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佐賀県嬉野市、肥前吉田焼の新プロジェクト「えくぼとほくろ」

400年の歴史を誇る焼き物の里、肥前吉田焼の窯元で始動したプロジェクト、その名も「えくぼとほくろ」とは?
どんな活動なのか知るべく、窯元めぐりをしてきました!

メイドイン嬉野の肥前吉田焼

佐賀県嬉野市、嬉野温泉街から車で15分ほどの吉田皿屋地区。佐賀県と長崎県にまたがるエリアはかつて肥前(ひぜん)と呼ばれ、今なお多くの窯元が残ります。
肥前吉田焼は江戸時代から鍋島藩主の奨励によって陶磁器の産地として栄えてきました。そして鍋島藩でつくられた焼き物は有田焼として分類されてきた経緯から、長い間その名はあまり世に出ることがなかったものの、400年の歴史の中で培われた高い技術を誇る焼き物なのです。
 

「えくぼとほくろ」

その歴史ある焼き物の里で、肥前吉田焼窯元組合に所属する6つの窯元による新プロジェクトが「えくぼとほくろ」です。
どんなに丁寧に作っても、どうしても生まれてしまうのが規格外の器。釉薬をかける際の気泡が小さな窪み=えくぼとなり、原料に含まれる鉄分などが小さな黒い点=ほくろとなることがあります。これらは使用には全く差支えがないのに、キズものとして捨てられてきました。
そこで、「お客さんの価値観に合えば活用してもらいたい」と、各窯元の工房内にショップを設け、定価の20~50%OFFで提供。さらに工房内の見学をすることができるようにし、それぞれの窯元でどのように焼き物を作っているのか製造工程を知り、焼き物を手に取ってもらえるようにとの試みであり、「産業と観光との融合」を目指した企画なのです。
 

では早速、窯元めぐりへ。224porcelainから

「えくぼとほくろ」の看板が出ています
プロダクトデザイナーとコラボしたり、いろんな視点からのアプローチで、「楽しくて便利、人に喜ばれるような物づくりを目指しています」と、窯元の辻さん。
個性あふれるデザインと機能性を兼ね備えつつ、自由な発想で焼き物づくりを実現させているのが224らしさ。最新の3Dデータで型作りをするなど、開発スピードとコスト面も重視。
「えくぼやほくろがある器も、『それも個性』と、かわいがってもらえるとうれしいです」。
 
クラフト感のあるこじんまりとした工房。3Dデータを使い、新しいデザインを生み出しているそう。
 
工房の間口には「えくぼとほくろ」対象の商品が並んでいます。
 
温泉街には224porcelaiの商品が購入できるショップ「224shop+saryo」があります。
 
色使いや形もバラエティ豊富。ワクワクする器がたくさん!三角の小皿の四角い部分にしょう油を入れると、まさにおにぎり!

【データ】
●224porcelain(工房)
住所:佐賀県嬉野市嬉野町吉田丁4074
TEL:0954-43-9322

●224 shop+saryo(ショップ)
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙909-1
TEL:0954-43-1220
224porcelain

佐賀県嬉野市嬉野町吉田丁4074

http://www.224porcelain.com/

副千製陶所

昔懐かしい素朴な風情が愛らしい
肥前吉田焼の代名詞とも言える、看板商品の水玉模様の急須や湯のみが人気再燃中。紺色に白の水玉の定番パターンのほかにも、カラフルな色使いが新鮮な器もたくさん。
この水玉模様はドリル状の道具を使い、ひとつ一つ削って描き出していく「掻き落とし」という伝統技法を用いて製造。単に丸を描いているものとは異なる独特の風合いを醸しています。
「実際に焼き物を作っている我々の仕事風景を見ていただくのが、このプロジェクトの特徴の一つ。工程を知ってもらうことで、来た時と帰る時に焼き物自体へのイメージの変化も感じていただけたら」と、窯元の副島さん。
 
現代のライフスタイルにも合う器たちが豊富に並びます。
 
ひとつ一つ手作業で作っていく様子に見入ってしまいます。
 
普段はなかなか見る機会がない、製造工程を気軽に見学できるチャンス。

【データ】
副千製陶所
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田丁4116-14
TEL:0954-43-9704
副千製陶所

佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田丁4116-14

https://peraichi.com/landing_pages/view/pldm

副正製陶所

工房前の焼き物のディスプレイが目印
工房に入ると同時に絵付け、釉薬がけ、ベルトコンベヤーで運ばれる器や大きな窯場と、製造工程をひと目で望むことができるフラットな空間が広がる副正製陶所。
「イッチン技法」といわれる伝統的技法で、デコレーションペンのような立体的な線で文様を描いた焼き物づくりと、嬉野名産の嬉野茶を楽しむための茶器、そして地域のニーズに合うデザインに力を注ぐ焼き物づくりを実践しているという窯元の副島さん。
「えくぼとほくろコーナーには試作品なども含め、バリエーション広く並べています。お客さまの反響を見ることができるのもありがたいです」と語ります。さらに肥前吉田焼の窯元では珍しい「ろくろ体験」もスタート予定と注目イベントも。
 
製造工程を一望できる工房。
 
素焼きの器に線や図柄を描くイッチン技法。下書きなしでスラスラと!
 
えくぼとほくろのショップコーナー。「ここにすぐ向かうお客さんも多いです(笑)」

【データ】
副正製陶所
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田丁4115
TEL:0954-43-9408
​​​​​​​副正製陶所

佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田丁4115

https://peraichi.com/landing_pages/view/soemasapm

副武製陶所

窯元の方々と会話を楽しみながら工房を見られます。
「突っ張り」「どすこい」「お茶目」など、キュートなポーズが人気のお相撲さんシリーズをはじめ、動きや表情に思わずクスッと笑ってしまうキャラクターが描かれた器たちは、手に取るだけでハッピーな気持ちに!
全て窯元の副島さんが描いたものを基に手彫りのスタンプを特注。それを器に打っていくのですが、曲線で且つまだやわらかい状態の器にきれいに均等に打つのはかなりの技を要する高難度だそう。
工房内では実際に使われるこれらのスタンプや、さらに手作業で絵付けする様子も間近に見学できます。見学後に器を見ると、愛らしさがより増すから不思議。
 
お相撲さんシリーズなど、手彫りのハンコ屋さんに特注。
 
じわじわと沁みてくるような可愛らしいキャラクターたち!
 
カラフルな六角形の小皿も。色違いでたくさん揃えたくなります!

【データ】
副武製陶所
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田丁4115
TEL:0954-43-9437
​​​​​​​副武製陶所

佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田丁4115

https://peraichi.com/landing_pages/view/soetake

最後に

窯元それぞれの個性や製造工程、そして焼き物への愛情にふれることができるステキなプロジェクト。
ぜひ、1軒1軒じっくりめぐりたいです。工房内の見学は当日も可能ですが、窯元さんの説明をお願いしたい場合は、事前の予約がおすすめです。

【えくぼとほくろ】
見学受付:9時~17時
休み:窯元により異なる
¥:見学無料
予約:見学予約は各窯元へ

【お問合せ】
肥前吉田焼窯元会館
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田丁
電話:0954-43-9411

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