姫島、国東半島の沖に浮かぶ小さい島。周囲は17㎞、戸数も700戸近く。瀬戸内海の最西端に当たるので瀬戸内海国立公園に属している。沖に浮かぶ島影は、何の変哲もないように思えるが、島は「夢の島」と古くからいわれているように別天地だ。眺望も良い。秋には野菊が咲き乱れる。
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訪ねてみよう。対岸、国東の伊美港から定期船がある。20分ほどで着く。
小さい山、矢筈岳(266m)に上ると、展望台からは眼下に豊後海峡、瀬戸内海の岬や島影が入り組んで境目なしに青い海の上に浮ぶ。
360度のパノラマ。
北、周防灘の向こうに中国山脈が、東は伊予灘の後ろに四国連山、東南の方には、左手に佐田岬と佐賀関半島が重なりあって見える。手を延ばしあっているようだ。西南には国東半島が両子山を中心にして裾野を拡げている様が。遠く、近く、中国地方、四国、九州が一目で堪能できる絶景のポイント。
海に浮び、島影に囲まれている姫島は、当然のように古くから海上交通の要、寄港地でもあった。
「記」「紀」にも姫島にまつわる伝説が残り、万葉集にも詠われている。早くから新羅や百済との交流もあった島である。
姫島の七不思議がある。その七不思議はすべて風景とかかわりがある。
黒曜石の岩肌の観音崎、海上40mの断崖の上に馬頭観音を祀る御堂、大晦日の夜、債鬼に追われた善人を千人かくまうことができると言う謂れからこの名がある。
沖縄の「万座毛」と地名の由来が似ている。こちらは控えめだが、交流もあっただろう。
その他、北浦の浮洲・金の逆柳・両瀬の鉄漿(かねつけ)石・両瀬の拍子水・稲積の浮田・稲積の阿弥陀蠣など。
現地でのお楽しみにしておこう。
島の中央に大帯(おおたらし)八幡宮がある。昔、姫島が宇佐神宮の神領地であったことを物語る。
少し不思議なのが加藤清正を祀る祠があること。これを入れたら不思議が一つ増えて、八不思議になる。