2024年03月31日

生産量国内第3位、実は福岡も馬肉王国だった!

馬肉、馬刺しといえば真っ先に思い浮かぶのは熊本県だが、福岡県も馬肉生産量で全国第3位(2022年農林水産省調べ)を誇る馬肉王国である。その馬肉食文化の中心地となるのは、主に久留米市からうきは市にかけた筑後地方。熊本とは異なる特徴を持つ福岡の馬肉の魅力を紹介しよう。

ソウルフードと呼べるほどに根付いた筑後地方の馬肉文化

赤身がメインとなる福岡の馬刺し

筑後地方に馬肉食が盛んな理由として、肥後街道でつながる熊本からの影響や、明治以降、軍都として発展した久留米には軍馬が多数おり、ケガなどによって使われなくなった馬を食用に転用したなど諸説あるが、そのルーツは定かではない。しかし、この地域には馬肉を専門、またはメインに取り扱う精肉店が数多くあり、大刀洗町には人口約15,000人の町に4軒もの馬肉専門の精肉店があるほど。年末年始や祝いの席、来客をもてなす時などに大いに食されている。また、馬肉生産の中心を担っているのも筑後地方で、大型馬の肥育をメインとする熊本と異なり、サラブレッドなどの中型馬を肥育する牧場が多い。中型馬は脂肪が少ない赤身肉が特徴。低カロリー、高タンパクで知られる馬肉の中でも、よりヘルシー嗜好のニーズに応えている。

生産者から一頭買い、昭和11年創業の『よしおか総本舗』

よしおか総本舗の4代目・吉岡龍美さん(左)と東畜産ファームの東将隆さん(右)
よしおか総本舗では自社工場内で手作業による加工が行われている。

西鉄久留米駅の近くに店を構える『よしおか総本舗』。昭和11年創業の老舗で、精肉店を開く前は馬の肥育農家を営み、創業時は馬肉を専門で取り扱っていたという、生粋の馬肉のプロである。同店では馬は大川市にある肥育牧場「東畜産ファーム」から一頭丸ごと買い付け。東畜産は国内産の中型馬を肥育しており、独自の飼料と丁寧な飼育で柔らかな肉質に仕上げてくれると、同店4代目の吉岡龍美さんも信頼をおいている生産者だ。
畜場からも枝肉ではなく一頭そのままを運び込み、自社工場内で専門の職人が手作業で馬刺しへと加工。それを店頭で販売している。馬は捨てる部分がほとんどないとのことで、ホルモンやスジ肉など生食に適さない部位は加工用に転用。刺身として取れなかった端切れもペットフードとして活用している。また、牛肉も県内のブランド牛・船小屋牛を同じく生産者から一頭買いしている。

よしおか総本舗久留米本店
部位ごとの馬刺しがショーケースに並ぶ

店舗のショーケースには、バラ、モモ、カイノミなど部位ごとの馬刺しが並ぶ。価格も馬刺しとしては手頃で、こういった販売ができるのも一頭買い、自社加工ならではの強みだろう。捌くのは週に2回、1回で1〜2頭が基本。1度に大量に捌かないのも常に新鮮なものを提供するためのこだわりだ。福岡県では馬肉を生のまま販売できるため、店頭での購入であれば本当に新鮮な馬刺しを手に入れることができる。また、オフィシャルサイトのショッピングページからの購入も可能だ。