こんなにあるの?!ディープな九州隠れ古墳10選巡り

ながとおにづかこふん

長戸鬼塚古墳

古代ロマン度(おすすめ萌え度):★★☆☆☆
古墳にコーフン度(美しさ度):★★★☆☆
イケフン度(知名度):★☆☆☆☆

墳丘や内部がよく保存された長崎県本土側では希少な装飾古墳

画像:長戸鬼塚古墳

有明海に面した景色と「クジラ?」の線刻画が魅力の円墳

県史跡/円墳=墳丘直径約15メートル/高さ約5メートル
築造=7世紀前半
九州での特徴的な複室構造の横穴式石室を持つ装飾古墳。墳丘の保存状態はよかったものの、長く放置されて草木に覆われて墳形が確認しにくかったところでしたが、近年整備されて観察しやすくなっています。また、古墳内部には側壁の石に刻まれた線刻画(せんこくが)が認められます。
有明海を望む丘陵先端に築かれていてロケーションがよく、また知る人ぞ知るスポットで人が少なく、人混みが苦手な人にはオススメです。

動画

墳丘から古墳内部まで まるまる古墳を堪能できます
有明海沿岸部ではいくつかの装飾古墳が散見できますが、長崎県本土側ではこの長戸鬼塚古墳のほか、小長井町(こながいちょう)の丸尾古墳、高来町(たかきちょう)の善神(ぜんじん)さん古墳の3基が知られています。この中で最も遺跡の保存状態がよく、築造時の様子を現在にまで伝えているのが、この長戸鬼塚古墳です。
石室は入口(羨門 せんもん)から羨道(せんどう)、前室、玄室で構成された九州型横穴式石室。前室や玄室の側壁の少なくとも3か所で線刻画が見つかっています。多くの古墳が内部への立ち入りを禁止している中、古墳内部へ入って見学することが可能な点はうれしい限り。
羨道や前室、玄室の壁面、さらには線刻画まで、心ゆくまでじっくりディープに観察してみましょう。

写真:長戸鬼塚古墳の墳丘

長戸鬼塚古墳の墳丘。画面奥には有明海が広がっています。

玄室奥壁の自然石と見事な石積みを見る
玄室でひときわ目を引くのは、奥壁に立てられた幅約2.5メートル、高さ約2.5メートルの巨大な自然石。また左右の側壁には、それぞれ長さ約2メートル、高さ1メートルほどの腰石(こしいし)が据えられ、奥壁も含め、天井へ向かって大小の石が積み重ねられています。
玄室の高さは約3メートル。天井には3枚の天井石が重ねられ、中央部は一段高くなっています。
近在では存在が古くから知られていましたが、開口されていた内部は当然ながら盗掘の被害に遭っていて、副葬品などは一部の欠片しか見つかっていません。

写真:巨大な自然石

長戸鬼塚古墳の玄室奥壁に据えられた巨大な自然石。

絵師でなく素人が描いた線刻画の意味するものとは?
前室の腰石には釘で引っかいたような線があって、「クジラ」の線刻画だとされています。調査を行なった小長井町の報告書には「尾鰭(おびれ)が三角の撞木(しゅもく)形に表現されており」とあるのですが、うーん、正直いってはっきりとはわかりかねます。その筆致も「自由画風的」と表現されるように、専門の絵師によるものではありません。ですが古代人の手で何かが描かれたのは間違いありません。報告書によれば「葬礼の際に近親者が描いた」とする説もあるようで、だとすればそれはまた感慨深いところでもあります。

写真:腰石

石室内の線刻画が描かれた腰石。

コロナ感染防止のため、古墳の見学や入場が制限される場合がございます。予めご確認下さい。

長崎市内だけじゃない、諫早の眼鏡橋
目をこらして線刻画のクジラを探しても見つからないなら、必要なのは”眼鏡”かもしれませんね。ということで、長崎市だけではなく、諫早市にもある”眼鏡橋”を訪れてみましょう!諫早公園内の深い緑に映える橋は四季折々違った雰囲気を見せてくれます。

写真:眼鏡

秋の眼鏡橋(諫早市HPより)

アクセス

電車で行く場合

JR長崎本線 小長井駅から徒歩で20分

車で行く場合

長崎自動車道 諫早ICより国道207を利用し約45分