こんなにあるの?!ディープな九州隠れ古墳10選巡り

おにのいわやこふん

鬼の窟古墳

古代ロマン度(おすすめ萌え度):★★★★★
古墳にコーフン度(美しさ度):★★★★★
イケフン度(知名度):★★★★☆

九州最大の古墳群の中でも特異な構造を持つ大型円墳

鬼の窟古墳の画像

鬼にまつわる伝承が残された首長の墓

国特別史跡内/円墳=墳丘直径約37メートル/高さ約7メートル
築造=6世紀末~7世紀初め頃
九州最大の古墳群、西都原古墳群の中にある大型円墳(第206号墳)。墳丘の周囲には二重の堀だけでなく、2メートルを超える高い土塁がめぐる珍しい構造を持っています。この古墳群の中で、唯一の横穴式石室を持つ鬼の窟古墳は、周辺を治めた最後の首長の墓だと言われています。古墳の周りでは、春は菜の花、夏はひまわり、秋はコスモスなど四季折々の花が咲き誇ります。季節の花と古墳のコントラストを見るために、何度も訪れたくなるかもしれませんね。

動画

切ない鬼の伝承と最後の前方後円墳
ここに残る鬼の伝承は怖ろしい説話ではありません。木花咲耶姫(このはなさくやひめ)を見初めた鬼が、婚姻を許してもらうため一夜で岩屋(窟)を造ったものの、姫の父神に約束を反故にされ、その願いはかなわかった……そんな切ないストーリーです。傷心の末、鬼はこの地を去ったことでしょう。伝承は何かを暗示しているのか、それとも単なる昔話なのでしょうか。いずれにせよ、これ以後、消えた鬼と同様にこの周辺では巨大墳墓が造られなくなります。
鬼の窟の中、つまり開口していた石室からは耳環(みみわ)や平玉(ひらだま)などの装身具、鉄鏃(てつぞく)や金銅(こんどう)の装馬具片、鉄釘や須恵器(すえき)、土師器(はじき)などが出土しています。古墳時代末期という築造時期などから、埋葬には木棺(もっかん)が使用されたのではないかと推測されています。

鬼の窟古墳の石室内部の画像

鬼の窟古墳の石室内部。左右の壁は内側に傾けられ、天井に巨大な石を乗せる構造になっています。

陵墓参考地を含む古墳の博覧会場、西都原古墳群
鬼の窟古墳も含まれる西都原古墳群には、総数311基の古墳が点在します。すごい数ですよね!東西2.6キロ、南北4.1キロの広範囲な区域にある古墳は本当にバリエーションが豊か。時期は3世紀後半~7世紀中頃にわたり、古墳の形状は前方後円墳をはじめ、円墳、方墳だけでなく、地下式横穴墓(よこあなぼ)も存在していて、まさに古墳のデパートまたは博覧会場といった感じ。
また、この古墳群には男狭穂塚(おさほづか)古墳と女狭穂塚(めさほづか)古墳の2基の陵墓参考地(天皇や皇族を埋葬した可能性はあるが、特定に至る資料が存在しない墳墓)も含まれているんです。男狭穂塚は瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の陵墓に、女狭穂塚は木花咲耶姫の陵墓に、それぞれ宮内庁によって治定(じじょう)されています。

西都原古墳群の全景の画像

西都原古墳群の全景。鬼の窟古墳は画面中央、やや右に見えます。男狭穂塚と女狭穂塚は画面中央よりやや上、森のように見える部分。

古墳群で古墳を知る
西都原古墳群は、幅広い時期にわたって造営され続けた結果、九州最大規模の古墳群となりました。時期が異なれば、同じ前方後円墳でも違いが出ます。下の画像はどちらも前方後円墳ですが、左の第46号墳は4世紀末~5世紀初め頃に築造されたも。右の第202号墳は6世紀後半頃に造られたもの。より古い時代に築かれた46号墳は前方部の墳丘の裾がシャープですが、202号墳の裾は丸みを帯びています。これが流行による違いなのか、それとも作業の簡略化などによるものなのかは完全に解明されてはいませんが、その後に巨大古墳そのものが造られなくなっていくことを思えば、簡素化による違いといえるでしょう。ほかにも古墳の段数や形など、現地で観察してみると、思いがけない発見があるかもしれません。注意深く比較しながら見物してたら、新たに発見できることがあったりして...⁉

第46号墳の画像

左は第46号墳。

第202号墳の画像

右は第202号墳。

西都原考古博物館でもっと古墳を好きになる!
西都原古墳群に隣接する西都原考古博物館では、この古墳群にある古墳はもちろん、神話の時代や全国の古墳事情、古墳時代の海外情勢などについて、より深く楽しく知識が得られます。また現地の古墳の保存と公開に関しても新しい試みを実施しているので、何度訪れても新しい驚きが待っていますよ!

男狭穂塚古墳と女狭穂塚古墳の画像

大きなモニターに映っているのは男狭穂塚古墳と女狭穂塚古墳。

博物館の外観の画像

博物館の外観。

コロナ感染防止のため、古墳の見学や入場が制限される場合がございます。予めご確認下さい。


西都市の四季の花を楽しみながら、新名物に舌鼓!
西都市は古墳の他にも四季折々の花をお目当てに訪れる人が多いことを知っていましたか?古墳やお花めぐりのお供に、西都市産の黒糖を使った新名物・西都原まんじゅうはいかがでしょうか。西都原ガイダンスセンターこのはな館限定販売の新商品です。

西都原まんじゅうの画像

アクセス

電車で行く場合

宮崎駅より「西都バスセンター経由  西都原考古博物館前」行きバスで終点下車約70分

車で行く場合

東九州自動車道西都インターより約15分