに入れた化粧土で模様を描く〝スリップウェア〟という技法。その伸びやかで躍動的な模様は料理を盛ったときもアクセントとなり、シンプルな料理であってもとても見栄えがします。そのヨーロッパを彷彿とさせる佇まいから、インテリアとして部屋に飾っている人もいるそうです。
また、小代焼の特徴としては高温で焼成(しょうせい)するために陶器のなかでは丈夫といえます。陶器ながらもオーブン調理もできるので、料理好きにも喜ばれています。
小代焼自体、もともと日用の雑器として数多く作られてきた歴史があるので、現代でも手に取りやすい値段というのも嬉しいですね。
小代焼ふもと窯

熊本県荒尾市府本上1728-1

http://arao-kankou.jp/specialty/special/syodaiware.html

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