記事 ARTICLE

実は渡来数日本一!ツルのまち鹿児島県出水市へ!

毎年冬になると、ロシアや中国から越冬するため渡ってくるツル。鹿児島県の北西部に位置する出水市は、“ツルの町”としては知られていますが、その渡来数が日本一だということは意外と知られていません。出水市はその自然豊かな環境からツルだけでなく、一年を通してさまざまな野鳥にも出会えるため「バードウオッチングの聖地」とも呼ばれています。今回はシーズンを迎えたツルの渡来地・出水で、知っているようで知らないツルについて楽しく学びながら、旅の醍醐味を満喫しましよう!

一斉に飛び立つさまは圧巻! 野生のツルを間近で観察できる「出水市ツル観察センター」

出水市ツル観察センター2階の展望室からは迫力ある景観が楽しめます。

まずは、常時1万羽以上の野生のツルを間近で見学できる「出水市ツル観察センター」(開所期間:11月1日~翌3月第2日曜日)へ。10月半ばから12月にかけて出水平野には毎年1万6000~7000羽のツルが飛来し、この地で越冬した後、3月末くらいまでにロシアや中国に向けて旅立ちます。今季は過去最高の1万7315羽が飛来(令和3年1月14日現在)。野生のツルは警戒心が強いといわれていますが、出水市では長年の保護活動の中で、ツルが安心して過ごせる環境づくりを推進。飛来数の多さは、そんな地道な努力に支えられ、「鹿児島県のツル及びその渡来地」として国の特別天然記念物にも指定されています。なかでもナベヅルは世界における生息数の8割以上(約1万6000羽)が出水平野で冬を過ごすそうです。

1階にある売店からは、間近にツルの姿を観察することができます。
ツルの保護地域の干拓地内では、ナベヅルやマナヅルを中心に、クロヅルやカナダヅル、アネハヅルなど5種類のツルが見学できるので、その違いをじっくり観察してみるのもお勧めです。令和2年12月には16年ぶりにタンチョウヅルも確認されました。2階の展望室は大パノラマでツルの観察ができるスポットとなっているほか、パネルやビデオでツルの種類や生態なども学べます。屋上から、展望室から、また1階にある売店から、さまざまな角度からツルの生態と撮影を楽しめるのも同センターならでは。優雅に羽を広げ羽ばたくさまは、時間を忘れて見入ってしまいそうな美しさです。特に朝早い時間に、ツルたちが一斉に飛び立つさまは圧巻だとか。「自然が豊かな出水は、ツルだけでなく野鳥の宝庫です。日本国内の野鳥は約600種類ですが、そのうちの半分が出水で見られますよ」と語るのは、観光振興推進員の大内山裕さん。「出水野鳥ガイドの会」会長も務める大内山さんは、ツルや野鳥に関してのスペシャリストなので、話を聞いているだけでどんどん興味が湧いてきます。ツルを間近で観察した後、ツルについてもっと詳しく知りたくなったら、国内では珍しいツルの博物館「クレインパークいずみ」もおすすめです。
その数の多さにびっくり! 広大な敷地内では、さまざまなツルの様子が見られます。
出水市ツル観察センター

鹿児島県出水市荘2478-4

https://www.izumi-navi.jp/spots/detail/1

ツルのことなら何でもわかる!子どもから大人まで楽しめる博物館「クレインパークいずみ」

ツルの羽をモチーフにした外観が遠くからでも人目をひく「クレインパークいずみ」。

野生のツルを間近で観察した後は、国内で唯一のツルの博物館「クレインパークいずみ」へ。田園地帯に突然現れるツルの羽をモチーフにしたモダンな外観が印象的です。裏側に回ると、親鳥が羽の下で卵を抱いているイメージのまた違った景観が楽しめます。同博物館はツルや野鳥などの展示見学ができる施設で、一歩足を踏み入れると、吹き抜けの開放的な空間が出迎えてくれます。

裏側から見た外観は、親鳥が羽の下で卵を抱いているイメージ。
ひそかな人気スポット「ツルに変身キット」で、ツルに変身!
入り口そばの「ツルに変身キット」(野田女子高校生活文化科製作)は、ナベヅルとマナヅルの衣装で写真撮影ができると、ひそかな人気のスポットになっているとか。館内は「ひと」「まち」「自然」の3つのゾーンに分かれ、「ひと」ゾーンでは、ツルの話や出来事を中心に、人とツルのかかわりに関する情報を展示。ツルに関する物語のほか、ツルをデザインした陶芸品や着物などを実物やパネルで紹介しています。ツルの羽数調査を体験できるコーナーもあるので、ぜひチャレンジしてみては。
館内には思わず目を奪われる多くのはく製が展示されています。
「まち」ゾーンでは、世界のツル情報やツルに関わる出水の歴史を展示。世界に生息する15種のツルのはく製をはじめ、よりリアルな感覚で楽しめる出水の渡来地の立体地図も見ることができます。「自然」ゾーンでは、ツルの一日やツルの一年など、その生態を紹介。なかでも国内で「クレインパークいずみ」だけが展示している貴重な実物のナベヅルの巣は必見!
貴重な実物のナベヅルの巣は必見!
時間を忘れて楽しめる開放的な空間が人気(写真左)。出水の渡来地の立体図面で、より分かりやすくツルの生態が学べます(写真右)。
ほかにも、鳥の体のしくみやツルの寝姿、多くの野鳥のはく製など、ワクワクするような展示物がいっぱい。敷地内には多くの野鳥を観察できる「野鳥の森」、ウッドデッキを散策しながら四季折々の花が楽しめる「花公園」のほか、ツリーハウスや遊具などもあるので、子どもから大人まで楽しめるスポットになっています。ツルと人と街が共生する出水の魅力を余すことなく満喫できる「クレインパーク」。「ツル観察センター」オープン期間中は、お得な共通券もあるので、ぜひ利用してみて。
クレインパークいずみ

鹿児島県出水市文化町1000

https://www.city.kagoshima-izumi.lg.jp/cranepark/

地図を見る

Google Mapの読み込みが上限を超えた場合、正しく表示されない場合がございますので、ご了承ください。

関連するタグ

タグ一覧を見る

関連記事

週間記事ランキング

この記事を書いたフォトライター

PAGETOP