日本人とお茶は日常生活の中で切っても切れないかかわりがある。しかし、その歴史は意外と浅い。殊に煎茶にいたっては江戸中期が起源とされている。 以下に述べているように、そこには煎茶を「道」にまで高めた高遇な志の人がいた。高遊外売茶翁である。 佐賀の「葉隠」の武士道と礎を同じくすると言ってよいだろう。茶の町民の「道」、文化が生まれた。 翁の足跡を訪ねながら、豊かに広がる武雄から嬉野の茶畑も一緒に愛でていこう。 × × 日本茶発祥の地佐賀(第2巻・47頁参照)に、もう一つの茶の文化があった。 侘び、さびを追求する京の利休の茶の文化とは異なる「自然の景のなかで煎茶を愛で楽しむ煎茶道」の文化である。栄西が日本茶発祥の地と言われる「霊仙寺」に茶の種を蒔いてから500年の後に、佐賀に生まれた高遊外売茶翁と呼ばれる風流人が煎茶を広めた。 長崎で煎茶の道を習得した翁は、春は桜、夏は緑、秋は紅葉のなかで茶を賞味する、開かれた煎茶の道を、興した。 翁のゆかりの地を訪ねながら、併せて佐賀の風流を味わう。 すっかり茶どころになった嬉野、茶陶ゆかりの有田焼、羊羹の町小城を巡ると、佐賀に煎茶道が発達したのも、「故なきに非ず」と思う。 風土が培った個性と特色が十分に味わえる旅。
佐賀~(10分・JR+20分・バス)吉野ヶ里公園~(10分・JR+20分・バス)佐賀~(50分・バス)古湯温泉
古湯温泉~(50分・バス)佐賀~(15分・JR)小城~(5分・バス+25分・JR)武雄温泉~(34分・バス)嬉野温泉
嬉野温泉~(34分・バス)武雄温泉~(24分・西九州新幹線)長崎
長崎~(44分・バス)長崎空港