大江教会の牧師・パーテルさん、まだ見ぬ幻のパーテルさんを求め杖をひく。難路、ガリガリの道、夜の山道、宿はない。辛苦の果てに、「五足の靴」の一行は大江教会でパーテルさんに会う。天草下島のひなびた印象、天草下島をとりまくキリシタンの深い影、細やかな人情のふれあい、若き詩人の心に深く刻みついた。
情感あふれる紀行文「五足の靴」を読み返し、読み返してみる。今は、もう、こんな旅は出来ないのではないか。それだけに一行の故地の足跡は貴重である。
道は快適になったが、東海岸の岩と海はそのまま、大江天主堂も(後に改修されたが)当時のままの丘の上に建つ。資料館も整備、解説も行き届いて、たっぷり往時を偲べる旅。
このコースを辿るとき、今に残るキリシタン文化をはじめとして、自然、人情など‥‥五人の詩人と共有共感できるし、想像の翼が広がっていくだろう。多くの記念碑あり。一行が泊った宿・部屋も残る(高砂屋)。熊本では江津湖での船遊覧が彼等と同じように楽しめる。阿蘇の垂玉温泉も健在だ。
この旅をベースにして白秋は詩集「邪宗門」を世に送る。その中に散りばめられた濃厚な南蛮の匂い、乙女らのエキゾチシズム、むせかえる体臭‥‥を詩の中に読みとることが出来る。旅は貴重な産物を生むものだ。
今も天草町では「五足の靴短歌大会」を毎年盛大に行っている。全国から歌が寄せられ、人が集う。
長崎空港~(44分・バス)長崎市~(30分・バス)茂木~(45分・フェリー)富岡港~(30分・バス)下田温泉
下田温泉~(30分・バス)大江~(25分・バス)天草市~(20分・バス)牛深
牛深~(88分・バス)本渡市~(145分・バス)熊本市~(50分・JR)立野駅~(20分・タクシー)垂玉温泉〈又は熊本市~(40分・タクシー)熊本空港〉
垂玉温泉~(50分・タクシー)阿蘇山~(40分・バス)阿蘇釈~(60分・バス)熊本空港