九州は歴史的にも、日本で最初に茶栽培が始まったとされ、各県に茶の産地が点在する。
代表的な産地として、八女(福岡)、嬉野(佐賀)、世知原(長崎)、彼杵(長崎)、因尾(大分)、矢部(熊本)、人吉(熊本)、五ヶ瀬(宮崎)、都城(宮崎)、知覧(鹿児島)、屋久島(鹿児島)などがある。
また、茶の収穫後の加工方法により様々な種類に分かれるが、九州の代表的な3つの製法を紹介する。
〈釜炒り製玉緑茶〉茶葉を摘んだ後、その酸化酵素の活性を止めるために釜で炒って加熱する製法。黄金色を帯び、釜炒り製玉緑茶特有の「かま香」があり、さっぱりとした爽快な香味が特長。(嬉野、矢部、五ヶ瀬、因尾など)
〈蒸し製玉緑茶〉釜で炒る代わりに蒸して酸化酵素の活性を止める。茶葉を攪拌しながら加熱するため、茶葉が相互の摩擦や自重の圧迫で丸みを帯びた勾玉状の形になる。渋味が少なくさわやかで、ほのかな甘味がある。(嬉野、人吉、世知原、彼杵など)
〈煎茶〉生産量の7割以上を占める最もポピュラーなお茶。蒸気で蒸した後、揉みながら乾燥させたお茶で形は針のように真っ直ぐ細くよれた物が上質とされている。温度の違いで甘味・渋味を楽しむことができる。(八女、知覧、都城、屋久島など)
九州では、ここで挙げた茶の産地・種類以外にも様々な場所で、様々な種類のものが作られている。
旅行先で、そのお茶を味わい分けて、九州のお茶の魅力を楽しむには、「日本茶インストラクター(茶ムリエ)」の協力が欠かせない。
平成11年、(社)日本茶業中央会が、日本茶文化の発展と日本茶の正しい理解の普及を目的に制度化。インストラクターになるためには、お茶の歴史や栽培、統計、製造法、効能、品質検査や鑑定、お茶の入れ方など幅広い知識を持ち、年に一度全国各地で実施される試験に合格しなくてはならない。。
主な活動としては、お茶教室・講座の開催、茶普及のためのPR活動など。平成18年6月現在で、インストラクターは全国で1844名。このうち九州では296名が資格を取得している。
今回の「九州銘茶と名水を訪ねて」のルートに関して、企画発案、さらには全面的に監修して下さった方も、「日本茶インストラクター」の資格を持つ今村由美さん。
福岡県春日市にお住まいの今村さんは、平成16年に試験に合格。今では家業の日本茶販売店に勤めながら、カルチャーセンターや地元の学校で「茶」をテーマにした講座を開く他、海外での日本茶PRに赴くなど活動も幅広い。さらに日本茶の普及活動を推進する人材発掘を目的にしたグリーンティージャパン・グランプリで、グランプリを受賞されている。
今村さんに今回の監修に当っての感想を頂いている。
「茶葉が育った土地の水で入れたお茶の味は、また格別です。九州の『茶巡りの旅』が家族や仲間とのくつろぎの旅となりますよう祈っております。今後とも、日本茶の普及のために尽力して参りたいと考えています。」
今村由美さんの連絡先
「お茶の星陽園」福岡県春日市 ・092‐572‐6185
(九州各県で活躍する日本茶インストラクター)
熊本県――坂本孝義(日本茶インストラクター協会熊本県支部)
090―5949―8310
おすすめの名水ポイント…吉無田水源
宮崎県――宮 亮(五ヶ瀬町「宮 製茶」)
0982―82―0211
おすすめの名水ポイント…五ヶ瀬の山水
鹿児島県―― 畑政茂(鹿児島市「特香園」)
099―268―4595
おすすめの名水ポイント…屋久島縄文水、大重谷水源