その昔、この世がはじまる前は何もなく、ただ、うずまきのように、どろどろ…こんこんとしていました。
やがて、そこは"天“と"地“に分かれました。
そして、"天“に浮かぶ“高天原(たかまがはら)“に、アメノミナカヌシという神さまが最初に姿を現しました。
それから、タカミムスヒ、カムムスヒなど何人かの神さまが現れ、最後に、男の神さまのイザナキと、女の神さまのイザナミが現れました。
さて、これらの神さまが生まれる頃、"地“は、まだ、柔らかく、どろどろ、ゆらゆらと漂(ただよ)っていました。
ある日、高天原の神さまたちは、イザナキとイザナミに向かってこう命じました。
「"地“はまだ固まっていません。これからお前たち二人が力をあわせて、人が住めるような国をつくりなさい」
そう言うと、イザナキとイザナミに"天の沼矛(あめのぬぼ
こ)“という剣を与えました。
そこでイザナキとイザナミは、高天原と“地“との問に浮かぶ"天の浮橋(あめのうきはし)"に降り立つと、そこから天の沼矛を“地"に向けて差し降ろし、どろどろとした中に入れ、こおろこおろとかき混(ま)ぜました。
しばらくかき混ぜて、天の沼矛を引き上げると、剣の先から一滴・・・一滴としたたり落ちた海水と泥の混じった塩が積もり積もって固まって、一つの島が生まれました。
これが「オノコロ島」です。
この、オノコロ島を舞台(ぶたい)に、いよいよイザナキとイザナミの国づくりが始まりました。
(宮崎県地域振興課刊 ひむか神話街道50の物語集)
イザナキとイザナミが持つ「天の沼矛」の先からしたたりおちたしずくが固まってできたと伝えられる島で、2神が結婚式をあげたところともいわれています。
毎年4月に行われる高千穂神社の春祭では、「浜くだり」のみこしが出され、オノコロ島のまわりを3回まわってみそぎをされます。