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好みの器を探して。九州秋の陶器祭りめぐり

春に引き続き、秋は器好きが心待ちにしている陶器まつりが九州各地で開催されています。たくさんの窯元が一堂に集結する陶器まつりは、有名な窯元の器が通常価格よりもお得に手に入るチャンス。掘り出し物を見つけに毎年多くのやきものファンで賑わいます。今回は、九州各地を代表する陶磁器の特徴とともに、その地で開催される陶器まつりをご紹介。ぜひお気に入りの器を探す旅に出かけてみませんか。

江戸時代から続く、「伊万里・鍋島焼」

江戸時代、佐賀藩の御用窯が置かれた伊万里大川内山では、将軍家などへ献上する特別にあしらえた焼き物「鍋島」が焼かれていました。鍋島焼にはいくつかの種類があり,代表的なものは色鍋島・鍋島染付・鍋島青磁。鍋島藩窯の作品の大半は,鍋島染付と鍋島青磁です。現在の窯元は、高度な技法を受け継ぎながらも新たな技術を取り入れるなどし、「伊万里・鍋島焼」として約350年の歴史と伝統を引き継いでいます。

【2018 鍋島藩窯秋まつり】

国の史跡指定もされ、山水画のような屏風岩で囲まれた大川内山で開催される、鍋島藩窯の秋まつり。佐賀県遺産にも選ばれたこの地域は紅葉の美しい季節となるため、多くの観光客で賑わう。各窯元の秋の新作展示のほか、伊万里焼のプレート皿と伊万里のお菓子がセットとなった「鍋島スイーツ」の販売も。買い物スタンプラリーも同時に開催されるので、ファミリーでも楽しめる。
 
【データ】
開催日時:2018年11月1日(木)~5日(月) 8時30分~17時
開催場所:大川内山(佐賀県伊万里市大川内町乙1848)
アクセス:JR伊万里駅から車で15分 、JR伊万里駅バス 「大川内山」バス停徒歩すぐ、有田市街地から車で20分
お問合せ:鍋島藩窯秋まつり実行委員会(0955-23-7293)
鍋島藩窯秋まつり

佐賀県伊万里市大川内町乙1848

http://www.imari-ookawachiyama.com/2018_aki/

日本初の磁器、「有田焼」

佐賀県西部に位置する日本磁器発祥の地、有田では、江戸時代初頭に日本初の磁器が完成。それ以降、多くの陶工たちが一斉に磁器の製作に取り組み、一大産地を形成していきました。17世紀半ばからは長崎の出島を通じて、ヨーロッパに大量の有田焼が輸出され、王侯貴族を魅了し、世界に名高い日本を代表する伝統工芸品へと発展。400年の伝統と技法を守り、磨きをかける傍ら、若い作家や大小工房も意欲作を作り出しています。

【第14回 秋の有田陶磁器まつり】

"食と器でおもてなし"をテーマに。有田焼・紅葉・町並み・季節を感じる食事など魅力満載のお祭りとなっており、春の陶器市とはまた違った雰囲気の有田町を満喫できる。有田とフランスの人間国宝の技の響演『有田とフランス人間国宝』、歴史的な建物が残る有田内山地区を百貨店に見立てた『うちやま百貨店』など、この時期にしか見ることのできないイベントが多数開催される。のんびり、ゆっくり有田の町を散策しよう。

【データ】
開催日時:2018年11月21日(水) ~ 25日(日) 9時~17時※会場により異なる
開催場所:佐賀県有田町内各所
アクセス:JR有田駅から徒歩10分、西九州道波佐見有田ICから車で10分
お問合せ:有田観光協会(0955-43-2121)
秋の有田陶磁器まつり

佐賀県有田町

https://www.arita.jp/event/toujikimatsuri/

日用食器を中心に繁栄、「肥前吉田焼」

佐賀県嬉野市の吉田地区では江戸時代より鍋島藩主の元、400年以上にわたり肥前吉田焼を守り続けています。戦後は、嬉野茶を特産とする地域の特性を生かした茶器を製造する窯元も多く、昭和の食卓の象徴のような水玉模様の急須や湯のみは、肥前吉田焼の代表的な商品のひとつとなっています。有田焼などとは異なりオリジナルの特徴はありませんが、形や様式などにとらわれない自由なものづくりは、伝統技法を守りながら、時代とともに変化を続けています。

【2018 肥前吉田焼 辰まつり窯元市】

毎年11月上旬に開催され、広々とした肥前吉田焼窯元会館前広場を会場に食器やお茶の買い物をゆっくりと楽しめる。期間中は、普段見られない窯元工場見学ツアーや、絵付け体験、うれしの和紅茶ワークショップなど体験型イベントが数多く催され、家族で楽しめる内容となっている。思い出作りにぜひ足を運ぼう。

【データ】
開催日時:2018年11月2日(金)~4日(日) 9時~17時
開催場所:肥前吉田焼窯元会館(佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田丁4525-1)
アクセス:嬉野温泉街から車で10分、JR有田駅から車で30分
お問合せ:肥前吉田焼窯元共同組合(0954-43-9411)
肥前吉田焼 辰まつり窯元市

佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田丁4525-1

https://www.ktknet.ne.jp/yoshidayaki/tatumaturi2012.html

素朴で温かい風合、「小石原焼」

福岡県朝倉郡東峰村にて焼かれる小石原焼は、生活雑器としての道を歩みながら、1954年に柳宗悦やバーナード・リーチらが小石原を訪れ、「用の美の極致である」と絶賛したことで全国的に知られるようになりました。飛び鉋、刷毛目、櫛目、指描き、流し掛け、打ち掛けなどの技法で表現される独特の紋様が特徴で、素朴で温かい風合が持ち味です。多くの窯元後継者は、伝統の技を受け継ぎながら、小石原焼の発展を願って、新しい作風にも挑戦しています。

【小石原焼 秋の民陶むら祭】

福岡県朝倉郡東峰村の小石原地区で開催される小石原焼と高取焼の大陶器市。小石原地区を中心に点在する約50の窯元では、期間中通常価格の2割引で販売され、祭りに合わせて窯出しされた陶器を求めて、全国から多くの陶器ファンが訪れる。人気の「小石原ポタリー」のアウトレット品も購入可能。

【データ】
開催日時:2018年11月23日(金・祝)~25日(日)
開催場所:小石原焼伝統産業会館(福岡県朝倉郡東峰村大字小石原730-9)
アクセス:大分道杷木ICから車で20分、JR添田駅より臨時無料バス運行
お問合せ:民陶むら祭実行委員会(0946-74-2121)

対照的なふたつの色、「薩摩焼」

鹿児島県の豊かな風土に育まれ、400年以上の歴史を誇る薩摩焼は、白薩摩と黒薩摩に大きく分けることができます。白薩摩は白い陶体の表面に貫入と呼ばれる細かなヒビが入っていることが特徴で、黒薩摩は漆黒の光沢を持つものや蛇蝎釉、どんこ釉といった独特の風合いの表面を持つものまで多様性に富んだ素朴な焼物です。薩摩藩が参加した1867年のパリ万博で「SATSUMA」の名は一躍世界に知られ、2002年には、国の伝統的工芸品に指定されました。

【第33回 美山窯元祭り】

毎年11月初旬に薩摩焼発祥の地である東市来町美山で開催される「美山窯元祭り」。薩摩焼体験広場では、陶工の手ほどきで初心者や子どもでも気軽にろくろ・手ひねり・絵付け体験ができる。その他、薩摩焼チャリティーオークションなど、盛りだくさんの内容で深まる秋を楽しめる。

【データ】
開催日時:2018年11月2日(金)~4日(日) 9時~16時
開催場所:鹿児島県日置市東市来町美山一帯
アクセス:JR東市来駅から車で5分、南九州道美山ICから車で5分
お問合せ:美山窯元祭り実行委員会事務局(099-274-2112)

【第37回 龍門司焼陶器祭】

龍門司焼は庶民の生活の器として親しまれてきた薩摩焼(黒薩摩)の一つ。祭りでは、数日前に窯出しされた約1万点の龍門司焼が特別価格で販売されるほか、ろくろ体験や花瓶の重さ当てクイズ、地元の特産品販売など、薩摩焼(黒薩摩)の良さを県内外への宣伝普及することを目的に開催。

【データ】
開催日時:2018年12月14日(金)~16日(日)
開催場所:龍門司焼企業組合(鹿児島県姶良市加治木町小山田5940)
アクセス:JR加治木駅から車で10分、隼人道路加治木ICから車で5分
お問合せ:龍門司焼企業組合(0995-62-2549)
龍門司焼陶器祭

鹿児島県姶良市加治木町小山田5940

http://ryumonjiyaki.jp/

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