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秋にしかできない、有田陶磁器まつりと波佐見焼の楽しみ方【後編】

九州が誇る2大陶磁器産地を巡る旅の後半戦。
佐賀県の有田町と、長崎県の波佐見町は車で約15分の隣町。
今回は昨年9月に運行が始まった、有田波佐見乗合TAXIを利用して、お得に主要観光スポットを巡ろうと思います。

「有田波佐見乗合TAXI」とは、1日乗車券(大人1000円、小学生500円)を購入すると、有田から波佐見に設定された5つの乗降場所で自由に乗り降りができるというもの。
利用するには事前予約が必要で、月によって運行するタクシー会社が異なるのでご注意を。有田側からはJR有田駅前の「KILN ARITA」 から乗車して、いざ波佐見へ出発です。
【予約受付】
・マユミタクシー(奇数月のみ)0956-85-5844
・相互交通(偶数月のみ)0956-85-2050
出発して最初に設定されている乗降場所は、波佐見有田ICです。
早速、乗降場所のすぐ近くにギャラリーがある「マルヒロ」を訪ねてみました。
 
マルヒロは波佐見焼の陶磁器ブランドである「HASAMI」や「馬場商店」、「ものはら」「the place」を運営する陶磁器メーカーです。
近年は人気カフェやファッションブランドともコラボしており、波佐見焼でももっとも注目されているメーカーのひとつといえます。
入ってまず度肝を抜かれるのが、什器などが置かれた床。
ご覧のようにカップや皿、茶碗などを積み上げ土間のように仕上げているのです。その数なんと約3万個!
これはつい足元を写真に撮らずにはいられないでしょう。
 
壁にずらりと並んだ「SOBA CHOCO」。伝統的な絵柄をモチーフにしたものから、アーティストとコラボしたものまでさまざま。
イギリスのパブで使われるようなお酒周りのアイテムがそろうシリーズ「HASAMI season 5s」。自然そのものが持つ繊細な色合いを、マットな質感で表現。
マルヒロ

佐賀県西松浦郡有田町戸矢乙775-7

http://www.hasamiyaki.jp/

次は「波佐見町役場」を経て、「陶芸の館」に到着です。
目の前のやきもの公園を歩いていると、小高い丘の上に何かのオブジェ?が見えます。登ってみるとそこにあるのは「世界の窯広場」。
ここには古代から近世にかけての、世界各地の希少な窯が12基再現されています。イギリスで18世紀ごろから使用されていたボトルオーブンなど、ユニークな窯もたくさん。
公園の一角にあるのが「陶芸の館『観光交流センター』(くらわん館)」。
波佐見焼の35の窯元や商社のうつわが集められていて、それも窯元ごと、商品のジャンルごとに分類されているので、とっても見やすい&探しやすい!
もちろん購入することもできます。窯元の情報も紹介しているので、これから自分好みの波佐見焼を探したいという人には、本当にぴったりのスポットです。
 
自社デザイナーによるオリジナルの商品を展開する「natural69」。豆皿は値段も手ごろ。
「西海陶器」の急須と湯吞。波佐見焼といえば、、、という、伝統的な意匠を現代風にアップデート。
ヨーロッパのアンティークや北欧を思わせる「WAZAN」のモダンな器。
くらわん館 (陶芸の館)

長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2255-2

http://kurawankashop.sakura.ne.jp/

やきもの公園がある西の原地区は、波佐見でもセンスのいいショップや飲食店が集まるエリア。波佐見焼の製陶所だった敷地の建物をリノベーションして、お洒落な店がつくられています。
西の原エリアにお洒落な店が集まるきっかけとなった店のひとつが、〝ずっと使えるもの〟をコンセプトに、暮らし周りの品々を扱う「HANAわくすい」です。ここは、「実際に来て感じてもらいたい」ということなので、外からパチリ。
しっかりとした審美眼で選んだ、本当にいいものばかりがそろうので、自分のものはもちろん、大切な人にも選んでみてください。
HANAわくすい

長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2187−4

http://hanawakusui.com/

敷地内には製陶所の建物を利用した、カフェやコーヒー豆店、器ショップなどが点在。ちょうど小腹も空いてきたので、「にぎりめし かわち」に入ってみました。
ここでは、波佐見町内で育てられたお米を使ったおにぎり定食(500円)が主役。具材は肉味噌や梅肉など6種類から選べます。具材のほか、味噌汁の合わせ味噌も地元のお母さんたちが愛情を込めて作ったもの。昔ながらの製法で作ったほっとする味でした。
 
にぎりめし かわち

長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2185

再び乗合タクシーに乗り込み、終点の中尾山交流館へ。
波佐見の中心部から車で15分ほどの静かな山あいにある中尾山は、1644年に開かれたとされる〝波佐見焼はじまりの地〟。現在も約20の窯元、商社がその歴史を守っています。
乗降場所すぐにある「文化の陶 四季舎」に入ってみました。
ここは製陶所跡を利用した喫茶で、石窯を使ったピザ焼き体験なども行なっています。
 
さっきおにぎりを食べたばかりですが、スパイスのいい香りに誘われ、名物の黒米カレー(600円)を注文してしまいました。想像していたよりもスパイシー! でもこの刺激的でサラリとした口当たりのルウが、もっちりプチプチとした食感の黒米とよく合います。
文化の陶 四季舎

長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷660

http://hasami-kankou.jp/archives/1018

高台から見下ろした中尾山の町並み。多くの窯元や民家が密集し、路地は迷路のようです。世界最大級の登り窯跡が2つもあるのも特徴です。
中尾山を散策していていると、成形後に天日で乾燥させている器をいたるところで目にします。
こちらは、成形したばかりの器。こんな風に職人が作業している様子や、その気配を感じられるのも、中尾山の魅力かもしれません。
いかがでしたか?秋ならではの有田陶磁器まつりの楽しみ方と、乗り合いタクシーを利用した波佐見までのショートトリップ。器好きはきっとこのコースで、秋にたくさんの掘り出し物を見つけるはず。あなたも今度の秋は、このコースで自分だけの器を探してみませんか?
有田を散策した前篇の記事はこちらから
 

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