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九州の世界遺産を深掘り!2015年登録「明治日本の産業革命遺産」

西洋以外で初めて興った産業革命。2015年7月に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」は、岩手県から鹿児島県の8県11市に所在する23資産が、幕末期の西洋技術の導入や、その後、国家主導で進めた3つの重工業分野(製鉄・製鋼、造船、石炭産業)の近代工業化の過程を証明する資産として評価されました。

西洋以外で初めて興った産業革命

2015年7月に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」は、岩手県から鹿児島県の8県11市に所在する23資産が、幕末期の西洋技術の導入や、その後、国家主導で進めた3つの重工業分野(製鉄・製鋼、造船、石炭産業)の近代工業化の過程を証明する資産として評価されました。日本では初めての広範囲にわたる資産の登録(シリアル・ノミネーション)であり、また、23施設のうち8つが現役で稼働中という点において、非常にめずらしい世界遺産といえるでしょう。九州では福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県の5県が資産を有しています。
おもに九州、山口を中心に進められた日本の近代化は、
・西洋先進諸国からの積極的な技術導入によって進められ、それらの国との文明の交流がうかがわれること
・鎖国状態にあった日本において、非西洋地域で初めて、約50年間という短期間で飛躍的な経済的発展を成し遂げた産業遺産群は、その歴史上の重要な段階を物語る建築物のまとまった集合体の顕著な事例であること
が評価され、2015年、文化遺産に登録されました。
構成資産は、岩手県から鹿児島県にまたがる次の8エリアに点在する幕末の1850年代から明治末期の1910年までの23資産(*印は非公開)です。
─23資産─
萩(5)…萩反射炉、美須ケ鼻造船所跡、大板山たたら製鉄遺跡、萩城下町、松下村塾
鹿児島(3)…旧集成館(旧集成館反射炉跡、旧集成館機械工場、旧鹿児島紡績所技師館)、寺山炭窯跡、関吉の疎水溝
韮山(1)…韮山反射炉
釜石(1)…橋野鉄鉱山・高炉跡
佐賀(1)…三重津海軍所跡
長崎(8)…小菅修船場跡、三菱長崎造船所第三船渠*、三菱長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン*、三菱長崎造船所旧木型場、三菱長崎造船所占勝閣*、高島炭鉱、端島炭鉱、旧グラバー住宅
三池(2)…三池炭鉱・三池港(三池炭鉱宮原坑、三池炭鉱万田坑、三池炭鉱専用鉄道敷跡、三池港)、三角西(旧)港
八幡(2)…官営八幡製鉄所(八幡製鐵所旧本事務所*、八幡製鐵所修繕工場*、八幡製鐵所旧鍛冶工場*)、遠賀川水源地ポンプ室*

主だった九州の構成資産をご紹介します。
 

日本の初期西洋建築の代表!
鹿児島:旧集成館「旧鹿児島紡績所技師館」(異人館)

島津家第29代忠義がイギリスから紡績機械を輸入して日本初の洋式紡績所を作った際、その技術指導を受けるために招いたイギリス人技師らの宿舎として建設されたものです。
白ペンキ塗木造2階建てのモダンな西洋館で、日本における初期西洋建築物の代表例の一つとして学術的にも重要な遺物となっています。
館内には当時を物語る写真や資料も数多く展示されています。
旧鹿児島紡績所技師館(異人館)

鹿児島県鹿児島市吉野町9685-15

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非公開だけど間近で見たい!
長崎:三菱長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン

長崎港の中央にそびえる、同型としては日本に初めて建設された電動クレーンです。150tの吊上能力を持ち、電動モーターで駆動するものです。現在も大型製品を出荷する際に活躍する現役の施設です。そのため非公開施設ですが、対岸のグラバー園からはその勇壮な姿を見ることができます。
また、旧木型場史料館行のシャトルバスからは間近に見ることができます。
ジャイアント・カンチレバークレーン【非公開施設】

長崎県長崎市

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かつての未来都市
長崎:端島炭坑(軍艦島)

(一社)長崎県観光連盟提供
端島は炭鉱開発のために周囲を埋めたてられ、要塞のような人工島になりました。
長崎の離島航路や連絡船の発着地・大波止港から直線距離で南西方向18㎞、当時三菱重工業長崎造船所で建造中だった日本海軍の戦艦「土佐」に似ていることから別名「軍艦島」とも呼ばれました。元は岩礁の島でしたが埋め立てにより3倍の広さに拡張されました。形状は周囲1.2㎞、面積は約6.5ha、南北に細長く長さ約480m、幅約160m海岸線は直線的で島全体が護岸堤防で覆われています。採掘された石炭は八幡製鐵所の製鉄用原料炭として供給し、日本の近代化を支え続けてきました。
端島(軍艦島)

長崎県長崎市高島町端島

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日本最古の木造洋風建築
長崎:旧グラバー住宅

(一社)長崎県観光連盟提供
1863年スコットランド出身の商人トーマス・グラバーが24歳のときに、長崎港や製鉄所、船の出入りが良く見える南山手の高台に建築。
現在、グラバー住宅は現存する最古の木造洋風建築ですレンガの煙突やコロニアル風大型窓がある一方で、屋根は日本瓦、壁は土壁という和洋折衷の造りが特徴です。アーチ型のドアは全てが洗練され、窓越しに庭を隔てて港が一望できる、南山手の外国人居留地でもっとも立地の良い場所に位置しています。
グラバー園 旧グラバー住宅

長崎県長崎市南山手町8-1

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その他、「明治日本の産業革命遺産」についての詳細は、こちら のリンク先をご覧ください。
また、「九州の世界遺産」に関しては、こちら のリンク先をご覧ください。
 

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