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かわいい河童がお出迎え!福岡県久留米市「田主丸」でかっぱめぐりの旅

九州各地に点在する河童伝説の地。なかでも福岡県久留米市の田主丸(たぬしまる)は、地域の人々にとって河童は身近な存在であり、あちこちで河童に出会える場所として知られています。インパクト抜群の河童の駅舎や町に点在する願いが込められた河童、そしておいしい河童まで! 田主丸のさまざまな河童を紹介します。

田主丸はなぜ全国的な“河童の町”に?

九州一の大河川・筑後川の流域にあり、肥沃な大地に恵まれる田主丸地区。その反面、大雨によるたびたびの洪水は古くから地域の人々を苦しめてきました。そのため、河川の平穏を願う水神信仰が生まれ、そのひとつとして河童の伝説が生まれたと言われています。

田主丸が河童の町として全国的に知られるきっかけには、北九州・若松出身の芥川賞作家 火野葦平氏が大きく関わっています。火野さんは、1941(昭和16)年にこの地を訪れた際、鯉素潜り漁の達人「鯉とりまあしゃん」の姿に惹かれ、それ以降、田主丸を小説にたびたび登場させることになります。1955(昭和30)年から現在まで続く「田主丸河童族」の発足にも関わり、地元の人々と同じように田主丸の河童を愛したそうです。

このようにして、田主丸は全国的に“河童の町"として知られるようになりました。それではそろそろ、多くの人たちに愛される田主丸の河童を探しに行きましょう!

河童好き集まれ!河童尽くしのカフェ「KAPATERIA」

のどかな景色の中に突如現れる巨大な河童!こちらはなんとJR久大本線「田主丸駅」の駅舎なのです。1992(平成4)年に浮羽工業高校の生徒のデザインをもとにしたユニークな駅舎が完成。2018年(平成30)に塗装などをリニューアルしました。河童が肘をついて寝そべっているポーズもかわいらしく、見ているだけで笑顔になりますね。
リニューアルに合わせ、駅舎内にはカフェ「KAPATERIA(カパテリア)」がオープン。河童を愛する人の憩いの場所として開かれたカフェは、メニューはもちろんインテリアやグッズまで河童づくし。また提供される食事やドリンクは久留米市の人気店が協力してメニュー開発を行い、材料はできるだけ田主丸産や近郊のものを使って作られています。
「かっぱのカレー」は、田主丸のフレンチ「Restaurant Spoon(レストラン スプーン)」のシェフが手がける人気の一品です。19種のスパイスを調合したカレーは、かわいい表情とは裏腹にスパイシーで奥深い味わい。ひよこ豆などのビーンズがたっぷりと入り、食べ応えも十分です。ライスのお米は田主丸の無農薬米を使用しています。土・日・祝限定のメニューですが、予約すれば平日も味わうことができます。
「かっぱのマカロン」は、同じく「Restaurant Spoon」のシェフ作。うきは産の抹茶を使用した香り高い生地に、チョコレートを挟んだ本格的なマカロンです。リラックス感のある表情に癒されますね。久留米市「3po.cafe.home(サンポカフェ)」による「KAPATERIA」のオリジナルブレンドコーヒーなど、ドリンク類も充実しています。そのほかに、スムージーやホットドッグ、新登場のラーメンなど河童メニューがたくさんあります。
電車を眺めながら食事や休憩ができるロケーションもいいですね。
誰でも河童に変身できる「かっぱマスク」やマスコットキャラクターのオリジナルグッズ、地域の加工品などの販売スペースもあり、おみやげ選びにもおすすめです。また、田主丸の河童スポットが記載された「かっぱめぐりMAP」ももらえるので、散策前に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
KAPATERIA(カパテリア)

福岡県久留米市田主丸町田主丸1015‐2 JR田主丸駅構内

https://kapateria.com/

田主丸のあちこちで出会えるユニークな河童たち

田主丸では、数多くの河童に出会うことができます。まずは玄関口のJR田主丸駅から。ホームにある「お迎え河童」(左)は、おおらかな表情で、駅を利用する人を「ようこそ」と出迎えてくれます。1956(昭和31)年、駅前に造られた歴史ある石像(右)。現在は、「かっぱ駅長」として駅舎内でお勤め中です。
田主丸商店街近くを流れる「ひばり川」にかかる橋の欄干からは、表情豊かな河童が町を見守っています。酒蔵そばの橋はお酒の土瓶を持った「和くら野河童」(左)や、“屁のかっぱ"を体現した「屁こぎ河童」(右)など、ユーモアたっぷりなものも。
力強く相撲を取る「弥五郎息子河童」(左)、欄干から川を見張る「監視河童」(右)。MAPを片手にどんな河童に出会えるのか歩き回るのは楽しいですね。
1953(昭和28年)年に町を襲った水害の後に造られた「28河童」。水の被害が起こらないように、何十年もこの場所から町を見守っています。

“河童族”が手がける、かっぱモチーフの和菓子

町を散策していると甘いものが恋しくなりますね。そんなときは、商店街にある和菓子の老舗「あけぼのや」へ。「田主丸河童族」の一員である藤田公一郎さんや息子さんが手がけるおいしい和菓子を購入することができます。
ぷっくりとした形が愛らしい「河童のへそ」。香ばしい黒ゴマがかかった生地の中にこし餡が入った饅頭です。
甲羅を思わせる六角形のサブレ「甲羅やき」。サクサクの食感とバターの豊かな風味を楽しめます。パッケージに描かれた河童の絵も味わい深いですね。
初代河童族の一人であり、芸術的センスに優れていた先代は、和菓子作りの傍ら多くの河童作品を残しています。商品のパッケージや包装紙は先代が手がけたものです。また火野葦平さんとの交流もあり、菓子折りの掛け紙の河童の絵は、お店の襖に火野さんが描いた河童の絵を元にしています。
この記事で紹介した田主丸駅の駅長の石像や、ひばり川の河童たちを生み出したのもこちらの先代。田主丸の河童を語る上で欠かせない存在ですね。

さらに、こちらのお店に伝わるのが「河童の手のミイラ」! 2023年3月11日(土)~5月14日(日)に「福岡市博物館」で行われる展覧会「驚異と怪異 想像界の生きものたち」に展示されるそうなので、気になる方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

田主丸町の観光ナビはこちら( https://www.tanushimaru.net/ )から
あけぼのや

福岡県久留米市田主丸町田主丸432

https://tanoshimaru.com/find/akebonoya/

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