記事 ARTICLE

水郷・柳川で川下りや、うなぎのせいろ蒸しを楽しむ【後編】

柳川観光の後半戦は、今も昔も〝柳川の顔〟である「御花(おはな)」からスタート。
そして、日本の近代文学に偉大な足跡を残した詩人・北原白秋生家を訪ねます。最後は柳川名物・うなぎのせいろ蒸しを堪能して、柳川の旅は大満足なフィナーレへ。

国の名勝に指定された「御花」で歴史探訪♪

川下りと並び、柳川観光で外せないスポットといえば「御花」です。
旧柳川藩主立花家別邸・御花は、江戸時代には「御花畠」と呼ばれ、元文3年(1738年)ごろに、藩主とその家族が住む場所として整えられました。
現在は料亭旅館やウェディング場、レストランとして活用されており、その歴史的建築物や名庭を見学することもできます。
御花正門
正門から見える西洋館。和館と西洋館が並んで建つ御花。普段生活する和館とは別に、西洋館は伯爵らしいもてなしをするために使われていたそう。
欄間沿いにずらりと飾られているのは、その昔使われていた甲冑の兜。ほかにも、階段の手すりや電灯の金具、部屋の壁紙まで往時を感じさせる意匠がいたるところに散りばめられ、見ていて飽きません。
欄間越しに見る白亜の西洋館。和館と西洋館が並び建つ「御花」ならではの景色です。
国の名勝に指定されている「松涛園(しょうとうえん)」。園内には約280本のクロマツ、庭石1500個、石灯籠14基があり、池庭に大小の中島や岩島を配して大海を表しています。10月〜4月は飛来した鴨の姿も楽しめます。
敷地の一角には「立花家史料館」を開設。藩祖立花宗茂以来、400年以上にわたって受け継がれてきた大名道具、約5000点が収蔵され、その一部が展示されています。
受け継がれた大名道具の質と量は全国でも指折りだそう。
甲冑から鮮やかな能装束、極小サイズで表現した調度品など、長年受け継がれてきた立花家のくらしそのものを目にすることができます。

詩聖・北原白秋の原点とその歩みを知る

柳川出身の有名人といえば?
琴奨菊関、妻夫木聡さん、徳永英明さんなど、そうそうたる方々がいらっしゃいますが、明治生まれの大先輩、北原白秋先生を忘れてはならないでしょう。
北原白秋は詩人であり童謡作家であり、歌人でもあります。57歳の生涯のなかで2万作以上の作品を残しました。「からたちの花」「この道」「待ちぼうけ」など童謡のメロディは誰しも耳にしたことがあるのではないでしょうか。沖端にある「北原白秋生家・記念館」は、白秋の生家を復元したもので、記念館と合わせて白秋の生い立ちや人間像に迫ることができます。たくさんの書物や直筆の原稿、遺品を展示するほか、白秋の肉声が聞けるコーナーも。
「なまこ壁」と呼ばれる土蔵造りの「北原白秋生家・記念館」。白秋(本名・隆吉)は明治18年(1885)、造り酒屋の北原家に生まれました。
北原白秋。「柳川は、我が詩歌の母體」(ぼたい)と遺すなど、生まれ育った柳川をこよなく愛しました。
白秋が柳川観光について書いた直筆の提言書も展示。
明治42年(1909)、白秋が26歳の時に書き上げた処女作の詩集「邪宗門」、大正5年(1916)の「邪宗門」の改訂3版。白秋が遺した貴重な資料を見ながら、その生涯と功績を学ぶことができます。
毎年、白秋の命日である11/2を中日とした3日間、白秋祭が開催されます。
行灯で照らされたお堀をすすむ、水上パレードが見どころです。

柳川市民イチオシ! 駅近の絶品うなぎ店。

さて、いよいよお待ちかね、柳川名物の「うなぎのせいろ蒸し」を食べに行きましょう。柳川には街の規模からすると驚くほどたくさんのうなぎ店があります。なかでも観光客はもちろん、うなぎを食べ慣れた地元の人からも厚い支持を受けているのが、「元祖日の出屋」です。
店は福岡市と柳川市を結ぶ西鉄天神大牟田線の「西鉄柳川駅」から徒歩5分ほどの好立地。創業は約100年前と古く、創業当時は天然うなぎがよく獲れていた沖端近くで営業をしていて、交通の便利なこの地に移転してきたのだそう。
現在、店を切り盛りする4代目店主の山田信夫さん。
柳川とうなぎの歴史やお店のこだわりをうかがってみました。
もともと柳川は有明海に注ぐ筑後川、矢部川河口に近く、良質な天然うなぎの産地だったそう。よくうなぎの調理法としては関東風(背開き)か関西風(腹開き)かが話題になりますが、柳川で多いのはうなぎがパリッと香ばしく仕上がる関西風。そして焼いたあとにさらに蒸すことで、香ばしく肉厚でやわらかいうなぎ料理となるのです。
「元祖日の出屋」では鹿児島・宮崎産を中心に良質なうなぎのみを使用。長年継ぎ足してきたタレに何度も漬けながら、高級備長炭でふっくらと焼き上げます。伝統を大切にしつつもタレは時代の流れに合わせて研究を重ね、微妙に変化させているんだとか。高温の蒸気で蒸され、ふっくらとしたうなぎの身がさらにふっくらと変わります。
やっと、うなぎのせいろ蒸しとご対面!
いただいたのは、うなぎのせいろ蒸し定食 上(3,200円)。うなぎのせいろ蒸し定食の上と特上は、舟型にのせて提供します。同じようなスタイルの店は何軒かあるのですが、それをはじめたのはこの店だそうです。
うなぎの稚魚不足による価格の高騰が続いている昨今、数ある柳川のうなぎ店のなかでもリーズナブルな価格設定となっているのも、うれしいところです。(価格は仕入れ状況により変わる場合があるため、詳細はお問い合わせください)
肉厚のうなぎはふっくらやわらかく、表面の香ばしい焼き目が食欲をそそります。また、うなぎ本来の旨味が溶け込んだ甘めのタレがご飯のすみずみまで染みていて、もうたまりません。

【元祖日の出屋】
福岡県柳川市三橋町高畑100-3
0944-72-2437
https://hinodeya-unagi.com/index.html
元祖日の出屋

福岡県柳川市三橋町高畑100-3

以上、柳川の歴史と風情、そしてグルメをぎゅっと詰め込んだ旅でした。
柳川は福岡市からも気軽に行ける距離で街もコンパクトなので、日帰りでも十分楽しめます。ぜひ気軽に訪れてみてください。
 

地図を見る

Google Mapの読み込みが上限を超えた場合、正しく表示されない場合がございますので、ご了承ください。

関連するタグ

タグ一覧を見る

関連記事

週間記事ランキング

この記事を書いたフォトライター

PAGETOP