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黒島天主堂を見るなら今がチャンス!佐世保・黒島旅

世界遺産候補の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつ「黒島の集落」に含まれる「黒島天主堂」は、長崎県の佐世保市にある黒島に佇む教会です。2018年春以降に耐震工事に入るため、しばらくは見学することができなくなります。春頃までは見学が可能とのことで、残り少ない工事前の様子を見学してきました。

佐世保市内からフェリーで約50分。もうひとつの佐世保へ

佐世保駅より車で約20分のところにある相浦港。ここにあるフェリー乗り場から黒島へと向かいます。
昔から島民の足として利用されているフェリーということもあり、島民に交じって切符を買うのですが、土曜日ということもあり、旅行者や釣り人も多く見られます。船で渡るという非日常の行為に、普段とは違った空気を感じながら船旅をスタート。
フェリーに乗り西海国立公園九十九島を眺めながら、約50分の船旅をゆったりとした気分で楽しめます。波の音、風の音をBGMに美しい景色を見ているとあっという間に時間が過ぎ、黒島へ到着。
フェリーを降りるとすぐに黒島観光インフォメーションセンターと直売所が一緒になった「黒島ウェルカムハウス」が。
黒島ウェルカムハウス(黒島観光案内所)+黒島観光協会

長崎県佐世保市黒島町233

https://www.sasebo99.com/spot/63098/

島内観光は、島歩きガイドさんにお願いすることをオススメします(要予約)。
ガイドの方についてもらって島を巡るといろいろな説明を聞けるので、同じ景色でもまったく見え方が違ってくるから不思議です。
 
黒島の歴史は古く、鎌倉時代から脈々と続いているのですが、黒島を語るには避けて通れないものがあります。それは「キリスト教禁止令」による迫害の歴史、潜伏キリシタンとしての信仰、そして信仰復活。この地の信仰に多大な影響を与えた方々のお墓の前で話を聞くと、数百年もの歴史がここにあることを実感でき、遥か過去に想いを馳せてしまいました。

島のお昼ご飯は100%素材だけの味「島めし」を楽しんで

ぜひ食べて欲しいのが黒島ならではの「島めし」。島のめぐみたっぷりのお昼ご飯です(要予約)。

新鮮な刺身はもちろん、自宅で作る「黒島豆腐」の料理、「鯛の塩ゆで」などをいただくことができます。特に「鯛の塩ゆで」は、元々地元の漁師が船で漁に出ている時、海が時化て味噌も醤油もない時に海水で茹でたのが始まりだそう。「味気がないのでは?」と思っていましたが、鯛の身の甘さというものをストレートに味わうことができ、塩焼きよりも素材の味を楽しめました。
 
喜久屋旅館(要予約)

長崎県佐世保市黒島町3769

http://kikuya-kurosima.com/

いざ、黒島天主堂へ

腹ごしらえが整ったあとは、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」にて世界遺産に登録予定の「黒島の集落」のひとつ、黒島天主堂へ。通常、内部の風景は撮影することができませんが、見学は可能です(2018年春以降、耐震工事に入ります)。
(C)SASEBO
ここで少し、黒島天主堂ができるまでをご紹介します。
長らくの禁教令を経て、1865年3月、長崎の大浦天主堂で「信徒発見」がおこります。この二か月後、まだ禁教は解けていませんでしたが、黒島から代表した20名が大浦天主堂に出向き信仰を告白します。その後正しい祈りや洗礼を学び、島内信者全員約600人はカトリックに復帰します。
当時は信者の家を御堂にしていましたが、1878年に木造の教会ができ、その後1897年に着任したマルマン神父が、自ら教会の設計に着手。信者の懸命な努力のかいあって、1902年にレンガ造りの堂々たる教会として誕生しました。
黒島の特産である御影石が多く使われ、祭壇の下には1,800枚の有田焼磁器タイルが敷き詰められており、この地域の特色が細部にまで感じられます。1998年に国の重要文化財に指定されました。
 
黒島教会堂

長崎県佐世保市黒島町3333

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小腹が空いたら、島のおやつで心とお腹を満たしましょう

最後に、黒島ならではの体験プログラムをご紹介します。それは島のおやつ、ふくれ饅頭作り。黒島では昔からお祝いごとや人が集まる席に、このふくれ饅頭を作って出すそうです。
島民の方と一緒になって作るのですが、和気あいあいとした雰囲気の中で餡子を入れたり蒸かしたりと、これが非常に楽しいのです。
小麦粉と生イーストを発酵させて生地にし、小豆あんを入れてまるめ、サツマサンキライの葉にのせてふっくら蒸し上げたらできあがり。シンプルな素材で素朴な味ながら、ついパクパク2個3個と手が伸びてしまいます。

佐世保でも、ちょっと違った黒島の旅。いかがでしたでしょうか。
歴史を知り、島の信仰を知り、そして島の人とふれあう。これこそ島旅の真髄なのではないかな、と思います。
ウミネコに見送られながらフェリーに乗り、海を眺めていると、「あーよかったなあ、また来たいな。」と素直に思えました。

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