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九州最後の炭鉱の島「池島」で坑内炭鉱体験!

「池島」という炭鉱の島がどこにあるかご存知ですか? 長崎の西海岸に位置する西彼杵半島(にしそのぎはんとう)から西へ7km、フェリーで約 30 分ほどの場所にあります。周囲約4km の小さな島には、49 年間も続いた炭鉱時代の設備が遺され、それらを観光資源として利用し、見学&体験ができる唯一の島になっています。実際に坑内へ入り、どのようにして石炭が掘られていたのか、それをガイドしてくれるのは元炭鉱マン。半世紀の歴史を知るため、炭鉱の島「池島」へ上陸してみましょう!

昭和時代のエネルギーを生産し続けてきた池島炭鉱の魅力

池島
フェリー「かしま」
長崎市内から車で約1時間 15 分。国道 202 号のサンセットロードを経由して西海市大瀬戸町に向かいます。途中、角力灘(すもうなだ)に浮かぶ「池島」が見えてきます。それから大瀬戸港を出発するフェリー「かしま」に乗船(※車は近くの市営駐車場へ)。約 30 分の船旅を楽しみましょう。
ガイド担当の堀之内さん
 池島港に到着すると、ガイド担当の堀之内謙二(ほりのうちけんじ)さんが笑顔でお出迎え。堀之内さんは、松島炭鉱(株)池島炭鉱および三井松島リソーシス(株)に勤務して約52年。生え抜きの炭鉱マンとして働き、閉山後は外国人に炭鉱技術を伝授するため、インドネシアで指導してこられた方でした。すごいですね。
 まずは池島について解説を受けます。池島港内は、実はもともと大きな池だったそうです。昭和27年(1952)から始まった炭鉱開発にあたり、石炭の積み込みなど輸送方法を思案。昭和33年(1958)に池と海の間にあった土手を崩し、港にしたんですね。大がかりな工事だったようです。翌年の昭和34年(1959)に営業出炭が始まり、それから平成13年(2001)11月閉山まで池島全体が炭鉱の町となり最多7776人が住んでいました。現在の島民数は約100名。人口は減少する一方で、過疎化が一気に進んでいます。
 
島では愛らしいヤギや、島ネコが元気よくお出迎え。若い女性たちにも人気者です。
「炭鉱弁当」800 円
港近くの「池島炭鉱倶楽部」で池島の歴史を知るビデオが約 20 分間上映されます。これを視聴したあとは昼食タイム。事前に予約をしておくと「炭鉱弁当」800 円がいただけます。池島にある食事処「みなと亭」で手作りされていて、卵焼きや天ぷら、唐揚げなどおふくろの味が楽しめます。

トロッコ列車に乗って坑内へレッツゴー!

さて、いよいよ坑内へと向かうわけですが、その前にヘルメットを装着。ヘッドランプ用電池を背負い、トロッコ列車にいざ乗車! 時速約5キロでゆっくりと坑道へと入っていきます。
坑内は少しひんやりとしていて、空気の質も違う感じがしました。トロッコ列車を下りてからは徒歩で移動。実際に使われていた道具の展示もあり、解説を受けます。本来、坑道はメタンガスの発生など危険を伴う場所。道具から火花が発生しないようハンマー素材には真鍮を使うなど、命を守るための安全機能と知識も学ぶことができます。
さらに奥へ進むと広い坑道掘進跡へ到着。ここには本物の巨大掘進機械ロードヘッダーが置かれ、その大きさに驚かされます。1日に最大30mも掘り進めることができたそうですよ。
そして、石炭採掘現場の復元箇所では、採炭機械ドラムカッターが展示され、ドラムの模擬運転も見学できます。これで1日8000トンもの石炭を採掘していたというから驚きです。どんどん掘り出された石炭はコンベアーに乗せられ、地上へと運ばれて行きます。池島の海底には無数の坑道が広がり、一番深くて海面下650m! そこで、このドラムカッターが大活躍していたんですね。閉山後はすべての坑道が水没しているそうです。
実際に炭鉱機器の模擬操作もできます。これは穿孔(さっこう)機オーガーという、エアーで動く機械で、ドリルのように穴を掘る体験ができます。これが意外に迫力がありビックリ! 穴にはダイナマイトと、火花防止の水タンパという込め物も一緒にいれて、爆破させていたそうです。
池島炭鉱初期に掘られた斜坑タイプの坑道跡も見学できます。
坑内救急センター跡は炭鉱員にとって緊急避難場所だったスペース。ここには酸素吸入器や無線機など安全確保のための設備が整っていました。

最後は、またトロッコ列車にのって坑外へ。約1時間の炭鉱見学はこれで終了です。なかなか盛りだくさんな内容でした。ここでは要点を解説していますので、あとは実際に訪れて、その満足度を実感してみて下さい。
 
午前中から参加のコースのみ、時間があればオプションで島内観光も可能です。昭和 33年(1958)ごろに建てられた社宅や8階建てのモダンなアパートなど近代的な建物を見学するのもいいですね。

世界遺産に登録された軍艦島もよく知られていますが、池島は豊富な資料展示に加え、坑内での体験コーナーが用意されていますので、かなり完成度の高いガイド内容になっています。しかも、今なお島に住んでいる方がおり、炭鉱の島としての暮らしぶりも垣間見ることができます。軍艦島と合わせて池島もぜひ見学&体験してみはいかがでしょうか?


●問合せ先
三井松島リソーシス株式会社予約受付電話:0959-26-0888 電話受付は当日催行前まで。
※3 日前までにインターネット「池島炭鉱さるく」でも予約可能。
http://www.saruku.info/course/G902.html

●アクセス
1回目(午前コース)/10:45 池島集合(行き:大瀬戸港発 10:15、帰り:池島港発 14:17 フェリーを利用)
2回目(午後コース)/14:15 池島集合(行き:神浦港発 13:45、帰り:池島港発 15:47 フェリーを利用)


●料金
坑内体験 大人 2,680 円、小中学生 1,340 円
坑内体験(午前中)+島内観光オプションコース 大人 3,120 円、小中学生 1,560 円
※池島炭鉱弁当(800 円/お茶付き)が注文できます。(午前コースのみ受付/要事前予約/当日現地支払)

●所要時間 約 90 分

●注意事項
服装・靴は多少汚れても良い服装、スニーカーなどを用意(ハイヒール、サンダルなどは入坑不可) 昼食に弁当を注文されない方は持参(現地調達不可)幼児の方は安全上参加不可。
 
池島港船客待合所

長崎県長崎市池島町

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