町や都市の開発には、いつも、どこでも保存とリフォームの相反するイデー(施策)にふり廻されるものだ。
住む人に快適に、利便にということで、町の在り方には「リフォーム」というベクトルが強く働く傾向にあるものだ。
これでは、日本の文化・暮しに根づいてきた町並みさえも失われてしまう。「保存しよう」「まるごと」という文化庁の掛声で重要伝統的建造物群が指定された。
これに応じる市・町村の人たちはそれなりの覚悟が必要とされたことだろう。外観上の規制はもとより、建物のやたらな改築、新築も思いのままにはならない。
今の生活パターンと反する面も生じてくる。それを辛抱して、耐えることの決意が必要とされた――と思われる。
飛騨高山地区、美しい町並みが整然と続く。クーラーの戸外機も見えない。家庭の塵芥の処理も目に触れない。
旅する人には、まことに心地よい、非日常の空間である。併し、その陰には、土地の人は「故郷の宝物」のためという大儀と、旅する人への「おもてなしの心で」、日常のくらしの不便さに耐えて下さっていることを忘れてはいけない――かつて飛騨に旅したとき、そう思った。市長は「私たちの務めです」語ってくれた。
その2の南九州編、秘境の椎葉、海辺の美々津、幾度か、このルートにも登場した飫肥、そして薩摩の外城的性格のある知覧、川内の入来麓、出水の武家屋敷群を訪れるとき、大げさにいえば、現地の人の忍耐(おもてなしの心)で美しい、この景観が残っていることを、かみしめて歩いてほしい。「かたち」あるものを通して、その「かたち」を支えている心を学びたいものだ。
熊本~(約80分・バス)阿蘇くまもと空港~(150分・タクシー)椎葉~(90分・タクシー)日向市
日向市~(70分・JR+50分・特急)飫肥~(約70分・JR)宮崎~(約150分・特急)鹿児島~(75分・バス)南九州市~(45分・タクシー)指宿
指宿~(約85分・JR)鹿児島~(50分・JR)川内~(12分・九州新幹線)出水~(80分・バス)鹿児島空港 又は~(25分・九州新幹線)鹿児島中央