こんなにあるの?!ディープな九州隠れ古墳10選巡り

みちごしこふん

道越古墳

古代ロマン度(おすすめ萌え度):★★★☆☆
古墳にコーフン度(美しさ度):★★☆☆☆
イケフン度(知名度):★☆☆☆☆

有明海を舞台に活躍した豪族が眠る静謐な玄室

道越古墳の画像

天へといざなうかのような高さを誇るドーム天井

史跡指定なし/円墳=墳丘直径約9.5メートル/高さ約4.6メートル
築造=6世紀後半
道越古墳は、有明海を舞台に活躍した6世紀後半に造られた豪族の墓と考えられています。
以前から開口していた石室(せきしつ)は、畿内に多く見られる単室構造の横穴式石室。開口部から古墳の内部に入って実地で観察できるようになっています。
石室の奥、玄室(げんしつ)の天井は合掌形のドーム構造になっていて、見上げるほどの高さを誇ります。豪族が永遠の眠りに就いた安息の地。古墳好きならぜひ訪れたい知られざる聖域です。

住所
佐賀県藤津郡太良町大浦
関連リンク
太良町観光協会の公式ホームページはこちら (外部リンク)

動画

6世紀後半の築造を特徴的に示す広い玄室
現代の一般的な住宅の部屋の高さは2.4から2.6メートル。この古墳の玄室の高さは4.3メートル。2階まで吹き抜けになっている玄関ロビーなどの天井を思い浮かべると近いでしょう。玄室の広さは幅が約2.9メートル、奥行きが約4.8メートル。壁面は大小の石を組み合わせて積み上げられ、上へといくにしたがって内側へ傾けられて天蓋部(てんがいぶ)はドーム形となっています。
古墳の入口(羨門・せんもん)から狭い羨道(せんどう・古墳の入口から玄室へと続く通路)をくぐり抜けたところが玄室。突然広がる空間が圧迫感からの解放を見事に演出していて、そこから続く予想以上に高い天井が、現代の私たちにとっては「昇天」をイメージさせる、とはいいすぎでしょうか。
こうした高い天井を持つ玄室が最も多く築かれたのが、この古墳が成立した6世紀後半。それ以後、玄室の規模は小さく、そして美しく変化していき、やがて古墳時代終末期の7世紀終わり頃には、被葬者の遺骸がかろうじて納まるほどの狭いスペースへと変化していきます。

羨門(古墳の入口)の画像

道越古墳玄室から羨門(古墳の入口)を見たところ。

生者が死後の世界を感じ取る装置でもあった埋葬施設
被葬者の遺骸(いがい)を安置した玄室が死後の世界もしくはその入口だとすれば、羨門から玄室へと続く羨道は、この世とあの世、現世と死後の世界を結ぶ通路であり、そこを通る人に死後の世界の存在を感得(かんとく)させる装置だったともいえます。
日本神話でいえば、古墳の玄室は国生み神話で知られる女神イザナミがその死後に住んだ黄泉国(よもつくに)か、もしくはその入口であり、羨道は、妻であるイザナミを追って男神イザナギが黄泉国へと向かった通路、黄泉比良坂(よもつひらさか)にあたります。神話では、黄泉国で妻は生前の姿から変わり果てており、怖れたイザナギは坂を急ぎ引き返します。そして追いすがる妻やその配下たちから逃げようと、イザナギは通路を巨岩で覆って黄泉路を塞ぎ、この世とあの世の通行を断った、とされます。
横穴式石室の登場と運用は、こうした死後の世界の存在を人々に与えることとなり、葬礼に参列した古代の人々は、古墳に設けられた羨門や羨道、前室、玄室などの施設を見て、あるいはそこへ身を置いて、死後の世界、黄泉(よみ)の世界に思いを至らせ、死生観を共有していった、と唱える研究者もいます。
古墳を訪れる楽しみの一つは、その構造がもたらす効果、いいかえれば古代人の意図したものやその世界観を想像するところにもあるのです。

九州型横穴式石室と畿内型横穴式石室
古墳の内部に造られた埋葬施設、石室にはいくつかの特徴的な構造があります。
畿内(きない)に多く見られる石室(畿内型横穴式石室)は、入口(羨門)から廊下のように奥へと伸びる羨道が続き、玄門(げんもん)と呼ばれるやや細くなった部分の奥に、棺を安置する部屋(玄室)が造られています。これに対して九州型横穴式石室は、玄室の手前に小ぶりの部屋(前室)がある構造のものをいいます。こうした違いがある理由は解明されていませんが、古代人が造った、被葬者が眠る玄室へと続く空間を観察することも古墳を訪れる楽しみの一つと言えますね。

コロナ感染防止のため、古墳の見学や入場が制限される場合がございます。予めご確認下さい。


太良町に来たなら、道越古墳見学と竹崎カニは外せない!
豪華な玄室を見学した後は、豪華な竹崎カニを堪能しましょう。太良町と聞いて、竹崎カニを連想するなら、相当のカニ通と言えるでしょう。全国的にはワタリガニの一種ではありますが、有明海の干潟で育った竹崎カニの味は格別。1年を通して美味しく食べられるのも嬉しいですね。

竹崎カニの画像

アクセス

電車で行く場合

JR肥前大浦駅より祐徳バス利用、道越バス停下車すぐ

車で行く場合

長崎自動車道・武雄北方インターより国道207を利用し約60分