28作『寅次郎紙風船』で、旅先の宿で寅さんと出会うフーテンの愛子(岸本加代子)。商売を手伝ったりしながら旅の相棒になってしまう。二人で歩いたシーンの一つが、田主丸の月読神社や法林寺など。
久留米市の水天宮も、寅さんとマドンナの光枝(音無美紀子)の出会いのシーンで登場する。
福岡黒田藩の支藩として栄え、かつては「秋月千軒」と言われるほどの賑わいを見せた城下町秋月。28作「寅次郎紙風船」では、紅葉を背景に、野鳥川に架かる石の眼鏡橋や白壁の町並みなど、しっとりした風情が描かれていた。
詩人・北原白秋が「この水の柳川こそ我が詩歌の母體」と歌った、水郷柳川。柳川城の掘割が市内に張り巡らされ、そこを周遊する「ドンコ舟」が人気を集めている。柳川ロケは、28作「寅次郎紙風船」で、フーテンの愛子(岸本加代子)と別れるシーン。筑後川河口の商人宿で、すぐ横にたくさんの漁船が揺れていた。
14作『寅次郎子守唄』で、勇壮な祭り行列が映し出された「唐津くんち」。寅さんも商売に励んでいた。毎年11月2日夜の宵山から幕を開け、3日の御旅所神幸、そして4日の町廻りまで、唐津の町は祭り一色に染められる。市内の「曳山展示場」では、一年中14台の豪華な曳山が見学でき、映像も上映。駅や土産物店ではお土産の「曳山ガム」も人気だ。
「男はつらいよ」も、42作「ぼくの伯父さん」くらいからは甥の満男(吉岡秀隆)の恋が中心になっていく。ガールフレンドの泉(後藤久美子)が、両親の離婚のため引っ越したのが佐賀県。バイクで彼女を訪ねた満男は、吉野ヶ里でデートする。そこでばったり出会うのが、旅の途中の寅さんだった。同作ではこの他に、泉が通う設定の小城高校や、大正6年に建ったJR小城駅なども登場する。
石川の輪島、岐阜の高山と並んで「日本三大朝市」の一つに数えられる呼子の朝市。寅さんのロケでも、主演の渥美清やスタッフたちがおばちゃんたちとの交流を楽しんだとか。漁港ならではのイカやアジの一塩干しをはじめ、イカ活き造りやイカシュウマイなどの名物に加えて、最近はイカバーグ、鯨料理なども味わえる。
2200年前、不老不死の妙薬を求めて中国から渡来した徐福が発見したといわれる。背振と天山の山峡にあり、嘉瀬川上流のせせらぎの音が“湯ごころ”をそそる。画家の青木繁や歌人の斎藤茂吉もこの温泉を愛してたびたび訪れた。アルカリ性単純温泉で「美人の湯」としても有名。第42作「ぼくの伯父さん」のロケが行われた温泉街の通りや旅館は、山田監督自身が感動したという。