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焼酎だけじゃない!?日本酒の酒蔵数全国5位の日本酒王国・福岡で一献!

九州=焼酎という人も多いでしょうが、何を隠そう福岡県は全国有数の日本酒どころ。現在、日本酒の蔵元は57蔵と全国5位。酒造好適米の王様といわれる山田錦の生産量は全国2位を誇っています。そこで、福岡に来たらぜひ味わってほしい銘酒を日本酒のプロに聞きました。おいしい地酒を楽しめるスポットもご紹介します。

江戸時代の儒学者も絶賛した福岡の美酒

同じく福岡県の筑後地方も酒造りが盛んで、久留米市の城島町・三潴町からなる城島エリアでは、大規模な蔵開きも開催。(写真提供:(公財)久留米観光コンベンション国際交流協会)
筑後川をはじめとする良質な水、米づくりに適した気候と肥沃な大地。ゆたかな自然に恵まれた福岡は古くから日本酒づくりが盛んに行われ、江戸時代の元禄年間には600軒以上もの酒蔵があったと言われています。筑前(福岡)の儒学者で、健康長寿の心得をしるした養生訓の著者で知られる貝原益軒は、福岡の酒を「優良、上国の佳産に勝るもの」と高く評価したそうです。明治時代には全国生産量2位となり、パリの万国博覧会で入賞を果たすという快挙も。やがて戦後まもなく、昭和20年代から福岡県西部の糸島地区で酒造好適米「山田錦」の栽培がはじまりました。いい米と水を生かした酒づくりの精神は今も脈々と受け継がれ、時代にあった新しい美酒も続々と誕生しています。

福岡の酒と人をつなぐ。銘酒の宝庫「住吉酒販」

住吉酒販「博多本店」

福岡の酒を語るうえで欠かせないのが「住吉酒販」。福岡を代表するプロ御用達の酒販店です。福岡市博多区住吉にある「博多本店」では、個性ゆたかな九州の地酒をはじめ全国の銘酒がずらり。店主自ら各地の酒造や生産者のもとを訪ね歩き、選りすぐった逸品がそろっています。蔵を思わせる漆黒のお店は風格ただよう雰囲気。扉を開けると、地元でもあまり知られていない食品がひしめくように並んでいます。1階の入口周辺は食品売場で「酒飲みの酒飲みによる酒飲みのため食品」を仕入れています。いずれも生産者の顔や人柄までわかる商品ばかりだそうです。焼酎やワイン、クワフトビールもかなり充実していますが、今回の目的は日本酒。いざ、日本酒売場を目指して階段を登ります。

住吉酒販「博多本店」/2階日本酒売り場
冷蔵庫や棚まで九州の地酒がひしめくように並んだ2階日本酒売場は、住吉酒販の“顔"ともいえるコーナー。すっきりとクリアな辛口から濃醇なものまで幅広いラインナップに思わず圧倒されます。日本酒選びに迷ったら、好みの味わいや料理との相性、冷酒や燗酒などさまざまな飲み方などに合わせて、スタッフが提案してくれます。ここなら、いま福岡で飲むべき日本酒に出会えるはず。今回は住吉酒販代表の庄島社長におすすめを教えていただきました。
住吉酒販代表・庄島社長

住吉酒販おすすめの日本酒はこちら!

左から、「三井の寿 フェリーチェ」、「田中六五」、「庭のうぐいす ulala」
田の中にある酒蔵。白糸酒造「田中六五」
山田錦の生産が盛んな糸島で酒造りをいとなむ白糸酒造。その8代目蔵元と、庄島社長が生み出したのが、いまや福岡の定番ともいえる銘酒「田中六五」です。コンセプトは『上質なカジュアル感』。都会と田舎のハイブリッドともいえる福岡の街のイメージを純米酒で表現したそうです。ハネ木搾りという昔ながらの手法を用いたその味わいは、穏やかながらもフレッシュ。どんな料理にも合わせやすく、最初の乾杯からシメまでこの1本で通せるので、食中酒にぴったりです。ちなみに、田中は蔵元の名字であるとともに、“山田錦の田んぼに囲まれた酒蔵"、六五は“65%精米により仕上げられた"ことを表しています。
ラベルの様に美しい一本。山口酒造場「庭のうぐいす ulala」
福岡の蔵元と一緒につくった住吉酒販オリジナルの日本酒。福岡県久留米市の山口酒造場による「庭のうぐいす ulala(うらら)」は、アートのように鮮やかなデザインが魅力。封を開けるとふわっと華やかな香りが立ちのぼり、みずみずしいフルーティな味わいを楽しめます。日本酒ビギナーにもおすすめです。
大人の色気漂う品のある酒。みいの寿「三井の寿 フェリーチェ」
みいの寿は福岡県三井郡大刀洗町で大正11年から続く老舗。「felice(フェリーチェ)」という名前は、イタリア語で“幸福"という意味です。すっきりとしながらも米本来のほのかな旨みが感じられ、クラシックで落ち着いたテイスト。喉を通ると心地よい余韻が広がり、幸福感に包まれます。ボトルはおみくじや水引きのような縁起の良いデザイン。
福岡ならではの特別なお土産にいかがでしょうか。
住吉酒販「博多本店」

福岡県福岡市博多区住吉3丁目8−27

https://sumiyoshi-sake.jp/

福を呼ぶ“福酒”と会話に笑顔もはずむ♪「Sake Bar 福蔵」

「Sake Bar 福蔵」(店内)

九州一の繁華街・中洲からほど近い、西中洲の一角にたたずむ「Sake Bar 福蔵(ふっくら)」は福岡県産のお酒だけをとりそろえた日本酒バー。すぐそばの春吉にあった佐賀の日本酒バー「さが蔵」の姉妹店として、2015年にオープンしました(2019年11月には、さが蔵が春吉から福蔵の2階に移転)。
ほんのり灯りがともる酒瓶の提灯が目印。7席ほどのバーカウンターの奥には冷蔵庫いっぱいの酒、酒、酒!もちろんすべて福岡のお酒で、日本酒を中心に焼酎やクラフトビール、梅酒などもあります。

冷蔵庫を埋め尽くす福岡の酒。酒販店から仕入れるほか、蔵開きで手に入れた限定酒も。
「Sake Bar 福蔵」(外観)。中央の扉が「福蔵」で、右端の扉が「さが蔵」。

旅行や出張でも楽しめる15時からの営業。店主が選んだ福岡の酒をお手製のおつまみとともに。

左から、「寒北斗 30 VISION」、「萬代 博多の森 純米吟醸〜限定初しぼり」
日本酒をこよなく愛する店主の入江さんは、利き酒大会で優勝するほどの実力の持ち主。お酒の知識も豊富で、好みにあった銘柄はもちろん、福岡の蔵元さんのお話やお酒の楽しみ方なども教えてくれます。旅行や出張などでぶらりと立ち寄る人も多く、『福岡の地酒ってこんなにおいしいんだ!』と驚く人も多いそう。「生姜の佃煮」や「奈良漬onチーズ」など、お手製の日替わりつまみも好評。福をよぶ“福酒"と店主とのおしゃべりにお酒も進みます。入江さんにおすすめの銘酒を聞いてみると『全部!』とのことでしたが(笑)、その中からとっておきを選んでいただきました。1つは福岡県宇美町・小林酒造本店の「萬代 博多の森 純米吟醸〜限定初しぼり」。「博多の森」の純米酒は超辛口でおなじみですが、このお酒はフレッシュな風味とやわらかな口当たりが印象的です。もう1つは福岡県嘉麻市・寒北斗酒造の「寒北斗 30 VISION(かんほくと サンマルビジョン)」。福岡で新たに開発された酒造好適米“寿限無"を使用し、若々しくキリッとした超辛口に。『30年後も福岡で愛される銘酒であるように』との思いを込めて、若手蔵人が創意工夫を重ねて仕上げたこだわりの銘酒です。
ほかにも、新酒や地域限定酒などその時にしか飲めないお酒がそろっています。アットホームな雰囲気なので、気軽に立ち寄ってみましょう。
Sake Bar 福蔵

福岡県福岡市中央区西中洲11−1 1 階 浦ビル

https://twitter.com/fukkurafukusake

角打ちをオシャレに楽しむ「とどろき酒店 薬院stand!」

「とどろき酒店 薬院stand!」(外観)

個性ゆたかでオシャレな飲食店や服飾雑貨店などが集まる福岡市中央区白金エリア。その中でもひときわ目を引くのが、2020年10月に移転オープンしたばかりの「とどろき酒店 薬院stand!(やくいんスタンド)」です。ガラス張りの店内に入ると、手前には日本酒やワインがずらりと並ぶ販売スペース。その奥は、コの字カウンターの角打ちコーナーになっています。白壁に木をあしらったシンプルなデザインの内装は、いわゆる“酒屋さんでの立ち飲み"のイメージがあっさり覆ってしまうほどスタイリッシュ!

移転前よりも広くなった角打ちコーナー。
季節の食材を活かしたやさしい味わいのおつまみも人気。
ゆったりとしたキッチンでは京都出身のスタッフがおつまみを手づくり。旬の野菜たっぷり、やさしくしみじみとした味わいの手料理をゆっくりつまみながら、おいしい日本酒を楽しめます。
お酒のメニューは、福岡の地酒からワインまで幅広くラインナップ。「ワイン好きな人が、ここで飲んだ日本酒を好きになってくれることもあります」と店長の石田さん。好きなお酒を自由に、気軽に楽しめるのも角打ちの魅力のひとつ。日本酒はグラスで300円〜揃っているので、色々な種類の銘柄を飲み比べしてみるのも良いですね。「どれを選べば良いかわからない」という人は、スタッフにたずねるとぴったりのお酒を教えてくれますよ。

オリジナルの日本酒も楽しみ。気に入ったらその場で購入できるのも角打ちならでは!

左から、「三井の寿 Co2」、「TAMA」、「カラクチサムライ」
注目は「とどろき酒店」が福岡の蔵元と共同企画でつくったオリジナルの日本酒。「三井の寿 Co2」は、シャンパンと同じ瓶内発酵でつくられたスパークリングタイプの日本酒。シュワシュワとした微発泡のさわやかな口当たりが楽しめます。福岡で最も長い歴史をもつ福岡県・二日市の大賀酒造による「TAMA」は、米の甘みと穏やかなふくらみが口の中にやさしく響きわたります。スイスイと飲めてしまうので、つい杯を重ねてしまいそうです。杜の蔵「カラクチサムライ」はスパッと刃物で切ったようなキレがある辛口の純米。冷や、常温、燗酒にも合うので季節を問わず楽しめます。もちろん店頭でも購入OK。角打ちで気に入ったお酒が見つかったら、おうちでもぜひ楽しみましょう。
とどろき酒店 薬院stand!

福岡市中央区白金1-16-4 いのくちビル1F

http://todoroki-saketen.com/

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