Special特集

Relationship between the land of Kyushu and alcohol production九州の土地と酒づくりの関係性

  • 日本酒

    (縄文~弥生時代)
    宮崎県西都市

  • 焼酎

    (14世紀)中国大陸⇒琉球
    (15世紀)中国⇒朝鮮半島
    (16世紀)琉球⇒薩摩
    朝鮮半島⇒壱岐

  • ビール

    (江戸時代)オランダ⇒長崎出島
    ※2018年9月現在、長崎では製造されていない

  • ワイン

    (江戸時代)西欧⇒福岡

九州の土地と酒づくりの関係性
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    日本酒

    日本酒は酒類の中でも最も歴史が長く、西暦700年代初頭の日本の書物に記述があります。米を主として酒が造られるようになったのは、縄文時代~弥生時代にかけて水稲農耕が渡来定着した後で、日本で最初に米で酒を造ったのは木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)と言われています。
    木花咲耶姫は現在の宮崎県西都市で、母乳の代わりに甘酒を醸して3人の子に与え育てたといわれ、結婚式を挙げた都萬(つま)神社の境内には日本酒発祥の碑が建てられています。この頃は加熱した穀物を口でよく噛み、唾液の酵素で糖化、野生酵母によって発酵させる「口噛み」という、原始的な方法が用いられていました。
    日本のアニメ「君の名は。」にも登場した「口噛み酒」です。酒を造ることを「醸す」といいますが、この語源は「噛む」によるといわれています。「口噛み」の作業を行うのは巫女に限られており、酒造りの仕事の原点は女性であるということが伺えます。
    江戸時代になると、豊後の国(現在の大分周辺)では、蒸し米、米麹、水を仕込んだ「麻地酒(あさじざけ)」が誕生し、幕府への献上物として全国にその名が知られました。
    また、古くから有数の米の生産地である佐賀県などでは、良質で豊かな水に恵まれ米のうまみを生かした日本酒が造られています。

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    焼酎

    焼酎の起源は現在も謎につつまれたままですが、焼酎に近い蒸留酒が11世紀頃に中近東・東南アジアを中心に作られていたと言われています。14世紀頃に中国から琉球(沖縄)を経由して1705年に鹿児島に入ってきました。焼酎が日本で飲まれていた記録として、1546年に薩摩国(鹿児島県)を訪れたポルトガル人が米から作る米焼酎を飲んだ文献が残っています。
    薩摩の国(鹿児島周辺)で芋焼酎が盛んにつくられるようになったのは、当時は米が高価であったことや、水はけが良すぎて土に養分を蓄えにくいシラス台地では、米が育ちにくかったことから、栽培が適しているサツマイモを積極的に生産していたためです。サツマイモはヨーロッパ、東南アジア、琉球を経て伝来しました。
    また、長崎県の壱岐は麦焼酎発祥の地と言われています。16世紀の藩政時代、藩は肥沃な土地に着目し、甘藷より、高価な米、麦を年貢物として奨励しました。壱岐焼酎は、この豊富な麦を原料としてつくられはじめました。

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    ビール

    元々、江戸で盛んになった蘭学からビールが知られるようになりました。「液体のパン」とよばれるビールは、栄養価の高い飲み物として注目されていました。
    九州では鎖国時代に、オランダから日本唯一の玄関口「長崎県」にビールがもたらされ、蘭学者たちがビールの試作を重ねたといわれています。

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    ワイン

    15~16世紀に日本国内には宣教師によってワインが持ち込まれていたものの、国内での本格的なワインづくりは、1870年代に山梨ではじまったとされていました。ところが近年、1620年代には小倉藩(福岡)でワイン造りが行われていたことを記す文献が見つかりました。
    その後、九州における本格的なワイナリーの設立は平成に入ってからです。九州ならではの土壌の質で栽培できるシャルドネで、高品質の個性あるワインが有名となりました。