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たっぷりの湧水の恵みと、島原名物「かんざらし」/半島まるごとジオパーク!島原半島ぐるり1周旅【4/4】

地域の人のライフラインにもなっている湧水は、これぞジオパークの証。その湧水を流しながら白玉粉で作った小さなお団子を冷やして食べる島原名物「かんざらし」に舌鼓。
大地の恵みと歴史をたどる島原半島ぐるり1周1泊2日の旅、最終日。

これぞジオパークの証。たっぷりの地下水が地域にもたらす恩恵

自然への畏怖を感じることもあれば、その計り知れない恵みに守られているのもジオパークの魅力のひとつ。島原市にある浜の川湧水を訪ねてみました。
浜の川湧水は、1792年の「島原大変」と言われる雲仙火山の噴火の際に、地殻変動によって生まれたといわれる井戸を水源とする湧き水です。1日1800トンの水が湧いているそうで、洗い場が使用目的ごとに4分割されています。
地域の人にとって、この湧水は「水道水より信用できる」と言われているほどライフラインとなっているもの。訪れた日も、自宅横の湧き水で洗い物をしているお母さんの姿をみかけました。水道に慣れている私たちにとっては非常に珍しい光景ですが、昔は日本全国どこでもこうした暮らしをしていたのだと思うと、毎日きれいな湧き水で生活できるなんて、とても豊かなことだなとうらやましくなりました。
浜の川湧水

長崎県島原市白土桃山二丁目

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その浜の川湧水のすぐそばにある甘味処、銀水さん。昨年、20年近い時を経て復活した島原名物の名店です。
さて、それは何だかおわかりになりますか?
 
ヒントは、小さく丸められた白玉団子を、湧水を流しながら冷やしているこの様子。
はい、そうです。先ほど邑居でも頂いた「かんざらし」です。
白玉粉で作った小さなお団子を、島原の湧水で冷やし、同じく湧水で冷やした蜜をかけて頂きます。この蜜ははちみつ、砂糖などが使われており(最終的な味付けはお店ごとに秘伝なのだそうです)、さらっと上品な甘さとのど越しの良さが特徴です。
原料であるもち米を大寒の日に水にさらすことから「寒ざらし」という名前になったのだそう。銀水のほかにも、島原市周辺の飲食店で気軽に食べることができるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
 

産地を守る和ろうそく作り体験

旅の想い出とお土産に、和ろうそく作りをしてみました。
尋ねたのは同じく島原市にある本多木蝋工業所。伝統の玉締め式圧搾機ではぜの実を絞って木蝋を作り続けている、日本でも数少ない製蝋所です。
浜の川湧水ができたきっかけでもある1792年の島原大変で、周囲は大変な被害を受けました。その後、火山灰にも強いはぜの木を使用した和ろうそく作りが島原藩で奨励され、財政を建て直したという歴史があります。以後、島原ははぜの産地として、そして木蝋や和ろうそくの伝統産業が盛んになっていったそうです。
 
まずはろうそく作りから。型に蝋を入れて、冷やし固めます。
こちらで作っているのは和ろうそく(写真右)。左が洋ろうそくです。ご覧の通り、芯のまわりの空洞が広いのが和ろうそくの特長のひとつ。この大きな空洞でたっぷり空気を吸い込むことができるので、炎が大きく、そしてゆらめきも大きいのだそうです。
固まるのを待っている間に、絵付け体験もできます。
完成したマイろうそくは、もちろん持ち帰ることができます。
こちらがはぜの実。最初「はぜって触ったらまけるよね?」と思っていましたが(小さい頃にはぜの木でまけたことのある方、結構いらっしゃるのではないかと思います)、実はこれこそが本多木蝋工業所が伝えたい一番のメッセージ。
はぜは、葉が青い夏の時季にまけることはあっても、葉が落ちたあとの実をどれだけさわってもまけることはないのだそうです。「はぜはまける」という誤ったイメージを払拭して、島原の伝統産業である木蝋を守りたい、という想いがこの工業所を支えていました。
 
本多木蝋工業所

長崎県島原市有明町大三東丙545

以上、雲仙市、南島原市、島原市をぐるりと旅したレポートをお届けしました。
最後に、諫早湾を照らす夕日の写真をお届けします。こんなにもきれいな自然でも、時に人間の生命を脅かすような存在になることもある。それでもうまく向き合って、人類の営みが紡がれて自分が今生きているのだと、大袈裟ではなくしみじみ感じる1泊2日でした。
皆さんも、ぜひジオパークの底力を、様々な角度で体験する島原半島の旅、してみませんか?


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