30作『花も嵐も寅次郎』で、寅さんと沢田研二や田中裕子との重要な出会いの場となった湯平温泉。山の湯らしい、細い石畳の坂道と、ぎっしり並ぶ小さな旅館。最近では、若者に人気の隠れ家的なバーや料理店などもできている。
30作『花も嵐も寅次郎』でロケ地の一つとなった由布院温泉は、町内に30近くものギャラリーや美術館が点在し、それを巡る観光客も多い。「マルク・シャガールゆふいん金鱗湖美術館」や「空想の森美術館」「ステンドグラス美術館」「由布院美術館」「蒔絵美術館」など、それぞれ個性的な収集・展示を行っている。
日田市内を流れる三隈川は、5月から10月頃までの「鵜飼い船」、秋には「月見船」、冬はコタツを入れた「雪見船」など、四季折々の風情も楽しめる。川沿いには温泉街も建ち並ぶ。寅さんは43作『寅次郎の休日』で、川に架かる古い石橋を渡っていた。
12作「私の寅さん」では、九州は阿蘇へ、寅さんがやってくる。ラストシーンで、寅さんが商売をするのが阿蘇だ。阿蘇といえば九州、いえいえ日本を代表する観光地。火口付近や草千里、遠く眺める阿蘇五岳などどこも映画のワンシーンにぴったりな大自然が広がる。
21作『寅次郎わが道をゆく』で、宿泊費が足らず柴又のさくらに「金持ってきてくれ」と電話をするのが、南小国の田の原温泉。今もひなびた山の湯の風情がしっとりと残る。泉源近くには縄文時代の集落跡も見つかっており、その歴史は古い。1.5・ほど山あいに入ると、田の原川の「男滝」と小田川の「女滝」が並ぶ“夫婦滝”がここで合流している。合流地点での滝は日本でもここだけだとか。