こんなにあるの?!ディープな九州隠れ古墳10選巡り

おうづかこふん

王塚古墳

古代ロマン度(おすすめ萌え度):★★★★★
古墳にコーフン度(美しさ度):★★☆☆☆
イケフン度(知名度):★★★★★

豪華絢爛!特別史跡に指定された装飾古墳の最高峰!!

王塚古墳の画像

圧倒的な色彩が織りなす古代人の死生観

国特別史跡/前方後円墳=墳丘長約86メートル※前方部は宅地化などで欠損/後円部の高さ約9.5メートル築造=6世紀中頃
装飾古墳の中でも、その内部が最も豊かで美しい色彩で飾られた古墳として有名です。毎年春と秋の2回、特別公開されています(2021年は中止)。公開時期以外で訪れるとしても心配ご無用!近隣の王塚装飾古墳館で、復元された石室内部を見学できます。壁面にちりばめられた圧倒的な色彩は息を飲むほど。古墳ファンとして、ここは見逃せないスポットです。

動画

発見時、全国に衝撃を与えた極彩色で彩られた「王」の墓
今から87年前の1934年(昭和9年)、小高い丘から土砂を採集する作業中、発見された王塚古墳。土取り工事によって石積みとその中に隠れていた石室が見つかったのです。のちに後円部にあたる部分と判明した塚山の中にあった石室内部壁面には、赤・黄・緑・白・黒・灰色などの顔料(着色剤)で三角形や波形、円文様のほか、馬や盾、靱(ゆぎ・矢筒)などの絵が、所狭しと並び、目にも鮮やかな装飾が施された壁面に囲まれた玄室が眠っていました。このパターン模様の美しさには驚くばかりですが、まだこれらの絵がどのような意図で描かれたのかは不明なんです。今も昔も、アートの解釈は簡単ではないのですね。当時、世紀の大発見は大反響を呼び、発見から3年後(1937年・昭和12年)に史跡に指定、1954年(昭和29年)には国の特別史跡に指定されました。

王塚古墳玄室の画像

王塚装飾古墳館で見られる、復元された王塚古墳玄室。画面正面の石棚と側石で区切られた部分が石屋形、その前面の左右にある大きめの石が灯明台。

王塚古墳のすべてがわかる王塚装飾古墳館
復元された石室のほか、100点を超える出土品のレプリカが展示されています。出土品自体は重要文化財に指定され、京都国立博物館に寄託されています。

王塚装飾古墳館の外観画像

王塚装飾古墳館の外観。

王塚装飾古墳館内にある、復元された石室内部の前室奥壁
玄室の手前に設けられた前室の奥壁にも、円や波形などの文様が色とりどりに描かれています。装飾古墳最高峰の名に恥じない、複雑な構造の石室は圧巻!

王塚前室(レプリカ)の画像

王塚前室(レプリカ)

出土した馬具(轡と杏葉)のレプリカ
轡(くつわ)とは、馬の口にかませて手綱を付けて馬を御する道具。杏葉(ぎょうよう)は馬の鞍の装飾具のことで、杏の葉に形が似ていることが名前の由来となっています。

轡の画像

杏葉の画像

杏葉

出土した神獣鏡と装飾品(管玉・埋木・なつめ玉)のレプリカ
神獣鏡(しんじゅうきょう)とは、銅鏡の背面に神獣の模様があしらわれたもの。管玉(くだだま)は円筒形をした装身具。埋木(うもれぎ)とは樹木が炭化したもので、硬いため細工物とされた装飾品の一つ。なつめ玉は、丸玉を伸ばして加工したもので、なつめの実の形に似ていることから名付けられています。

変形神獣鏡の画像

「変形神獣鏡」

装飾品の画像

装飾品。装飾品のうち、上段の左は「土製丸玉」、中央が「管玉(くだたま)」、右が「銀の鈴」。下段の左は「埋木製切子玉」、中央が「コハク製なつめ玉」、右が「金の耳輪」。

前方後円墳とは
真上から見ると鍵穴のような形をした前方後円墳。その由来をご存じですか?前方後円墳という呼び方は江戸時代後期の国学者・蒲生君平がその著書『山陵志』で初めて用いました。蒲生が調査したところ、「天皇陵」のいくつかは地元で「車塚(くるまづか)」と呼び習わされていました。そこで蒲生は、その独特の形は牛車(ぎっしゃ)など「車」に由来すると考えました。
前方後円墳の墳丘は、横からだと低く平らな部分(上から見ると台形=方形)と、盛り上がった塚山部分(上から見ると円形)に見えます。そこで、平らな区域を牛が曳く長柄(ながえ・轅)に、塚山部分を人が乗る屋形と考え、牛が曳く方を前(方形)、人が乗る方を後ろ(円形)に見立てて、前方+後円の古墳だから「前方後円墳」と名付けたのです。う~ん、わかりやすいような、複雑なような。
でも実際のところ、どちらが前なのか、そもそも前後が区別されていたのか、など現在でもわかってないことも多いそうです。
ちなみに、後円部にあたる部分が方形の形をした古墳もあり、その場合は「前方後方墳」と呼ばれています。また下の部分が方形、上の部分が円形をした古墳は「上円下方墳」といい、昭和天皇の多摩御陵も上円下方墳で造営されています。

山陵志の挿絵画像

蒲生君平(がもうくんぺい)の『山陵志(さんりょうし)』より。(国立国会図書館デジタルコレクション)

コロナ感染防止のため、古墳の見学や入場が制限される場合がございます。予めご確認下さい。


王塚古墳スイーツの定番⁉古墳マドレーヌはいかが?
前方後円墳型のマドレーヌの中に宝(餡、胡桃)が眠っているという、なんともセンスある古墳マドレーヌ。お土産として配れば、みんなと古墳トークが弾みそうですね。

マドレーヌの画像

アクセス

電車で行く場合

JR福北ゆたか線・桂川駅から徒歩約10分

車で行く場合

八木山バイパス穂波インターから約8分