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福岡県鞍手町の歴史を遡ると悠久遺産の宝庫だった!

福岡県北九州市と福岡市のちょうど真ん中に位置する鞍手町。美味しい巨峰や卵が特産品で有名な町ですが、県内外では元・炭鉱町の一つという印象の方が強いかもしれません。しかし意外にも古代からの宝物が数多く眠る場所でもあったのです。そんな鞍手町の歴史遺産を管理し、公開している鞍手町歴史民俗博物館を紹介します!

縄文時代の巨大貝塚が現存しているレアな博物館

歴史民俗博物館は、昭和60年(1985年)の開館以来、「鞍手町の歴史と文化を後世に伝える」をテーマに、古代から現在に至るまでの鞍手町と遠賀川流域の歴史を体系的に展示しています。特筆すべきは歴史を知る上で重要な文化財が各時代で欠けることなく発見されているということ。それは地域の方々が祖先の意思を受け継ぎ、代々遺産を守ってきた結果ではないかと推測されています。大切に継承された文化遺産は、当時の生活や精神文化を現代に伝える貴重な資料として大変価値のあるものです。
現在の鞍手町はのどかな田園風景が広がり、まさか古代は海だったとは想像がつかない地域。その周辺地域である遠賀川流域には約200ヶ所の縄文時代の遺跡が確認されています。その中でも鞍手町内では、主な貝塚としては江戸時代から知られていた古月貝塚(ふるつきかいづか)、また縄文時代前期から後期の新延貝塚(にのぶかいづか)があり、この貝塚からは福岡県内で最も古いとされる埋葬された50歳前後の女性の人骨が出土しています。その他町内では国指定の古月横穴(ふるつきよこあな)、県指定の鎧塚古墳群など数多くの古墳が見つかっています。また銀冠塚古墳から出土した銀の冠は九州では唯一の出土品です。
貝塚の出土品と人骨が展示されています。中には貝塚の様子がわかる10メートル以上ある実際の貝層が置かれています。
大きな貝塚からは掘り込まれた穴に埋葬された人骨が発見されました。展示されている人骨は、貝殻のカルシウムの成分によって守られていることから、とても良い状態で保存されています。
遠賀川流域が海だったことがわかる模型。今の地形とあまりにも違うので驚きます。

国内でも珍しい「銀製天冠」が出土

1962年に銀冠古墳で出土した銀の冠は奈良県法隆寺の仏像の頭部にある冠の文様によく似ているといわれています。この他、同様の銀製の冠は千葉県、茨城県、香川県の古墳からも出土しています。
銀冠の復元レプリカ。下に見えるのが発見された本物です。
各時代の古墳から、土器や刀、馬具などの鉄製品、勾玉など数々の出土品が発見されています。古月横穴古墳は公園としても整備されているのでピクニックなどが楽しめ子供連れの家族にも最適です。

福岡の文化に貢献した偉人も輩出

江戸末期の国学者(地誌学者、歌人、神官)である伊藤常足は、福岡藩の文化振興に大きな功績を残した偉人です。その生家は200年以上の歴史を持ち、平成2年(1990年)6月改築し復元されました。
伊藤常足ゆかりの品々が数多く展示されています。
伊藤常足の生家は博物館から少し離れていますがぜひ足を運んで欲しい場所。訪れた日は子孫である女性が古物神社周辺の掃除をされていて、現存する施設を大切に保管されているのがわかりました。

日常での家庭生活をリアルに再現。懐かしい昭和の風景!

さらに復元模型や再現展示は、タイムトリップ気分が味わえて見ていてワクワクします。企画展も定期的に開催していて、その時にしか見れない宝たちにも出会えるんです。
古式床しい伝統が今でも継承されている鞍手町の伝統文化を紹介。
主なる産業や当時のライフスタイルもチェック!
当日は学芸員の古後さんからも話を聞くことができました。「文化財の大切さや生きてきた人々の暮らしぶりを理解してもらうのが館の目的です。福岡県内は遺跡も多い土地柄で、最近は県内外の人からの問合せも多くなり、この博物館をきっかけに鞍手町に足を運んでもらえたらうれしいです。」
展示内容や収蔵品から当時の様子がよくわかる説明をいただき、壮大な歴史にふれあう時間が過ごせました。
■鞍手町歴史民俗博物館
問合せ先:鞍手町役場 教育課文化振興係
住所:福岡県鞍手郡鞍手町大字小牧2097番地
電話:0949-42-3200
休館日:月曜日、祝日、第3日曜日
※年末年始は12月29日~1月3日
入場料:無料(企画展をのぞく)
※情報は全て2022年8月のものです。
鞍手町歴史民俗博物館

福岡県鞍手郡鞍手町大字小牧2097番地

https://www.town.kurate.lg.jp/sisetu/map_rekishi_shiryokan.html

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