熊本の農山漁村を「旅する」。地域に触れる、暮らしに触れる農山漁村ツーリズムのススメ〜県央編〜
熊本
更新日:2023年01月13日
温泉や絶景も楽しみたいけれど、もっと深く地域を楽しむなら、農山漁村ツーリズムがおすすめ。農山漁村ならではの体験を楽しんで、地域の方との会話で新たなスポットを知る。地域の方との交流によってその土地の営みを知る。そんな旅をご紹介します。
熊本の県央エリアには、熊本城や世界遺産の三角西港など熊本定番の観光スポットがあるほか、隠れた見どころがたくさんあります。広い熊本平野に接しているのは、有明海・八代海という内海で、波穏やかな景色は時折、幻想的な表情を見せてくれます。また石橋がかかる山里も情緒深いものです。このエリアは農業・漁業も盛んで、収穫される農産物や海産物も多種に冨み、美味しい食材の宝庫とも言えます。今回は熊本市内から海と山に向けて足を運びます。
町を見下ろせばきっと殿様気分!復興後の天守閣に是非登ってみたい「熊本城」(熊本市)
ゆるやかな丘「茶臼山」の上に立つ熊本城は、日本三大名城の一つとの呼び声高く、熊本市の中心市街地に隣接し、市のシンボル的な存在です。石垣と長い屏に囲まれた広大な城内には緑豊かな空間が広がり、まさに市中心部のオアシスとして親しまれています。一帯には県立の美術館や博物館、そして植物園などもあります。
城は室町時代に築かれた「千葉城」が始まりで、その後「隈本城」、熊本城の今の姿の原点を築いたのは加藤清正公。1591年に築城がはじまり、1600年頃天守閣が完成。1607年新城の完成に伴い“隈本城"の “隈本“を熊本"に改め熊本城になりました。「武者返し」と呼ばれる、上になるほど傾斜がきつくなる石垣はよく知られる特徴の一つ。当時は49の櫓、18の櫓門、29の城門を持つ実戦に備えた大規模な城でした。清正の後は肥後国藩主となった細川家が代々の城の当主になりました。西南戦争直前の火災によって天守閣など多くの建物が焼失。現在の天守閣は1960年に再建されたものです。外から見ると3重ですが、内部は地上6階地下1階の構造になっています。2016年の熊本地震で石垣の崩壊、建築物の倒壊などの被害を受け、復旧工事の最中ですが、天守閣全体の復旧は完了し、内部の展示物や最上階からの眺めを楽しむことが出来ます。
熊本城
所在地:熊本県熊本市中央区本丸1-1
入園料(天守閣とその周辺):高校生以上800園、小・中学生300園、未就学児無料
券売所所在地:南口券売所、北口券売所、二の丸券売所、桜の馬場城彩苑(わくわく座券売所)
入園時間:9:00〜17:00(最終入園16:30)
問いあわせ:096-223-5011(熊本城運営センター)
HP:https://castle.kumamoto-guide.jp
四季折々の景色を楽しむ優美な桃山式回遊庭園「水前寺成趣園」(熊本市)
通称「水前寺公園」と呼ばれる熊本市内にある桃山式の回遊式庭園で、約7万3000平方メートルの面積を誇る大名庭園です。肥後藩初代藩主・細川忠利公が寛永9年(1632年)に御茶屋を置いたのが始まりで、3代目細川綱利公の時に完成しました。庭園は、阿蘇の伏流水が湧き出る池を中心に、築山や松の植樹、浮石が施されており、その様は東海道五十三次の景勝を模しているともいわれています。また、散策路の周りには桜が植樹されており、この時期の庭園は見事な美しさです。
園内には様々な見どころがあり、中でも“古今伝授"の間は、京都御所から移築された由緒ある建物で、ここから眺める庭園の景色が最も素晴らしいと言われています。
水前寺成趣園
所在地:熊本県熊本市中央区水前寺公園8-1
入園料:400円(6〜15歳は200円)
入園時間:8:30〜17:00(最終入園は16:30、北門は9:30〜最終入園16:00)
問いあわせ:096-383-0074
HP:http://www.suizenji.or.jp
水前寺成趣園
熊本県熊本市中央区水前寺公園8-1
http://www.suizenji.or.jp
静かな山里の石橋や棚田を訪ね巡り歩く「美里フットパス」(美里町)
熊本県中央部、熊本市から南東約30kmの場所に位置し、町の面積の約7割以上を森林が占める美里町。町を流れる1級河川の緑川が作り出す広い谷沿いには古くから集落があり、農耕が営まれてきました。そんな美里町には美しい景観の棚田が点在しています。令和4年には農林水産省の「つなぐ棚田遺産」に白石野集落、小崎集落、下福良集落、夏水集落の4集落が選定されています。
実は全国的にもアーチ式石橋が多い熊本県ですが、美里町は特に石橋が多く、江戸時代の単一アーチ橋としては日本最大といわれる「霊台橋」や川面に映る橋の影がハート形を作り出す「二俣橋」など、30以上の石橋が残っています。また、美里町はフットパスが盛んで、石橋や里山の棚田、ため池などを巡る17のフットパスコースが用意されています。
昔から地域に残るありのままの風景を感じながら歩くフットパスコースについての詳細は下記リンク「美里フットパス協会」ホームぺージからどうぞ。
美里フットパス協会事務局
電話:0964-53-9997
HP:https://misatofp.jimdofree.com
美里フットパス協会事務局
熊本県下益城郡美里町萱野1532
https://misatofp.jimdofree.com
煌めく海とレトロな建物群。明治期のロマンがぐっと押寄せる世界遺産「三角西港」(宇城市)
宇土半島の先端、宇城市三角町の「三角西港」は明治政府が手掛けた三大築港の1つ。オランダ人水理工師ローエンホルスト・ムルドルによって設計し、天草の石工たちによって施工され、3年の工事を経て明治20年(1887年)に開港しました。緻密で高度な石積みの岩壁には曲線が多用されており、また港内の道路や排水路などは当時としては大規模なスケールで設計されています。港は「明治日本の産業革命遺産」として2015年に世界遺産に登録されました。
港一帯は当時相当“ハイカラ"な場所であり、現在も裏手の高台までを含め、洋風の建物群が並び、明治期の面影を感じることが出来ます。明治20年(1887年)頃、有明海に面して建てられた「浦島屋」は、客をもてなす迎賓館としての役割を持っていたと伝わるコロニアル様式の2階建てホテルです。明治26年の長崎旅行の帰路でこの浦島屋に立寄った明治の文豪・小泉八雲(=ラフカディオ・ハーン)はここをいたく気に入り、紀行文「夏の日の夢」の中で「〜その宿屋は、わたくしには極楽のように思われた。」と記しています。現在の浦島屋は当時の資料を元に復元されたものですが、建物の内部には開港当時の写真も展示されており、港を見下ろす2階のバルコニーにも立つことが出来ます。煌めく海の光に照らされる三角西港。かつて小泉八雲が見ていた情景を想い描きながら、港一帯を散策してみるのもいいでしょう。
三角西港
所在地:熊本県宇城市三角町三角浦
電話:0964-53-1111(宇城市三角支所経済建設課)
HP:https://www.city.uki.kumamoto.jp/nishiko/
いまだ現役の緻密な石組と送水システム。迫力の放水を見てみたい!「通潤橋」(山都町)
スリル満点、ダイナミックな森遊び「フォレストアドベンチャー・美里」(美里町)
美里町の緑川ダム湖畔にあるアウトドアパーク「フォレストアドベンチャー・美里」は、森と地形をそのまま利用した本格的なアウトドアパーク。自然のなかでダイナミックでスリリングな体験が出来ます。ここには“アドベンチャーコース"と“ジップトリップコース"が用意され、地上15mの空中散歩を楽しめるアドベンチャーコースコースは巨大なネットにめがけて飛ぶ“ターザンスイング"、高さ13mのプラットフォームから地面に飛び降りる“ミノムシュート"、最長120mの“ジップスライド"など、40のアクティビティを楽しめる計5つのコースが用意されていて、高い木の上で安全器具を操作し安全を確かめながら進んでいきます。そしてここの目玉でもあるジップトリップコースは、なんと往路410m、復路510mと日本一の長さを誇るジップスライドに挑戦するコース。広い谷間の向こう岸まで掛けられたケーブルを使って、ぶら下がるように緑川ダム湖の上を滑っていきます。とにかくスリルと爽快感満点。こんな体験他ではなかなか出来ないでしょう。一度、挑戦してみるのは大いにあり。やみつきの体験になるかもですよ。隣には「美里の森キャンプ場ガーデンプレイス」があります。
フォレストアドベンチャー・美里
所在地:熊本県下益城郡美里町畝野3083-1
電話番号:080-8387-3310
https://fa-misato.foret-aventure.jp
フォレストアドベンチャー・美里
熊本県下益城郡美里町畝野3083-1
https://fa-misato.foret-aventure.jp
農家の古民家に宿泊。のどかな里山の暮らしを体験してみる。農家民泊「竜野園藝」(甲佐町)
一級河川の緑川が町の中央を流れる甲佐町は、豊かな水資源に恵まれ、のどかな田園風景が広がる地域。アユ釣りの時期にはアユの友釣りでも賑わいます。また町には土木の名手としても知られた初代熊本藩主加藤清正による治水・利水事業の跡が残っています。水稲から小麦、大豆、果樹、花、畜産と多様な農畜産物がありますが、なかでも県内一の生産量を誇るニラは町の特産品になっています。
潮風が育むデコポンの里。地元の豊富な柑橘をお目当てに!「道の駅 不知火」(不知火町)
宇城市不知火町は県中部にある宇土半島南側に位置し、八代海の最奥部になる不知火海があります。旧暦8月1日頃に、海沿いの永尾(えいのお)神社付近から、洋上に浮かぶ蜃気楼現象“不知火"が見られることでも有名です。
付近一帯はかんきつ類の栽培が盛んで、特に「デコポン」で知られる不知火類の産地として有名です。海岸沿いにある「道の駅 不知火」の中には“デコポン発祥の地"と記された大きなデコポンの石碑があります。ここではデコポンはもとより、みかんやはっさく、甘夏、スイートスプリング、晩白柚(ばんぺいゆ)など、時期毎にたくさんのかんきつ類が店頭に並びます。
また、道の駅の近くに位置する白壁の町として知られる松合の漁港には、道の駅目の前の海で網漁で穫られる“コノシロ"が水揚げされ特産品になっています。
歴史と情景豊かな自然をめぐるフットパス 「宇土半島フットパス」(宇土市)
宇土半島の北側に位置し、有明海に接しているのが宇土市です。宇土市は古くはキリシタン大名として知られる小西行長が居城した場所です。市の東には雁回山、西方には宇土半島の山々が続いていきます。市には日本最古と言われる300年以上前に作られた上水道があり、「轟水源」という山の麓の水源から町まで、石で造った送水管を使って水を運んでいました。現在も一部は現役で生活用水として使われています。
有明海ではノリの養殖のほか、アサリの養殖も盛んです。また有明海は干満の差が激しく、干潮時には広い砂地が現れます。なかでも御輿来(おこしき)海岸は日本の「渚百選」「日本の夕陽百選」に選ばれた景勝地。干潮時には波と風が作り出す砂紋による曲線がいくつも現れ、美しい風景を見せてくれます。あたりの山沿いはかんきつ類の栽培が盛んで、特にネーブルは特産品です。
御輿来海岸
住所:熊本県宇土市下網田町
電話:0964-22-1111(内線612/613、宇土市経済部商工観光課)
HP:https://city-uto.com/archives/1
「うとフットパス協会」では、城跡が残る宇土市の歴史を訪ねながら城下町を歩いたり、みかん畑を抜け砂紋美くしい遠浅の海岸を歩く計6つのフットパスコースを用意しています。時期によってはみかん狩りを一緒に楽しんだり、桜の景勝地を歩いたりできます。また1泊2日で宇土半島を一周する50kmのロングコースもあるので、健脚の人はチャレンジしてみては!ウォーキングは期日を決めて開催されていますので、facebook「うとフットパス協会」ページにてご確認を!
うとフットパス協会 事務局 野口修一
電話:090-3666-7682
HP:https://www.facebook.com/うとフットパス-1142396239161897/
獣×農×島がコンセプト。戸馳島ならではの自然体験を楽しむ「戸馳島ジビエツーリズム」(宇城市)
戸馳島は宇城市三角町の不知火海(八代海)北部に浮かぶ島。九州本土と一本の橋で陸と繫がる島は花の島として知られ、洋蘭栽培が盛んです。島が頭を悩ませたのは、増え続けるイノシシによる農作物被害。農業の存続に関わる事と危機感を募らせた若手農業従事者が「くまもと☆農家ハンター」という組織を立ち上げ活動を始めました。そしてメンバーの多くが狩猟免許を取得。鳥獣調査や対策勉強会を重ね、防護柵や箱罠の設置などの被害防止に乗り出します。そしていただいた命を大切に使いたいという思いからイノシシ丸ごとの活用を目指し、解体処理からジビエ肉として加工販売まで行うようになりました。
ジビエツーリズム「くまもと☆農家ハンター」が提案する新しいツーリズムの形です。「子どもに自然の中から学ばせたい」「環境や命の大切さを伝えたい」という想いを込めた島ならではの自然体験満載のツアー。猪罠やジビエファームを見学したり、獣革で小物を作ったり、干潟遊びや魚を釣って捌き、ボートに乗ってクルーズしたりと、他にも盛り沢山の内容。特に子育て中の家族にはオススメです。
戸馳島ジビエツーリズム協議会(㈱イノP)
住所:熊本県宇城市三角町戸馳1945-1
電話:0964-54-4004(くまもと☆農家ハンター/ジビエファーム)
HP:https://gibier-tourism.farmer-hunter.com
熊本市内の温泉郷。小野小町の産湯伝説が残る美人の湯 「植木温泉」(熊本市)
熊本市市街地から国道3号線を北へ約20kmほど、植木町の田園地帯を流れる合志川沿いにある温泉郷が「植木温泉」。10数軒の温泉宿や貸切湯があり、それぞれ異なる泉源を持っています。総じて湯量豊富に湧き出る温泉は、泉温45〜52度の弱アルカリ性の湯で、トロトロと肌になじむ感触があり、その滑らかな泉質から、しばしば“玉の湯"と形容されているようです。植木温泉は明治28年(1898年)に開かれた温泉で古くは「平島温泉」と呼ばれていました。冬季には「WAのあかり」と題し、各旅館前や特設会場に竹灯籠を灯すイベントが行われ、また他にも不定期で様々なイベントが開催されていますので、「植木温泉観光旅館組合」ホームページをチェックしてくださいね。
植木温泉
電話:096-274-6830(植木温泉観光旅館組合)
HP:http://ueki-onsenkumiai.com
観光農園 吉次園
熊本市の西方に立つ金峰山とそれに連なる山々、またそこから海にかけての一帯では果樹栽培がさかん。特に柑橘の生産量は多く、みかん畑が広がる山肌の景観は独得です。北区植木町の山西側斜面の中腹にある「吉次園」は、4.5ヘクタールの広大な果樹園を持ち、みかんの他にも、マスカットや巨峰、ピオーネなど様々なブドウ、そしてイチゴ、りんご、梨、柿、ブルーベリー、栗など、多品目のなフルーツを栽培しており、ここでは年間を通してフルーツ狩りが楽しめます。
また高台に位置する果樹園からの眺めも秀逸。熊本市街地や遠くは阿蘇五岳の姿を見晴らすことが出来ます。園では材料や燃料は持込になりますがBBQを楽しめるようにしてありますので、一日中のんびり過ごすことが出来ます。
果樹園から降りたところの県道との交差点には吉次園の直売所と果物ソフト専門店「KICHIJIEN cafe」もあり、フルーツを購入出来る他、果樹園のフルーツをふんだんに使ったソフトクリームが人気です。ワッフル部分も店で焼いて作る本格派です。
また、令和4年(2022年)11月には、フルーツが主役のプリン専門店「熊本プリン」も新規オープン。濃厚だけどしつこくない優しい甘さのなめらかプリンに、吉次園や地元の契約農家で栽培された新鮮なフルーツの程よい酸味がアクセントとなり、他にはない特別な味わいが楽しめます。
観光農園吉次園
所在地:熊本市北区植木町木留556-1
電話番号:096-273-2544
営業時間:9:00〜17:00(最終受付16:00、イチゴ狩りは10:00〜)
直売所9:00〜17:00(カフェは10:00〜17:00、11〜2月は10:30〜)
定休日:不定
HP:http://www.kichijien.jp
観光農園吉次園
熊本県熊本市北区植木町木留556-1
http://www.kichijien.jp
おわりに
熊本県県央エリアは県内でも割合人口が多いエリアにもなりますが、少し町を外れると、海・山豊かな自然が広がるのも魅力の一つ。熊本県においでの機会がある時は是非参考におでかけください。 現在、熊本県内でご紹介したような農山漁村ツーリズムを楽しむと応募が可能なキャンペーン「#ふるさとくまもと スクラッチ&フォトキャンペーン」を実施中。総勢270名様に特産品などのプレゼントも!
普段の旅とはちょっと違う、「その土地ならでは」に触れる旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
◉キャンペーン概要
期間:2022年11月19日(土)~2023年2月18日(土)
HP:
https://furusatokumamoto-cp.com/
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熊本県内の「泊まる」「歩く」「体験・収穫(農林)」「体験・収穫(海)」「食べる/買う」「つくる」が体験できる対象施設に設置してあるQRコードを読み取ると、その場で当選が分かるスクラッチ方式のキャンペーン
|応募方法|
①対象施設に設置してあるQRコードを読み取る
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③スクラッチに挑戦(その場で当選が分かります)
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熊本の農山漁村の魅力を伝えるフォトコンテスト。農山漁村での体感をイメージできるような写真をInstagramに投稿
|応募方法|
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②ハッシュタグ #ふるさとくまもと #スポット名 をつけてご自身のInstagramに現地で体感した楽しい!おいしい!きれい!などの魅力が伝わる写真を投稿
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