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熊本の農山漁村を「旅する」。地域に触れる、暮らしに触れる農山漁村ツーリズムのススメ〜阿蘇編〜

温泉や絶景も楽しみたいけれど、もっと深く地域を楽しむなら、農山漁村ツーリズムがおすすめ。農山漁村ならではの体験を楽しんで、地域の方との会話で新たなスポットを知る。地域の方との交流によってその土地の営みを知る。そんな旅をご紹介します。

熊本県北エリア(阿蘇地域)について

熊本県の東部、大分県・宮崎県との県境近くに位置する阿蘇地域。世界最大級の大きさを誇るカルデラを有する活火山・阿蘇山とその火山の恵みを受けた豊富な温泉地が人気のエリアです。そんな阿蘇地域は、絶景スポットも豊富ですが、昔ながらの農村風景や里山、草原の景観が美しい地域でもあります。今回、お気に入りの観光スポットと一緒に楽しんでいただきたい農山漁村ツーリズムについてご紹介します。

※農山漁村ツーリズムとは…
農山漁村において、日本ならではの自然、文化、人々との交流を楽しみながら、短期~長期的な時間を過ごす旅行スタイルのこと。

まずはおさらい。阿蘇地域の鉄板スポット。

火の国熊本のシンボルでもあり、世界最大級の火山でもある阿蘇山。阿蘇五岳(高岳、根子岳、中岳、烏帽子(えぼし)岳、杵島(きしま)岳)を中心にした東西にのびる連山を呼ぶことが多いですが、広い意味では外輪山や火口原をも含めた呼び名です。

日本でも2番目の大きさを誇るカルデラ(1位は北海道の屈斜路(くっしゃろ)カルデラ)とそこに広がる草原景観は、熊本に来たら是非とも見ていただきたい風景です。 日本の山で最初に外国の文献に記載され、数々の神話や伝説の地でもあります。広々とした草原が広がり、散策も楽しめる草千里前には草千里駐車場と阿蘇火山博物館があり、火山活動と阿蘇地域の成り立ちについて学ぶことも。気軽に登れる杵島岳トレッキングや、乗馬体験のスポットとしても人気です。

2022年11月9日にそんな阿蘇山の火口見学が1年1ヶ月ぶりに一部再開!噴煙を上げるダイナミックな火口を、是非ともこの機会にご覧ください。

阿蘇中岳第1火口
住所: 〒869-2225 熊本県阿蘇市黒川
電話: 0967-34-0554
※火口見学に関してはこちらをご確認下さい
http://www.aso.ne.jp/~volcano/

阿蘇五岳(火口見学)と並んで人気なのが阿蘇のカルデラを一望できる大観峰。文豪 徳富蘇峰が名付けたと言われています。ここから阿蘇五岳を眺めるとお釈迦様の寝姿に見えることから「涅槃像(ねはんぞう)」と呼ばれており、初夏、秋から冬は雲海スポットとしても有名です。

ミルクロードと言われる最高のドライブコースの途中にあるということもあり、ドライブやツーリングの休憩所としても人気で、駐車場に止めたらすぐに絶景が広がる場所です。眼前に広がる草原景観、広がる何枚もの田んぼなど、カルデラの中で生活している阿蘇特有の生活文化を感じることが出来ます。

大観峰
住所:〒869-2313 熊本県阿蘇市山田
電話:0967-34-1600(阿蘇インフォメーションセンター)


他にも滝を裏側から見ることが出来る鍋ヶ滝や360度パノラマビューの景色を楽しめる押戸石の丘、名水100選にも選ばれた白川水源や池山水源など沢山のスポットが点在し、自然景観には事欠かない地域です。

火山の恵みを全身で感じる。温泉地も豊富。

活火山でもある阿蘇山の恵みを受け、温泉地が豊富なのも阿蘇地域の特徴。写真の垂玉温泉瀧日和(南阿蘇村)の他にも、黒川温泉、杖立温泉、わいた温泉、阿蘇内牧温泉など沢山の温泉が点在しており、日帰り入浴が可能な施設も豊富にあります。

垂玉温泉 瀧日和
住所:〒869-1404 熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽2331
電話: 0967-67-0006
https://tarutama.jp/


そんな熊本を代表する観光地でもある阿蘇。農林業も盛んな地域で、阿蘇ならではの体験が沢山。今回、その中からオススメの体験をご紹介致します。
 

のどかな田園風景を歩き、美しい棚田を見る。

昔ながらの田園風景をゆっくりと歩けるフットパス産山村田尻コース。旧花の温泉館(現在は休館中)の駐車場から玉来川を渡り、田尻神社を通り戻ってくる約3.5キロの道のりは、旅先のお散歩に「ちょうどよい距離」のコースです。信号が村内に一つもない産山村では、きれいな川の流れを眺めながらのどかな田園風景や森林の中をのんびり歩くことができます。

▼フットパス田尻コースについてはこちらから
https://www.giahs-aso.jp/footpath/tajiri_course/

フットパスコースからは車で約15分の場所にあるのが扇棚田。山あいの浸食された土地を先人たちが開墾して作ったもので、扇状にひろがる地形を活かして等高線状に棚田が広る風景は、ここならではの美しさです。16枚の棚田と3本の杉の景観が見事で、田んぼに水が張られる5月〜のシーズンには多くのカメラマンが訪れます。全国棚田百選・うまい米づくり百選、農林水産省「つなぐ棚田遺産」にも選ばれている場所です。

※「つなぐ棚田遺産」とは
農林水産省は、棚田地域の振興に関する取組が優れた棚田(「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~」)として、全国271地区の棚田を選定しました。熊本県においては、11市町村17地域が選定され、九州で1位、全国で2位の選定数となっています。(農林水産省HP:https://www.maff.go.jp/j/nousin/tanada/tanadasen.html

扇棚田
住所:〒869-2705 熊本県阿蘇郡産山村産山2621−8
電話:0967-25-2211(産山村役場)
HP:https://www.ubuyama-v.jp/soshikikarasagasu/kikakushinkoka/kanko/kankospot/396.html
※産山村役場

ちなみに、阿蘇地域では扇棚田の他にも写真の菅山の棚田群やカルデラ内に広大な平野が広がる阿蘇市において唯一の棚田、阿蘇水掛の棚田が「つなぐ棚田遺産」に選定されています。

阿蘇ならではの「体験」を楽しむ

千年にわたり、人の手によって創られ維持されてきた阿蘇の草原は、日本一の野草を主体とした草原で、面積は約2万2千ヘクタール(人口の牧草地を含む)。天草諸島の上島や石垣島とほぼ同じくらいの広さがあると言われています。先人たちが稲作に代表される農業を営み、それと密接に関わる牛や馬など飼育や農業に欠かせない肥料を生産するために、草原を維持してきたと考えられており、地域の人々がなりわいとして、放牧、採草、野焼きといった営みを続けてきたことにより守られてきています。

草原と共に歩んできた阿蘇の多様な農業、希少な動植物、伝統的な農耕文化などの素晴らしい宝は、世界的にも価値あるものとして評価され、2013(平成25)年5月に世界農業遺産に認定されています。

そんな阿蘇の草原でマウンテンバイクを使って駆け抜ける爽快な体験が牧野ライド。普段は立ち入ることが出来ない牧野(草原)で、大自然を体感することができます。

草原でのMTBライドに特化させたい方向けのアドバンスライドや初心者向けの阿蘇草原ライド&ピクニックなどもあり、大自然の中で過ごしたい幅広い層に人気です。

牧野ライド(道の駅阿蘇 ASO田園空間博物館)
住所:〒869-2225 熊本県阿蘇市黒川1440−1
電話:0967-35-5077
HP:https://www.aso-denku.jp/cycling/sougenride

豊かな自然に恵まれた南阿蘇村では、草木を中心とする自然植物染料で染色する「草木染め」を体験できます。ハンカチやシルクスカーフなど、さまざまな素材を自分で染め、世界に一つだけのアイテムを作ることが出来ます。好みの色の系統に併せて素材を調整し、染液を作り、染色。村の農家ではいろんなものが栽培されていますが、出荷できずに捨てられてしまう作物でも、染色に使用出来るものもあり、農業が盛んな地域だからこその色合いも楽しめます。草木染めの優しい色、風合いを楽しめる、お気に入りの一枚を作っていただける場所です。

南阿蘇 草木染工房 香房やまぶどう
住所:〒869-1502 熊本県阿蘇郡南阿蘇村白川1648−6
電話: 0967-62-2292
HP:https://www.yamabudou.info/

阿蘇と聞いて「牛」を思い浮かべる方も多いと思います。牧草が豊富で、広々とした土地を持つ阿蘇地域は酪農業も盛んな地域です。そんな阿蘇地域には、「乳搾り体験」が出来るスポットも。写真は西原村にあるらくのうマザーズ阿蘇ミルク牧場での乳搾り体験。大きな乳牛を間近で見ることができ、小さなお子様に人気の体験です。

らくのうマザーズ阿蘇ミルク牧場
住所:〒861-2404 熊本県阿蘇郡西原村河原3944−1
電話: 096-292-2100
HP:https://aso-milk.jp/

阿蘇ならではの食文化として是非体験していただきたいのが温泉の地熱を利用した蒸し料理体験。火山活動の恵みにより、わいた温泉郷や杖立温泉、垂玉温泉等では温泉蒸気で食材を蒸して味わえる「蒸し湯」が備わっています。野菜の持ち込みなどの準備が必要な場所と手ぶらでも楽しめる場所があるので、お好みに合わせて是非チェックして出かけてみてください。

▼杖立温泉観光協会
HP:https://tsuetate-onsen.com/shop/96
▼わいた温泉郷
HP:http://waita.info/
▼垂玉温泉 瀧日和
HP:https://tarutama.jp/

冬の収穫体験として大人気の「いちご狩り」が出来るスポットも沢山あります。ビニールハウス内で栽培されており、冬でも暖かく収穫体験が出来るのも人気の理由です。多くの品種を作っている施設も多く、様々な品種の食べ比べも楽しみのひとつ。予約して来園するのがおススメです。
阿蘇地域で外せないグルメと言ったら「あか牛料理」。阿蘇をドライブすると草原にあか牛が放牧されている光景を見かける方も多いかと思いますが、阿蘇地域では豊かな草資源を活用した放牧が長い間行われています。あか牛は、毎日40~50kgの草を食べ、3~6km歩くと言われています。野焼きによって新しい牧草の成長を促し、あか牛たちが大地を踏みしめ、草をたくさん食べ、また、冬場の飼料用として採草が行われるからこそ、草原が維持されていると言われています。

あか牛は、褐毛和牛(あかげわしゅ)という4品種しかない和牛の1つで、主に熊本県と高知県で飼育されており、熊本で生まれ熊本で育ったあか牛は「くまもとあか牛」として地理的表示(GI)保護制度に登録されています。

そんなあか牛を味わえるお店が阿蘇地域には80店舗以上も。写真は産山村にある民宿・農家レストラン山の里のあか牛料理。牧場を営む店主がこだわりの飼育方法で育てたあか牛と、里山の山菜料理、自家製のお漬物を味わえます。

民宿・農家レストラン 山の里
住所:〒869-2704 熊本県阿蘇郡産山村田尻202
電話: 0967-25-2253
HP:https://aso-yamanosato.com/

阿蘇郡の高森地域では約200年以上前から受け継がれてきた郷土料理「高森田楽」がおすすめ。くまもとふるさと伝統野菜に認定されており、高森町のわずかな農家でしか生産されていない「鶴の子芋(里芋の一種)」や豆腐、ヤマメなどの地元食材を囲炉裏端であぶり、秘伝のみそをたっぷりと付けて焼き上げます。みその焦げる香ばしい匂いに、ぱちぱちと音を立てる炭火、田楽串が焼き上がる様子。火を囲んで自然と弾む会話。ゆっくりとした幸せな時間が流れる郷土料理です。
大地の恵みである阿蘇地域の新鮮な野菜が盛りだくさんの阿蘇の「だご汁」。だご汁は九州地方に伝わる郷土料理で、だご汁の「だご」は方言で「だんご」のこと。この「だご」は地域によって材料は少しずつ異なるものの、主に小麦粉と米粉、はったい粉、白玉粉などが原料となります。これらの粉を水練りし、丸めたり平たく伸ばしたりした「だご」を味噌やしょうゆで味付けした汁に入れるのがだご汁です。阿蘇地域のだご汁は、昔、米を節約するために代用していたというのがルーツで、これだけでもお腹にたまる、箸が立つほど具沢山と言われる阿蘇のだご汁がいろんなお店で提供されています。
寒冷な阿蘇地域の気候でしか栽培されない「阿蘇高菜」と塩、赤唐辛子などで漬けられる高菜漬け。毎年秋に種を蒔き、冬の寒さの中でじっくりと育ち、2~3月が収穫の時期。高菜折りと言われる収穫と高菜漬け作りの始まりは、春の風物詩でもあります。そんな高菜漬けを細かく刻み、油で炒めて塩や醤油などで味付けし、白ごはんと混ぜ合わせるのが基本的な作り方。シャキシャキとした高菜漬けの食感と味わいが、白ごはんとよく合う郷土料理です。阿蘇地域の人々のたくさんの手作業から生まれる「高菜めし」を是非味わってみてください。

農家民宿で地元の方と触れ合う、泊まらないと出来ない体験を楽しむ。

親子合わせて110頭の牛が暮らす、南阿蘇村の体験民宿なかむら牧場。ヤギやポニー、犬猫などたくさんの動物たちと触れ合え、人と自然と動物とのふれあいや育成により、いのちの温もりや尊さも学べる施設です。お腹を空かせた牛に大好きな牧草をあげたり、生まれたばかりのかわいい仔牛にミルクをあげたり・・・。愛らしい動物たちとの触れ合いは、楽しいだけではなく、忘れられない思い出になること間違いなしです。時期によっては、畑で季節の野菜の収穫体験も出来るので、希望される方は問い合わせてみてください。

部屋は、古民家の風情と趣を残した清潔で広々とした畳の空間で、夕食は「バーベキュー」か「郷土料理」のどちらかを選ぶことが出来ます。自慢のあか牛や畑で採れた野菜、郷土料理のだご汁など、手作りのご馳走を囲んで、オーナー家族と一緒に団らんの時間を楽しめます。

阿蘇の雄大な自然の元で、温もり溢れた時間をお過ごし下さい。

体験民宿なかむら牧場
住所:〒869-1504 熊本県阿蘇郡南阿蘇村一関853
電話:090-8765-4874
チェックイン 15:00 チェックアウト 10:00
料金:
大人10,000円、高校生9,000円、中学生8,000円、小学生¥7,000円、1〜6歳5,000円、0歳無料
※上記料金は基本料金です。繁忙期につきましては以下の金額が加算されます。
●4月、5月、9月、10月/1,000円加算
●ゴールデンウィーク期間中/2,000円加算
HP:https://nakamura-bokujyo.com/

お土産はやっぱり地元のものを

旅の終盤の楽しみといえば「お土産」。物産館や道の駅には地元の農家の方々が直接持ち込む季節の野菜が豊富に揃う他、肉や乳製品、加工品など地域ならではの特産品もたくさん。阿蘇地域のそれぞれの市町村に物産館や道の駅があるので、是非立ち寄ってみてください。

終わりに

いかがでしたでしょうか?観光地としても人気の阿蘇エリアですが、まだまだ四季折々の魅力がいっぱい。人気の観光スポット巡りや温泉旅行ににプラスして、阿蘇ならではの食や体験を楽しんでいただくと、もっと「くまもと」が好きになること間違いなし!

現在、熊本県内で、今回ご紹介したような農山漁村ツーリズムを楽しむと応募が可能なキャンペーン「#ふるさとくまもと スクラッチ&フォトキャンペーン」を実施中。総勢270名様に特産品などのプレゼントも!

普段の旅とはちょっと違う、『その土地ならでは』に触れる旅に出かけてみてはどうですか。
 

■キャンペーン概要
 期間:2022年11月19日(土)~2023年2月18日(土)
 HP: https://furusatokumamoto-cp.com/

 ●デジタルスクラッチキャンペーン
 熊本県内の「泊まる」「歩く」「体験・収穫(農林)」「体験・収穫(海)」「食べる/買う」「つくる」が体験できる対象施設に設置してあるQRコードを読み取ると、その場で当選が分かるスクラッチ方式のキャンペーン
 
 |応募方法|
 ①対象施設に設置してあるQRコードを読み取る
 ②応募フォームに必要事項を入力
 ③スクラッチに挑戦(その場で当選が分かります)
 
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 熊本の農山漁村の魅力を伝えるフォトコンテスト。農山漁村での体感をイメージできるような写真をInstagramに投稿
 
 |応募方法|
 ①Instagramの熊本県むらづくり課公式アカウント@kumafuruoenをフォロー
 ②ハッシュタグ #ふるさとくまもと #スポット名 をつけてご自身のInstagramに現地で体感した楽しい!おいしい!きれい!などの魅力が伝わる写真を投稿

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