今の時代、いい音を聴く旅が出来なくなったと思う。周りに雑多な音がかまびすしい。 ひと昔は、違った。田圃に行くと水車の水を汲むザーッ、‥‥ザーッという音がリズミカルに聞けた。旗の力強いはためく音があった。焼き物の里では陶石を砕く唐臼の音がヅドーン、‥‥ヅドーンと腹に響いてきた。 いい音 その土地にしかない音、その時にしかない音を指す。 九州には九州にしかない音がある。九州で雪崩の遠鳴りの音を聞くことは絶対にない。 九州の音と旅を組み合わせてみた。 「音」だけの旅、それだけでも満ち足りるが、現地で、その音の発信源を目に出来るのも、さらに有難い。 関門海峡の潮のうねりが岸辺に打ち寄せるときは地鳴りがする、重い重い音。手織機が美しい博多織を織り上げていく‥‥魔法のような光景と、キチッと引き締まった硬質の乾いた音。かつては博多の下町で耳に馴染んだ音だ。 イルカの大自然の中で囁きあう音‥‥興味津々だ。 音の旅を楽しむ秘訣は、目を閉じて音だけを聴くこと。すると一生忘れない。心に残る音がある。ちょっとやってみませんか、目を閉じて、耳を凝らすと心まで澄んできますよ。 ところで、阿蘇・久住の瀬の本高原ホテルで、星を仰ぎたくて、夜半に、近くを歩いた。音一つなかった。 阿蘇カルデラの大自然の音なき音が体を包んだ。心が震えた記憶がある。 この旅にも、音のない大自然の静寂の旅を加えてもよいと思っている。
北九州空港~(40分・バス)小倉~(14分・JR)門司港~(45分・特急+6分・JR)博多(福岡市)~(7分・地下鉄)福岡空港~天神~(30分・西鉄電車)大宰府~(約20分・タクシー)二日市温泉
二日市温泉~(16分・JR+80分・地下鉄)唐津~(30分・特急+90分・JR)長崎
長崎~(30分・バス)茂木~(45分・フェリー)富岡~(60分・バス)本渡 ・本渡~(188分・バス)阿蘇くまもと空港・本渡~(約140分・バス)熊本駅