博物館も開館から6年余が経ちました。夢中で過ごした年月でしたが、その間、季節折々の姿形、人々の様々な通過儀礼や生活のさまざまな態様が博物館活動にも大きく反映することを学び、また経験することができました。これらから得られた多くの課題をより良い博物館の展開に生かしていきたいと思っております。
ここで博物館への来館者を中心とした利用状況を少し紹介しておきましょう。いうまでもなく館活動の基本は文化財資料の展示にありますが、文化交流展示室(いわゆる常設展示で、月に30050点の文化財の陳列換を行いながら、常時8000900点を展示)と特別展示室(年に405回、1回を6010週間程度の開催)で展示を行っております。その他、多くのボランティアの人達の力を借りながら、教育普及での展示をはじめ、館全体を多目的に利活用しております。博物館のもう一つの大きな役割である文化財の保存についても、博物館科学を前面に出した活動に取組んでおります。それだけに日頃他所では見る機会の少ない文化財の修理や保存の実際を目の辺りにすることが可能な場を設け、文化財保存の一面を理解いただけるようにしております。
こうしたなか、開館から6年経った平成23年には早くも900万人目の入館者を迎えることができました。今年の夏頃には1000万人目の方を迎えそうです。将来を見据え、どうやら「初めの一歩」を踏み出したといえそうです。本当に多くの方々に深い関心を抱いていただき、また温かい応援を得ながら今に展開していることを感謝しております。
わたくし達は、これからも更に多くの人達の期待に応えられるよう「学校より面白く、教科書より分かり易い」と掲げてきた開館以来の目標を再確認しつづけて進みたいと思っております。勿論、館の質的な向上に向けて努力し、素晴らしい文化財の収集や魅力的な展示をはじめ調査研究、国際交流等を通じて博物館全体の充実を図っていきます。そして九州に在ることの意味を常に認識し続けて「日本文化の形成をアジア史の視点から見る」という館のコンセプトをより具現化できる歩みをつづけたいと考えております。何はともあれ、皆さまにとって、いつも新鮮な文化の場を提供できることを念頭に展開するつもりですので、どうぞよろしく願います。