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【九州旅ネット編集部員おススメ】佐賀、長崎、鹿児島の穴場スポット

大手旅行会社に30年以上勤務した九州旅ネット編集部員S浦が、佐賀・長崎・鹿児島で観て、感じてきた「知る人ぞ知る」魅力的な穴場スポットを紹介します。

はじめに自己紹介

編集部員S浦氏
大手旅行会社に勤務して30年、全国そして海外を視察・添乗業務などで巡りながら、多くの観光スポットを観て・体験し、地元の名物を食してきました。
と同時に、九州内3ヶ所の支店での勤務とそれぞれの土地での生活を通じて、多くの魅力的な観光素材が、あまり人に知られず埋もれている、もしくは知られてはいるがその持っているポテンシャルや価値ほどの評価がされていないことに驚かされることが少なくありませんでした。
これはそこで生まれ育った地元の人々にとっては当たり前過ぎて気が付かない価値に、私のような転勤族で、そして各地の観光素材を観てきた人間だからこそ、その価値や魅力に気づいたり、「もったいない」と思うことができたのではないかと思います。
今回は、私が勤務してきた長崎・佐賀・鹿児島で観て・感じてきた「知る人ぞ知る」魅力的な穴場スポットをご紹介します。

〔鹿児島県〕
1.福昌寺跡

写真協力:公益社団法人 鹿児島県観光連盟
【概要】 鹿児島市中心部から車で数分という便利な場所にありながら、緑に覆われた閑静な場所にひっそりとした佇まいにあります。 曹洞宗・玉竜山福昌寺は島津家代々の菩提寺として栄え、最盛期には大伽藍を備えた南九州屈指の大寺として1,500人の僧侶がいたと言います。宗教のみならず当時の薩摩藩における教育・外交においても重要な役割を果たすなどその勢力を誇りましたが、明治の廃仏毀釈により破壊され廃寺となり、現在は歴代の薩摩藩主の墓地群のみが残されています。
写真協力:公益社団法人 鹿児島県観光連盟
【ここがポイント・見どころ】 あくまでも墓地ですので観光地として整備や宣伝がなされているわけではないのですが、ここが実に素晴らしい史跡なんです。墓碑をよく見ていくと、島津義久、義弘、家久、斉彬、久光など歴史小説や大河ドラマで活躍した戦国・幕末の英雄たちの名前があちこちに・・・。歴史好きにはそれだけでも堪らない空間ですが、史跡を囲む森と苔むした石造りの墓碑や回廊が点在する光景は、まるでタイの仏教遺跡「アユタヤ」のようです。 街中にありながら静かで厳かな雰囲気に囲まれた空間で栄枯盛衰の歴史に思いを馳せながら、時が止まったような体験ができる場所です。勤務先・取引先の人達に尋ねてみましたが、鹿児島市民の皆さんもあまり知らない、知っていても行ったことがないという人が多い隠れた魅力スポットです。

【さらに一言】 〇駐車場がありませんので、バス・タクシーを利用するか近くのコインパーキングを確認して訪問してください。 〇トイレありません。 〇“静寂さ"がウリなので、大人数で訪れるよりもお一人もしくはごく少数で訪問されることをおススメします。
鹿児島島津家墓所(福昌寺跡)

鹿児島県鹿児島市池之上町48

https://www.welcomekyushu.jp/event/?mode=detail&id=9999900038027&isSpot=1&isEvent=

2.あじろ浜

写真協力:公益社団法人 鹿児島県観光連盟
【概要】 鹿児島市内から車で約90分、薩摩半島の南端にある坊津町にある「あじろ浜」。島ではありませんが、浜まで行く道が無いため漁船で渡るしかないという秘境っぷりです。個人的には、離島を除く九州本土では一番きれいで南国ムードが漂う海水浴場ではないかと思います。

【ここがポイント・見どころ】 海の抜群の透明度にも驚かされますが、何よりトロピカルムード満点の色合いが広がる海の中は、ここが鹿児島本土であることを忘れさせます。これまでハワイのハナウマ湾やオーストラリアのグレートバリアリーフといった自身の目で見てきましたが、あじろ浜でも水中メガネを通してクマノミをはじめとする熱帯魚の群れや色とりどりのサンゴが広がる光景を見ると、それらの世界的なダイビングスポットにも匹敵する美しさではないかと思います。 コロナ禍のために「海外のビーチリゾートへ行きたいのに行けない!」という方にはうってつけの隠れリゾートですよ。

【さらに一言】 〇浜にはテント以外の施設がありません。シャワー・トイレ・更衣室もありませんが海に行く前後に船着き場で済ませることができます。 〇私は利用しませんでしたが、食材や食器などを持参すればバーベキューセットの貸し出しもできるようです。 〇帰路は枕崎港に立ち寄って、本場のカツオのたたきを楽しむのが私の最高のゴールデンルートです。
あじろ浜

鹿児島県南さつま市坊津町

3.南洲墓地

写真協力:公益社団法人 鹿児島県観光連盟
【概要】 遠く桜島を望む南洲公園にある、西南戦争で戦死した2,023名が埋葬されている南洲墓地。 維新の英傑の一人として今なお高い人気を誇る西郷隆盛翁が眠る墓の他、公園内には西郷を祀る南洲神社、西郷の生涯・業績などを紹介する西郷南洲顕彰館などがあり、西郷ファン、歴史好きの人が多く訪れるスポットです。
【ここがポイント・見どころ】 訪れてから驚く人が多いのですが、墓地には西郷隆盛の墓だけでなく桐野利明、村田新八、篠原国幹といった西郷とともに命運をともにした私学校派のメンバーの墓も祀られています。ひときわ大きい西郷の墓石を中心に整然と並んだ墓石群に圧倒されます。

【さらに一言】 〇司馬遼太郎の「翔ぶが如く」(全十巻)を読んでから訪れることをおススメします!登場人物の墓石を見つけたときの感動が増幅されます。 〇西郷終焉の地、城山にある西郷洞窟とセットでご覧ください。 〇西南の役後、勝海舟が西郷を想い読んだ歌碑があります。泣けます。
西郷南洲顕彰館・南洲墓地

鹿児島県鹿児島市上竜尾町2番地1号(南洲公園内)

https://www.welcomekyushu.jp/event/?mode=detail&id=9999900038038&isSpot=1&isEvent=

4.鹿屋航空基地史料館

写真協力:公益社団法人 鹿児島県観光連盟
【概要】 鹿屋は第二次世界大戦末期に特別攻撃隊の発進基地があった地です。現在は海上自衛隊航空基地・史料館があります。館内には遺影や遺書などが展示されています。その他にも、海上自衛隊の活動状況も紹介されている他、「零式艦上戦闘機52型」(いわゆるゼロ戦)が復元展示してあります。また隣接して飛行機公園があり、魚雷砲弾、対潜哨戒機が陳列されています。
写真協力:公益社団法人 鹿児島県観光連盟
【ここがポイント・見どころ】 基地の敷地ということもあり、通常の観光コースではないので訪問したことがないという人も多いのではないでしょうか。少し敷居が高い感じがしますが、予約は不要、入場も無料です。受付では海上自衛隊の隊員さんが親切に対応してくれます。 復元されたゼロ戦の迫力、豊富な資料が見どころですが、何といっても一番は特攻隊員達の遺品の展示コーナーです。特攻隊の遺書の展示といえば知覧の特攻平和会館が有名ですが、ここ鹿屋にも若くして国や家族を守るために決死の覚悟で飛び立っていった隊員達の遺影や家族などへの遺書などがたくさん展示されており、涙なくして見ることができません。 遺影を拝見すると、当時の隊員さん達は今の私(53歳)よりも随分と若いはずですが、年下というのが信じられないくらいしっかりとした顔立ちをされていますし、残された遺書も皆様達筆の方ばかりで、やはり“覚悟"が顔にも文字にも伝わってくるのだなと感心させられました。

【さらに一言】 〇「エアーメモリアルinかのや」というイベントが毎年4月に開催されています(2020,2021年はコロナの影響で中止)。 開催当日は、基地の一般開放と航空ショーが実施されていて、P-3Cの編隊上空通過、陸海空の自衛隊の航空機や装備品の展示、模擬戦闘訓練、フライトシミュレータ試乗、管制塔見学など迫力満点で貴重な体験ができます。あのブルーインパルスのデモンストレーション飛行も見ることができるかも?
海上自衛隊鹿屋航空基地史料館

鹿児島県鹿屋市西原3丁目11-2

https://www.welcomekyushu.jp/event/?mode=detail&id=9999900037997&isSpot=1&isEvent=

〔長崎県〕
1.佐世保東山海軍墓地 東公園

写真提供:(一社)長崎県観光連盟
【概要】 佐世保に鎮守府がおかれてから太平洋戦争が終わるまでの約60年間に亡くなった海軍将兵17万余柱の霊が祀られていて、年間を通じて慰霊祭が各艦船・各部隊毎に執り行われています。公園内には個人墓や艦船や潜水艦、戦線別の慰霊碑があり、また第7代佐世保鎮守府司令長官でもあった日露戦争時の連合艦隊司令長官・東郷平八郎の銅像もあります。
【ここがポイント・見どころ】 佐世保市中心地にありながら、緑に囲まれた静かな公園です。園内には個人はもとより艦船や戦線での部隊毎の慰霊碑が 並んでいますが、乗船した艦船・潜水艦を模った碑が多くみられます。戦艦「金剛」、空母「飛龍」「瑞鳳」「大鷹」「加賀」などといった歴史上有名な艦船やラバウル、サイパン、ビルマなどの激戦地の慰霊碑をみると、若くして散ったであろう戦没者や戦争の虚しさに想いを寄せざるを得ません。米海軍佐世保基地司令など外国の海軍関係者も多く訪れる場所です。

【さらに一言】 〇佐世保鎮守府開設当時から現在の海上自衛隊にいたるまでの貴重な資料が展示されている「海上自衛隊佐世保史料館(セイルタワー)」とセットで訪問されることをオススメします。 〇駐車場が広くありませんので大型車や団体での訪問の際はご注意ください。 〇映画「ミッドウエイ」や「男たちの大和」などを鑑賞してから訪れると感慨もひとしおに。 〇あくまでも墓地ですので、静かにマナーを守って見学しましょう。
佐世保東山海軍墓地 東公園

長崎県佐世保市東山町182-1

https://www.welcomekyushu.jp/event/?mode=detail&id=9999900049474&isSpot=1&isEvent=

2.池島炭鉱

写真協力:長崎国際観光コンベンション協会
【概要】 佐世保から高速船で約1時間、平成13年(2001年)に閉山した九州最後の炭鉱の島“池島"のご紹介です。池島には、日本の近代化を支えてきた石炭産業の現場を体験できる国内唯一の炭鉱施設があります。当時実際に使用されていたトロッコに乗車し元炭鉱マンガイドの案内で坑内を探検し、炭鉱機器の模擬操作体験などを行う「坑内体験」が可能です。
写真協力:長崎国際観光コンベンション協会
【ここがポイント・見どころ】 ホンモノの炭鉱に入るという貴重な体験もさることながら、島内見学も魅力のひとつです。同じ炭鉱の島として「軍艦島」と比較されますが、軍艦島は安全のために上陸してもごく一部の場所しか歩けません。池島は現在も島民が生活を続けている島なので、一部の場所を除いては自由に島内を巡ることができます。草に覆われたかっての高層アパートや朽ちた商店跡、静まり返ったメインストリートなど、“廃墟マニア"と呼ばれる方々の間で密かに注目を浴びているようです。

【さらに一言】 〇事前に予約しておくと食べられる「炭鉱弁当」がオススメです!当時の炭鉱マン達が愛用していたアルミ製の弁当箱に入った梅干し・玉子焼きなどの素朴で懐かしいおふくろの味が楽しめます。 〇池島から船で約30分、角力灘に面した外海エリアには世界遺産「出津集落」があります。ハリウッド映画化もされた遠藤周作の小説「沈黙」の舞台でもあり、キリスト教関連遺産を見学後、角力灘に沈む日本一のを眺めると涙が溢れてきます。こちらも ぜひ池島とセットでご覧ください。 〇池島は私・里浦の出身地でもあります。故郷の贔屓目が多少あるかもしれませんが、池島と外海地区は、歴史と豊かな自然、哀愁に満ちた素晴らしい場所です。ぜひ訪れてみてください。 〇こちらも小説か映画の「沈黙」で予習してから行きましょう!
池島炭鉱跡

長崎県長崎市池島町104−7

https://www.at-nagasaki.jp/spot/61048/

〔佐賀県〕
1.佐賀伊勢神社

写真提供:佐賀県観光連盟
【概要】 佐賀市の中心地、伊勢町に鎮座する伊勢神社は、1542年 伊勢神宮から分霊を勧請したのが始まりで、当初は別の場所に遷座された後、藩祖鍋島直茂によって現在地へ遷座されました。 旧長崎街道の正面に建つ堂々とした鳥居と楼門を始め、境内に点在する石造物や神明造の社殿が一体となって歴史的景観を形成しています。
【ここがポイント・見どころ】 皆さんは日本の数ある神社の中で最高位にある神社がどこかご存じでしょうか?知っている方も多いと思いますが、そう三重県の伊勢神宮が神社本庁の本宗として「全ての神社の上に立つ神社」であるとされています。そのため古くから多くの人々が全国各地から参拝に訪れ、江戸期には「お伊勢参り」としてのちの団体旅行の原型となったとも言われています。 佐賀伊勢神社に参拝すると、そんな日本最高の神社に参拝するのと同じ効果があるといわれていることをご存じの方は少ないのではないでしょうか?佐賀伊勢神社は全国でも唯一、伊勢皇大神宮から分霊を許されて建立されており、ここで参拝すると伊勢神宮で参拝することと同じであるとされています。 この日本最高のパワースポットとも呼べる場所で、ある意味コスパも最高でありながら、このことを知らない佐賀県民も意外と多く、以前は私も知らないで参拝していました。改めて上記のことを教えてもらってから訪れると、以前と全く違った霊験あらたかな神秘的な力のようなものを感じた、非常に分かり易い私です・・・。

【さらに一言】 〇境内には彦山権現社と恵比寿社も祀られています。伊勢恵比寿神社のご神体・恵比寿様は佐賀市で最も古いものです。
佐賀伊勢神社

佐賀市伊勢9-8

https://www.sagabai.com/main/?cont=kanko&fid=30

2.秀林寺

写真提供:白石町商工観光課
【概要】 佐賀市内から車で約40分、白石町にある曹洞宗のお寺です。寛永二十年に創建された、初代藩主鍋島勝茂公の菩提寺でもあるという由緒ある寺院で、境内には勝茂公を祀る供養塔があり、私は拝見していませんが事前にお願いすれば本堂では勝茂公の木造坐像も見られるそうです。 また、ここは有名な怪談「佐賀の化け猫騒動」の舞台となった地であり、なんと物語に登場する猫を供養する「猫大明神」の祠が あるんです。
写真提供:白石町商工観光課
【ここがポイント・見どころ】 なぜここに化け猫の祠があるのか?というのは由来が書かれた看板が立てられていますのでこちらを読めばよく分かります。現存する 祠は明治維新後に再建されたものですが、石碑に7本の尻尾、大きく開いた口にギザギザの歯がある化け猫の姿が彫られていて結構怖いです・・・。

【さらに一言】 〇見学の際はお寺に事前連絡をお願いします。運が良ければご住職から詳しい説明と化け猫が描かれた「猫せんべい」を頂けるかもしれません。 〇佐賀で化け猫の怪談が生まれたのには、もともとは肥前の国を治めていた龍造寺家とその家臣であった鍋島家による主家簒奪が大きく影響しているようです。この辺りの歴史をいろいろと調べてみると結構面白いですよ。
猫塚(秀林寺)

佐賀県杵島郡白石町大字福田1644

https://www.town.shiroishi.lg.jp/kanko/shiru/_4032.html

まとめ

以上、私が赴任した鹿児島・長崎・佐賀とその周辺の個人的に好きなスポットをご紹介しました。あくまでも本来のポテンシャ ルからすると、“もっと有名でもっと注目を浴びても良い観光スポット"という条件で絞ったものの、振り返ってみると全8か所のうち、墓地が3つ・寺社が3つと、スピリチュアルというかダークサイドにかなり偏ったラインナップになってしまい、我ながら精神状態が心配になりますが、いずれも事前に勉強や物語の背景を調べていただいて訪れると、本当に心を揺さぶられる素晴らしいスポットばかりです。自信をもってオススメします。 記載した情報は、あくまでも私が個人的に訪れたり調べたりしたもの、記憶をもとにしていますので訪問される際は必ず事前にご確認をおこなってください(特にコロナの影響で以前のように見学ができない施設・場所などもあるようです)。 文章を書いていると、旅行会社員の習性でご紹介したおすすめスポットを一気に巡るツアーを計画してみようかなとも思いました。 募集して何人集まっていただけるか分かりませんが、ツアー催行の際はもちろん私が添乗員を務めます。

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