宮崎県高千穂で生まれた神話の一つに神武天皇の孫・健磐龍命(タケイワタツノミコト)の物語がある。
命(ミコト)=以下同じ=が高千穂国見ヶ丘に立って、遥か北の方を眺める。海原のような草原の向こうに阿蘇五岳がゆったりと横たう。
遮るものはない。土地は広いようだ。南の方の、山々の峰が重なり続く景とガラリと趣きが違う。
「阿蘇へ行こう」そこで土地を拓いて民を養おう-そう思った-命は高千穂から阿蘇へ向う。
途中、馬見原の地で幣を立て、祖先の天神地祇を祀る。(今の幣立宮の祖となる)
ついで草壁の地では、土地の豪族の娘を娶り結婚する(吉見神社)、そして高森峠へ。
阿蘇谷は満々と水を湛えている。とても農耕には適さない。「よーし!」とばかり外輪山の一角を力まかせに蹴破った。
‥‥かくて命の阿蘇開拓の物語が始まる。阿蘇開拓神としての命にまつわる物語は多い。米塚、的石、命の家来の鬼八、霜を降らす鬼八の霊、霜宮、火焚き神事…由緒の地もきちっと残っている。後に命は阿蘇神社の神になって祀られた。
高千穂・国見ヶ丘から阿蘇を見る。すぐ目の前に見える。「こんなに近い」のだという実感。背中合わせではない、向き合わせの隣り組だ。
命ならずとも行ってみたい、歩いてみたいと強い思いが起ってくる。土地の語り部の話に耳を傾けて、古代阿蘇のロマンに浸ろう。
宮崎空港駅~(25分・JR)宮崎駅~(60分・JR)美々津駅~ (45分・JR) 廷岡駅~ (80分・バス)高千穂神社
高千穂町~ (30分・バス)山都町~(35分・タクシー)高森町~(50分・バス)立野駅 ~(30分・JR)宮地駅~阿蘇市~(30分・バス)内牧温泉
内牧温泉~( 30分・バス)阿蘇市~(60分・バス)阿蘇くまもと空港