九州のスィーツ


九州北部


鶏卵素麺

 「鶏卵素麺」(けいらんそうめん)と聞くと、純日本的なひびきですが、実はポルトガル伝来のスイーツです。日本三大銘菓に数えられ、博多の伝統菓子として知られています。
 作り方は、まず氷砂糖を沸騰させた糖蜜の中に卵黄を糸のように細くして流し込みます。そしてすぐに引き上げ、余分な蜜が落ちた後に切り揃えればできあがり。簡単な製造工程ですが、見た目の美しさと上品な甘さを持った極上の鶏卵素麺を作るのは至難の技です。

鶏卵素麺
  • 小城羊羹小城羊羹

     口の中に入れるとトロリと溶けそうな食感と、うっすらと光が透き通る宝石のような色合いが見事な「小城羊羹(おぎようかん)」。
      「日本さくら百選」に選ばれている小城公園では、狭いエリアに20軒以上の羊羹屋さんがあり、店ごとに特徴のある味を競っています。
     地元の人にはそれぞれ気に入った、ひいきの羊羹屋さんがあるそうです。

  • 梅ヶ枝餅梅が枝餅

     学問の神様として知られる、菅原道真公に由来する福岡県太宰府市の名物です。小豆餡を薄い餅の生地で包み、鉄板で焼きあげます。餅の真ん中には5枚の花びらを持つ、梅の花の形が焼付けられています。
     できたての熱々は、パリッとした皮と香ばしい食感で食べた後に思わずにっこりしてしまう美味しさ。梅ヶ枝餅は菅原道真公が太宰府に左遷され、意気消沈しているときに老婆から贈られ、その後道真公の好物になったと言い伝えられています。受験生や就職活動中の学生さんなどには縁起物としてもおすすめです。

  • 草木饅頭草木まんじゅう

     甘いものが好きな男性なら、ぽいっと一口で食べてしまう、大牟田市(福岡県)の銘菓「草木饅頭」です。
     直径が3cmほどと普通の饅頭より小ぶりで、白餡が入っています。
     明治時代の終わりに今の大牟田市内の草木地区で作られたのが始まりとされています。
     「草木の饅頭」と呼ばれていたのがいつの間にか「草木饅頭」になり、名物として愛されるようになりました。

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九州西部


カステラ

 日本のカステラの発祥の地とされる長崎。「長崎カステラ」は16世紀の室町時代に宣教師によって、ポルトガルから伝わりました。
 卵を泡立てて小麦粉、砂糖、水飴などを混ぜ合わせた生地をオーブンで焼いて作ります。
 現在では、チョコレート、抹茶、はちみつなどを混ぜたバリエーションカステラも豊富です。原型に近いオーソドックスなカステラだけではなく、個性的な味も楽しんでみてください。

カステラ
  • カスドースカスドース

     日本が鎖国をしていた約400年前に、ポルトガルから長崎の平戸に伝えられたとされています。作り方は、焼き上げたカステラを冷ました後に、茶色く焼けた表面を落とし、適当な大きさに切り乾燥させます。そして、といた卵黄にくぐらせた後、鍋で熱した糖蜜の中で揚げるように浮かべて、最後にグラニュー糖をまぶしてできあがりです。「カスドース」は鶏卵や砂糖を豊富に使ったぜいたくな菓子で、平戸藩主・松浦家の「お留め菓子」として限られた場のみで食されていました。製法は門外不出の秘法とされ、「カスドース」が一般に知られるようになったのは、最近のことです。

  • かんざらし寒ざらし

     長崎県島原の名物菓子です。
     まず、白玉粉で作った小さな団子を大量の湧水で冷やします。そして、蜂蜜、砂糖等で作った特製の蜜をかけて食べます。口溶けのいい上品な甘さと喉越しのよさが人気の素朴な菓子です。
     抹茶と一緒にいただくのがいちばんのおすすめですが、「寒ざらし」はコーヒーにもよく合います。
     店によって微妙に味も異なるので、食べくらべをしながら歩くのも楽しそうです。

  • シースクリームシースクリーム

     長崎県民に人気のケーキ、「シースクリーム」。
     キメの細かいスポンジの上に、カスタードクリームと生クリーム、そしてピーチとパイナップルが乗せられています。素材の組み合わせが絶妙でシンプルな美味しさが人気で、ご当地でケーキといえば、「シースクリーム」と言うほどの定番です。

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九州中部


いきなり団子

 サツマイモを小麦粉で包み、蒸して作る、熊本県の郷土菓子です。
 もともと、急な来客の際にも「いきなり」出せる、短時間で「いきなり」作れるなどが、名前の由来といわれています。店舗によって味は異なります。中に使うイモはさまざま、まわりを包む小麦粉に色を施すなどアイデアも多彩です。

いきなり団子
  • やせうまやせうま

     おやつとして今でもよく食べられている、大分県のお菓子です。小麦粉で作った手延べの麺をゆで、きな粉と砂糖をまぶして食べます。
     「やせうま」と同じ麺を使い野菜などと一緒に味噌仕立てで煮込むと、これまた大分の郷土料理として有名な「だんご汁」になります。
     やせうまの語源は、平安時代、貴族の子・藤原鶴清麿が乳母・八瀬(やせ)に「八瀬、うまうま(幼児語で食べ物の意)」と所望したところ、八瀬が小麦粉を棒状に茹で、きな粉をまぶして食べさせ、後にそれが「やせうま」というおやつになったという説が一般的です。

  • 朝鮮飴朝鮮飴

     16世紀ごろに生まれた熊本の銘菓です。
     熊本市内の「老舗園田屋」の初代園田武街門により考案されました。もともとは「肥後飴」、「長生飴」と呼ばれていましたが、加藤清正らの朝鮮出兵の折に兵糧として利用されたことから「朝鮮飴」と呼ばれるようになりました。
     もち米と水飴、砂糖、片栗粉などをこねて作ります。飴というより餅に近い食感です。
     以前は黒砂糖を使用した「黒朝鮮飴」が主流でしたが、現在では白砂糖を使った「白朝鮮飴」も多くなりました。

  • 杖立プリン杖立プリン

     熊本県小国町の杖立(つえたて)温泉は、弘法大師も訪れたという歴史のある温泉です。
     温泉町にはその昔「甘玉子(あまたまご)」という、茶碗蒸しに砂糖を加えた「プリン」のような菓子がありました。
     「甘玉子」を個性豊かなプリンとして現代によみがえらせたのが「杖立プリン」です。温泉の蒸気を活かして作られ、現在では10を超える店舗で創意工夫された「杖立プリン」を食べることができます。
     「杖立プリン、あります」と書かれた看板が目印です。

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九州南部


青島ういろう

 宮崎県の観光地として有名な青島(宮崎市)の名物です。明治10年頃、旅館業を営む鈴木サトさんが売り出したのが始まりと言われています。
 初めは「おサト羊羹」と呼ばれていました。クスリの外郎飴(ういろうあめ)に似ているのでサトが「ういろう」と命名したとのこと。名古屋のういろうとの違いは、「青島ういろう」がうるち米の米粉を使用しているのに対し「名古屋ういろう」は薄力粉や上新粉になります。また、青島ういろうは上品なほどよい粘りが持ち味です。

青島ういろう
  • かるかんかるかん

     米粉とヤマイモに白砂糖を入れて練り、蒸し上げた鹿児島の名物「かるかん」。薩摩の藩主、島津家との関わりが深く、二十代当主の誕生日にお祝いとしてかるかんが出されたとか、二十八代当主が江戸から連れ帰った御用菓子職人の八島六兵衛が苦心の末にかるかんを産み出した、などと伝えられています。
     「かるかん」は、他の蒸し菓子にはないふんわりとした口当たりと独特の香りが特徴です。また、餡などをかるかんで包んで丸くした「かるかんまんじゅう」もあります。

  • しろくましろくま

     削った氷に練乳をかけ、フルーツ等をトッピングしたかき氷で、鹿児島の夏の風物詩である「しろくま」。昭和のはじめ、練乳をかけたかき氷が登場し、名前の由来は、練乳の缶に貼られていたラベルの「白熊」をそのまま借用したことが始まりと言われていますが、上から見ると白熊の顔に見えることからその名がついたという説が今では一般的。
     その後、三色寒天やサイコロ状に切られた羊羹、フルーツや豆類などが乗せられ豪華になっていきました。

  • ぢゃんぼ餅ぢゃんぼ餅

     両棒餅と書いて「ぢゃんぼもち」と読みます。鹿児島で古くから親しまれている郷土菓子です。名前の由来は、武士が刀を二本脇に差していた姿から来ていると言われています。
     もち米や上新粉で作られた楕円状の団子に竹串が二本刺されています。団子の違いもありますが、タレにはそれぞれの工夫が凝らされ、店によって味も大きく異なります。醤油に砂糖を加えたものや味噌仕立ての味があります。

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カステラの写真/撮影協力 松翁軒

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